3
ロサンゼルス空港で入国審査を終えた後は、市内に行くバスに乗る。まずはハリウッドを目指し、そこで現地在住の日本人女性ガイドと合流した。彼女はジョンソン翔子さんという40代の女性で、「ロサンゼルスのオカン」と名乗っている。私たちと同じ大阪出身の彼女はいま、現地人と結婚してロサンゼルスに住んでいるという。そんな彼女はロングヘアを巻き下ろしにして、膝上ワンピースに黒いロングブーツ姿だった。
「HOLLYWOOD」と書かれたサインが見え、まさしくロサンゼルスに来たぞという気分になる。そのサインをバックに私たち高校1年生の女子4人で集合写真を撮った。もちろん彼女たちのLINEに写真も送ってある。その後は高級住宅街であるビバリーヒルズを巡ったけれど、芸能人や弁護士などお金持ちのひとたちが住んでいる街だった。周りには高級ブランドのお店があり、高校生がここに来て良いのかという気持ちだ。場違いではないかとすら思っていた。映画に出てきそうな街並みだ。
ビバリーヒルズからダウンタウンに移動し、私たちはお昼ご飯にハンバーガーを食べる。ハンバーガーのサイズは日本のそれと同じくらいだけれど、メニュー表の写真で見るポテトは山盛りで全部食べられるかと気になるほどだ。結局は私と杏里がポテトも注文し、沙良と澪ーー彼女たちはハンバーガーのみ注文したーーにも分けてあげた。そうしないと完食できない量だったのだ。
その後はリトルトーキョーで散策する。日本語表記のお店や日本の飲食店があり、ロサンゼルスに来る前のことを思い出させる雰囲気だった。少しだけリトルトーキョーで買い物をし、それからバスでホストファミリーがいる高校に向かう。「ロサンゼルスのオカン」ことジョンソンさんとはいったんここでお別れだ。
バスに揺られ、私たちは高校に到着した。ホストファミリーがどこにいるか見つけにくかったけれど、遠くに「AIRI HIROOKA」と私のフルネームが書かれたボードを持つ女性が見える。彼女がホストマザーだと確信し、私は彼女の元に走って向かった。
「すみません、シュナイダーさんですか? 初めまして。広岡愛里です」
私がシュナイダーさんに声をかけると、
「ああ、愛里ね! 初めまして。私はデボラっていうの」
と名乗った。デボラの横には娘のアシュリーがいる。デボラが私のホストマザーで、アシュリーは15歳の高校1年生だ。日本とアメリカでは学年の仕組みが違うため、アシュリーは私より1歳下で日本で言うと中学3年生の年代になる。すらっとして大人びた雰囲気なので、とても年下には見えなかったのだ。