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面接に受かり、私は春休みにアメリカのロサンゼルスへ10日間ホームステイすることが決まる。3年生を担任する畑野という男性英語教師が同行することになっており、ホームステイ参加者を対象とした説明会で他の参加者と顔を合わせた。そこには同じクラスの丹野誠、特進科の有馬祐飛と小島泰三と野村奏人がいる。同じクラスの丹野は小学校からずっと同じクラスでいわゆる腐れ縁だったのだけれど、お互いに
「えっ、広岡もいるのかよ……」
「また丹野か……」
という空気が漂っていたかと思う。しかし「またお前か」などと本人に言うわけにもいかないので、私はなるべく丹野がいることは気にしないようにしていた。その時に畑野先生からホームステイ先について発表され、そこのホストマザーとのメールでのやりとりも開始する。
メールでは事前に食べ物の好き嫌いなどの懸念事項についてやりとりをし、先方から「うち小型犬いるけど、アレルギーとか大丈夫?」と訊かれる。私は家でマルチーズを飼っているので犬は大好きだし、アレルギーについて問題はない。そのことを愛犬の写真付きで伝えると、
「それなら良かった。あらワンちゃん可愛いわね! 名前なんて言うの?」
と返ってくる。そこで私は「ココっていいます。いま3歳の女の子です」と返信した。ホストファミリーはポメラニアンを飼っているとのことで写真も見せてもらう。私はホストファミリーに早く会いたい気持ちでいっぱいだった。
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大阪市内の高校のうちの4校と1校の中学校にこのホームステイの参加者募集のプリントが配られたという。そこで他校生を含めた参加者全員が国際交流センターで顔を合わせることとなった。中学生も含めた全員の前での自己紹介はすごく緊張したこともあり、
「鹿谷高校1年の広岡愛里です。K-POPが好きです。よろしくお願いします」
としか言えなかったのが悔しい。というのも他の参加者は部活でスポーツしているとか、趣味のこととか幅広く話をしていたからだ。中学生の参加者は中学2年生の女の子が1人と男の子が1人、中学1年生の男の子が1人いた。高校生の参加者は私と同じ1年生の大橋澪と霜田杏里と芦沢沙良と、男子は2年生の榎本雄大だ。彼女たちはそれぞれ違う高校から来ているという。