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6.アラート音が鳴り響く...

そんな彼女の慰めを受けながらこの世界の状況について詳しく話を聞く。どうやら先ほど説明のあった触手上の生物、アイヴィーによって世界は崩壊しかけているらしい。アイヴィーは殺した人間や兵器に寄生し操作、人類へ攻撃を仕掛けている。その結果、人類は対アイヴィー防衛拠点として作成したコロニーで生活している。

「そのコロニーの中でも比較的安全と言われているのがここ、瑞穂第8コロニーです!」

胸を張り空が言う、その表情はどこか得意げだった。

「なんでこのコロニーは安全なんだ?こんな世界情勢だとどこもあまり変わらないんじゃ?」

うーんと首をかしげながら空が答える。

「正直なところ私もほかのコロニーをあまり知らないのではっきりとした理由はわからないんですよね、ただよく言われているのは管理軍の存在ですかね」

「管理軍?」

また聞きなれない単語が飛び出しおうむ返しで聞き返してしまう。

「えーっと、それぞれのコロニーには管理者がいるらしいんですが、ここでは管理者が整備した軍隊があるんです」

「ほかのコロニーにはないのか、じゃあどうやってアイヴィーから身を守ってるんだ?」

「ほかの地域は私たちみたいな自警団が守っているらしいです」

そういうと彼女は棚からタブレットを取り出し地図を見せてくれた。

「一番近いのが第3コロニーですね、こことは定期的に連絡しますがやはり管理軍はおらず自警団が防衛を担っています」

へーっといいタブレットを見る。いくつかある点がコロニーだろう。

「そういえばちょうど今日ですね」

「え?何が?」

ふと思い出したかのようにつぶやく彼女に問いかける、彼女は楽しそうに棚から別のタブレットを持ってきた。

「第3コロニーから物資交換の部隊が来るんですよ、これは管理軍ではなく私たち自警団の仕事なんです!」

ルンルンとしながらタブレットを眺める、横目に見ていると物資の欄には弾薬や燃料などといったもののほか、薬品や食料なども含まれているようだった。祖いて空が一番見ている物資は甘味だ。

「甘いもの好きなのか?」

「え?あ、ああ!い、いえべつに!役得でなんて考えてませんよ!」

「別にそこまで言ってないけど…」

どうやら少し横領しているようだ、まあ気持ちはわからなくはない。

「で、いつ頃その舞台は来るんだ?部外者の俺がいたら迷惑に―」

ブー、ブーっとけたたましい音が鳴る 。

「物資を持った部隊が来た音…ではないな」

空の顔を見ると先ほどまでの表情とは打って変わり少し青ざめていた。

「成田さん!ついてきてください!」

「え、わ、わかった」

切羽詰まった顔をしていた彼女に連れられ部屋を出る。部屋の扉は通路につながっていて通路を赤いLEDがうっすらと照らしていた。その道を迷わずに歩き進める彼女を追いながら今日何度目かわからない質問を問いかける。

「さっきのアラームはなに?」

「あれはアイヴィーの接近警報です、しかも」

歩く速度を速めながら彼女が続ける。

「コロニーに取りつかれた時の警報です」

「コロニーに取りつかれたって...それってやばいんじゃ」

扉の前につくと彼女はパスコードを入力し扉を開けた。

「ええ、かなりやばい状況です」

空が扉に入り壁際のスイッチを押す。ダン、っという音を立てて照明が点灯する。広い空間の中に佇んでいたのはあの時見たロボット―

「それを何とかするのも、私たち自警団の仕事です」

彼女は振り返るとロボットの前に立ちそう言った。




決まった、これはかっこいいんじゃない?そう思いながら成田さんの顔を見る。目が点になっていた。あれ?何か間違えた?かっこよかったよね?そう思っていると成田さんの口が動く。

「これってあの時のロボット」

ああー、そうだ、私成田さんにアイヴィーの説明はしたけどマキナの話してなかった…

「はい、これが対アイヴィー用の兵器、マキナです」

「すごい」

そう、すごいんです、動いたらもっとすごいんですよ!っといいたいが、今は非常時だ、まずは成田さんを安全な場所へ…安全な…場所…

ない!こんな状況で安全な場所なんてない!まてまてまて、落ち着け私、周りには何がある?

周りを見渡すが目に入るのは私のマキナ、そして―

「成田さん、今この場所で一番安全なのはマキナのコックピットです、私のマキナは単座なので二人乗ることはできません、なので」

腕を引っ張り私の愛機とは別の方向へ向かう。

「このマキナのコックピットに乗っていてください」

向かったマキナは成田さん、いや、こっちの世界のナリタさんの予備機だった機体。

成田さんをコックピットに乗せ安全装置を起動させる。

「これで何かあっても大けがはしないはずです、もし大けがするとしたらそれはコロニーが滅びるときです」

「わかったけどこれ動いたりはしないのか?もし動けるなら何か手伝えること―」

その言葉、その表情が一瞬ナリタさんと重なる。それだけで十分勇気がもらえた。

「いえ、成田さんはここにいてください、マキナの起動には生体認証が必要なんです、なのでこの機体はこっちの世界のナリタさんにしか動かせないんです」

「そうか…」

申し訳なさそうにつぶやく。

「ありきたりな言葉で申し訳ないけど、頑張って!」

一瞬どういう意味かが思い出せなかった。ナリタさんがいなくなってからか?いやそれよりも以前からだろうか、ずっと言われていなかった言葉を耳にする。ああ、思い出した、この言葉を言われたらこういうんだ。

「はい、頑張ります!」

成田さんがちゃんと乗ったのを確認しコックピットを閉める。しっかりとロックされたことを確認し、自分の愛機へ走る。

【頑張って!】

久々に言われた言葉をかみしめる。この活動をしていて誰かに感謝されることはあっても応援されることはなかった。たった一言、それだけの言葉にこれだけ力をもらえるとは思っていなかった。

「ふふっ、ええ、私頑張ります!」

愛機にたどり着くとすぐにコックピットへ飛び乗る。

起動スイッチを押すとシステムがすぐに立ち上がる。何かあってもいいよう完全には電源を落とさずスリープ状態にしていたのが功を奏した。

コックピットが閉じられると薄暗いモニターが輝度を増し周囲の状況を映し出す。

「いくよ!ベガ!」

声を出し愛機を前へ進ませた。


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