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19.初陣、その結果は...

「避けた…避けた!?」

先ほどまでの回避パターンから算出した砲撃の軌道は、間違いなく直撃コースだったが、ターン1つで回避された。

「今のを回避されるのは気味が悪いな、動きが変わったようなっ」

敵機が速度を上げ突っ込んでくる、敵機に合わせての牽制射撃、そして牽制を受け回避する先を見越しての偏差射撃、戦術ユニットが算出した最適な攻撃、のはずだったその砲撃を抜刀していた刀で弾き、そのまま突っ込んでくる。

言葉にした通り、機体の動きが変わった、先ほどまでの回避優先のような動きからこちらを落とす、それだけを目的としたような動きに―

「くっ!」

考えている余裕は無いようだった、砲撃をはじいた敵機は速度そのままこちらに接近しつつ砲撃、咄嗟に左手に持っている盾でガードする。

が着弾直前で爆発、視界が奪われる。

「しまった!」

慌てて後方に引くが敵機のほうが早かった。

爆炎の中から敵機が長刀を振りかざしてきた。

左手の盾は爆発の衝撃で後方に弾かれ、右手には砲撃用のライフル、近接用武器に持ち変える余裕は無かった。

間に合わない―

「クソ!」

焦る手ですぐに重力子制御をオフにしライフルで砲撃する。

重力子による反動制御を失った機体は砲撃の反動でわずかだが右に回る。

直後、ガコン!というすさまじい衝撃、機体が海面にたたきつけられる。

シートに頭を強く打ち付けめまいがする、エアバックのおかげで意識は保っていられるものの、口の中は鉄の味でいっぱいだった。

「まずったな」

先ほど落とした重力子制御を再度立ち上げる。

すると機体は推力を取り戻し海面へと浮かび上がる。

咄嗟に敵機を探し、先ほどと同じ位置からこちらを見下ろしていた。

「余裕綽々か」

一瞬できたこの猶予に機体の状態を確認すると、左腕部の重力子制御装置が立ちあがっていないことに気が付く。

左腕部のステータスはオフライン、モニターで確認すると左肩部分から先がなくなっていた。

「勝負あったか…」

そう思っていたが終了の連絡は入らない、つまり弥富所長はまだ戦えと言っているのだ。

「まじかぁ、もうやめた方がよくないですか、一応血税ですよ…」

それに中島のおっちゃんに怒られるの俺なんだけど…

ふぅーっと一息吐いて覚悟を決める。

右手に持っていたライフルを捨て、腰部に搭載している短刀を構える。

『あー、あー、片腕のパイロットさん~、聞こえてますかぁ?』

『勝負あったと思いますがぁ、まだ続けますぅ?』

聞こえてきたのはかん高い不愉快な声だった。

いや、正確にはかわいらしい声だ、だが…

「まさか女、それも子供相手にこの体たらくとは…情けないな…」

差別主義者ではないが自分のプライドがそれを許してくれなかった。

「ああ、聞こえてるよ、中止の連絡もない、どちらかが行動不能になるまで続けさせるつもりなんだろう」

『でもその機体で、片腕の状態で勝てますかぁ?』

『いまなら降参も受け付けますよぉ?』

煽るようなしゃべり方だが煽るという意思は感じられない、彼女にとってはこれが標準のしゃべり方なのだろう、めっっっちゃうざいけど。

「遠慮しておくよ、一太刀は与えたいからね!」

そうとだけ言い、この会話中ずっと充填していた重力子を瞬間的に開放する。

爆発的な加速力に、完成制御が追い付かず一瞬気が遠くなる。

まだだ、せめて一太刀加えなければ!

接近した敵機へ短刀を突き立て、頭部を―

『面白い考えですがぁ…』

『遅いですぅ…』



気づいた時には機体は水面で横になっていた。

目の前には長刀を突き付けてくる敵機、何が起こったかもわからないまま俺は負けていた。

『夕張、聞こえるか、終了だ、初の敗北おめでとう』

そうとだけ言うとこちらの返答も聞かず弥富所長は無線を切った。

『厳しい人ですねぇ』

『私たちに食らいついただけでも大したものですぅ』

刀を収めた敵機から無線で慰め?を受ける。

「いや、実際君には手も足も出なかったよ」

操縦系がやられたのか、機体は一切動かない。

『ないないコンビ聞こえるか、弥富…その機体の上官からそいつの回収を依頼された、奇襲を仕掛けてくるような奴だが回収してやってくれ』

『私たちは構いませんよぉ』

『久しぶり対マキナ戦が出来たのでぇ』

ないないコンビと呼ばれた彼女の機体がこちらの機体に近づく。

「すまないが操縦系がやられたっぽくてな」

『かまいませんよぉ』

『恩が売れるのでぇ』

きっと安くは無い恩だろうと思いながら気になることを口にする。

「そういえばなんだが、ないないコンビ、それに私たちってことは、君じゃなくて君たち?」

『そうですよぉ』

『私たちはずっとぉ』

『『二人で話してますよぉ』』

二人が同時に話すことで彼女たちが二人ということにようやく気付けた。話し方は完璧にシンクロしており、話し方が特徴的な一人にしか聞えなかった。

「複座はずるいじゃん…」

『奇襲のほうがぁ』

『もっとずるいですぅ』

つぶやいた声は彼女たちのも届いていたようで、反論の仕様がない正論を返されてしまった。

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