11.はい、起きました
気が付いたのは月曜日の11時。場所は金曜日の夜立ち上がろうとしたベッドだった。
「やっぱり土曜、日曜の週末だけ向こうの世界に飛ばされるのか、そして」
カレンダーに目をやると今日は月曜日、だが赤く塗られている。つまりは
「祝日はノーカウントか」
原因は不明だが向こうの世界に飛ばされる条件はわかった、わかったが…
「対策のしようがないよなぁ」
根本的な原因がわからないため、どうすれば向こうの世界に行かなくなるのかわからない。誰かに相談しようにもこんなことを相談できる相手なんて存在しない。
「とりあえず…」
手元にあるスマホを確認する、がやはり充電は切れていた。
「充電して天田さんに謝らないと…」
戻ってきたはいいものの少し気が重かった、やってしまったのだ、既読無視を。
「うわぁ、せっかくいい感じに慣れたのにしょっぱなこれかよ…」
スマホを充電器に接続し、いったん冷静になるためにシャワーを浴びる。
とりあえず何か言い訳を考えなくては、寝起きの嫌な汗を洗い流し、体をふきながら思考を巡らせる。そしてふと目に入ったのは体温計だった。
「ベタだけど体調崩して寝てたが安パイかなぁ…」
部屋に戻りスマホを見るとゲームやメール、そのほかアプリの通知などがいくつか届いていたが、天田さんからの新規メッセージはなかった。
「怒らせちゃったかな…」
【すみません、体調を崩して2日間寝込んでいました、また今度どこか行きましょう】
「こんな感じでいいかな…いや、ちょっと固いか?スタンプも送っとくか。」
メッセージとスタンプを送ってからもうちょっと気の利いたメッセージのほうが良かったのではないか、と考え別の文も送った方がいいんじゃないかと悩んでいた時、既読が付いた。
永遠にも一瞬にも取れる間をおいて帰って来た返事は
【私こそ急にごめんなさい、体調は大丈夫ですか?また計画立ててどこか行きたいです】
とりあえずは耐えた…よな?いや、耐えたはずだ、そう思っておこう。そうでなければ精神がもたない。
「本当にごめんなさい、体調はもう回復しました。どこかいい場所ないか調べておきます、こんな感じの文面でいいかな」
とメッセージを入力していると、ピロンと別のチャットにメッセージが届いた通知が鳴る。
「送信、っと、えーっと、さっきの通知は…」
通知をたどりメッセージを開く、文面は
【お兄ちゃん!体調が悪かったのはしょうがないけど無理してでも何か連絡してほしかったです!お姉ちゃんすっっっっごく落ち込んでました!】
文面の下にはぷんぷんと怒るかわいらしいスタンプも添えられている。
メッセージの相手は天田もえ、天田さんの妹だった。
【もえちゃんごめん、今度からは気を付けるよ。ちなみに体調悪かったのはお姉ちゃんから聞いた感じ?】
【本当、気を付けてくださいね?気を付けると約束するならスペシャルな情報を教えちゃいまーす!】
【わかりました、約束するんで教えていただけないでしょうか】
若干茶番じみたやり取りを挟み位置情報と写真が先行して送られてきた。
場所は水族館、写真はペンギンを見つめる天田さんだった。
【どうします?13時からイルカショー見るので、それに間に合うなら合流しませんか?】
時計を見ると時間は12時、まだ十分間に合う。
【了解、すぐに行く!】
返信を済ませすぐに家を飛び出した。




