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没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~  作者: 土偶の友@転生幼女3巻12/18発売中!


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第53話 欲しい家具?

「今日は一緒に寝ないわよ?」

「………………」

「そんな絶望した顔しないでよ……」


 わたくしは何も言えずにいると、フィーネがそう言ってくる。


「でも……もう……一緒に寝ないなんて……わたくし、これから何を希望に生きていけばいいのか」

「一緒に寝ることを楽しみにしすぎでしょ。てか、それはしょうがないの」

「……どうして……でしょうか」

「そりゃ……楽しくて夜更かしして遅刻しちゃうからよ」

「……」


 わたくしはそう言ってくれるフィーネの顔を見る。


 彼女はそっぽを向いて、ちょっと顔を赤らめていた。


「今日本当にぎりっぎりだったんだからね? エルフは時間に結構大雑把だけど、あたしはちゃんとしたいの。だから、皆の休みがあった時だけ、にしない?」

「分かりましたわ! というか、確かに皆の休みがあった時だけの特別な夜というのは素敵に聞こえますわ」

「うん。それなら良かった」


 ということで、わたくしたちは話を終え、ララの帰りを待つ間にフィーネが作りたいもののことについて話す。


「そういえば、フィーネは何か欲しい家具とか部屋とかありますか?」

「家具……は元々持っているからいいけれど……そうねぇ。お風呂が欲しいかしら」

「マーレの魔法で洗ってもらうのはダメですか?」


 マーレの魔法は色々と桁が違う。

 魔法の水で流すなどというちゃちな物ではない。


 人肌にちょうどいい温度の水球を作り、その中に入って頭だけを出す。

 すると、水球が動いたり、水の流れができて身体を綺麗にしてくれるのだ。

 石鹸などに関してもマーレは意外と気にしているらしく、10種類くらいの中から選ばせてくれる。

 正直、今まで風呂を作っていなかった理由でもある。


「確かにあれは色々とすごいとは思うんだけど、マーレに悪い気がするのよね。それに、人を気にせずのんびりと長時間お風呂に入ってみたりしたいかなって」

「なるほど、確かにそれはあるかもしれませんわね」


 わたくしがそう言うと、マーレは気にするなと言ってくれる。


「僕は気にしてないよー? 必要なら1時間でも2時間でもいいよ? 寝転がってるだけだし」

「マーレが気にしなくてもあたしが気にするのよ」

「そんなお嬢様的な性格だっけ?」

「失礼ね。これでもあなたに手間をかけないようにって思っているのよ?」

「うーん。まぁでも、確かにその時間ご飯食べたりしたいなぁとはあるかもだけど」

「でしょ? だからあった方がいいかなって。それに、皆で背中洗いっこしたくない?」


 フィーネの提案にわたくしの創作魂に火が付く。


「それはいいですわ! 最高ですわ! 作りましょう!」

「そ、そう……」

「ということで、大きさはどれくらいがいいのでしょうか? マーレが10人入れるくらいのを作りますか?」

「どんだけ大きくする気よ」

「皆で入りたいですわ!」


 ここにはいないけれど、シエロも一緒に入ったりしたい。

 そう考えると、結構大きめに作ってもいいと思うのだ。


「なるほど、それなら色々と詳細を詰めて行きましょうか」

「ええ!」



 わたくしたちはそれから大体こんな感じで作りたいということを話し合って、材料の目安を決めた。


「大体こんな感じでいいかしら?」

「そうね。でも、素材を見ながら詳しくやりたいわね」

「そうなのですか?」

「うん。だっていざとって来たら結構別物っぽい感じになるとかあるから」

「なるほど……」


 本で調べるだけではダメということだろうか。


「もちろん、この……クレアが買ってきた本は絶対に役に立つわよ。よくこんな金額ほいほい出せるなとは思うけど……」

「依頼で稼いだので! まぁ、だいぶなくなりましたけど」

「……まぁそれはいいわ。それよりも、ちゃんと本の知識で知って、自分の手で触れたりして、ちゃんと触って確認する。これは大事よ。服を作る時もその辺りはとっても大事になってくる。いざ着た時になんだか違う。ってなることも多いのよね。新しい素材を使う時とか特に」

「なるほど、それは……勉強になりますわ」


 そんなことを話して、とりあえず素材を取ってくるという話になった。


「何を話しているの?」


 わたくしたちの話が大分まとまってきた頃に、ララが来る。


「実はフィーネに作って欲しい家具や部屋がないかと聞いていたんです。ララもありますか?」

「ある。キッチン」

「そうですわね。キッチンもちゃんと作っておかないといけませんわね」

「うん。案はいっぱいある。朝までかかってもいい?」

「あ、朝まで……」


 ララは子供のようにキラキラした目を向けてくる。

 その目を裏切るようなことは言えないけれど、朝までは……。


 助けを求めるようにフィーネを見ると、彼女は苦笑いをしながら立ち上がった。


「ちょっと……自分の仕事してくるわね。ご飯できたら呼んでー?」

「あ、ちょっと」

「それじゃ!」

「お待ち「待って」


 絶対ご飯に呼ばれると思っていない感じだった。

 わたくしも絶対に今夜はご飯を食べれないと思う。


 ちなみにマーレは家をそっと出て行き、ティエラはベッドに寝転がった。


 わたくしはフィーネを追いかけようと立ち上がる。


 ガッ。


 ララにドレスをがっちりと捕まれていた。


「ラ、ララ?」

「わたしもちゃんと話したい。大丈夫、終わったらすぐにご飯を作る」

「え、ええ……」


 それからわたくしはララと一緒に翌朝までキッチンについて話すことになった。


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