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没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~  作者: 土偶の友@転生幼女3巻12/18発売中!


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第21話 魔道具店

 ベッドを完成させたわたくしたち。

 日が頂点に登ってちょうど12時といった所だろうか。

 これならまだ間に合いそうだ。


「さて、それでは早速、仕事を受けに……」

「クレア」

「なんでしょう?」


 マーレがとても寂しそうな目をわたくしに向ける。


「あのね」

「はい」

「お腹減った」

「そ、そうですか……」


 昨日の夜にあれだけ食べたし、朝もそれなりに食べたと思ったのですけれど……。

 まだ必要だったみたい。


「では、狩りにいくべきですかね」

「あれ? お金はもうないの?」

「ええ、布団を買うのに使ってしまいましたわ。ああ、それに、マジックバッグも買いたいのですが、いくらかかるか……」

「あーそうか」


 前回ロックゴリラの肉を持ってきた時に目立ちすぎてしまった。

 そうはならないように、ルーシーさんにマジックバッグを買うことを勧められた。

 なので、今回はそれを買いに行きたいのだけれど……。

 金額的に買えるかわからない。


 いくら庶民感覚とずれているとはいえ、きっと魔道具の値段は高いはず。

 そうそう買えるものではないと思う。


「でも、値段の確認はしておくべきじゃない?」

「それも……そうですわね。では山に行く前に一度探しに行きますか」

「うん。でも、1つお願いしてもいい?」

「なんですの? マーレ」

「実は、そろそろ魚が食べたいんだよね」

「はぁ」

「だから、マジックバッグの店にいって、それから海に行きたいんだ」

「でも、わたくし、泳げませんわよ?」

「そこは僕がなんとかするから」

「なるほど、わかりましたわ」


 ということで、わたくしたち3人は街中を通り、海に向かう。

 その途中、ルーシーさんに会いにいって、いい魔道具のお店を紹介してもらった。


「ここがいいそうですわ」


 わたくしたちが店に入ると、中には貴族の服をまとった人や裕福層な商人ばかりだ。

 それ以外の人は店員らしき人しかいない。


 店について言及するならば、広さは小学校の体育館くらいだろうか。

 長い机が何台も置かれ、その上にはキレイな魔道具が等間隔に置かれていた。


「なんとも場違いな感じが……」

「クレアも元貴族なんだから間違ってはいないぞ」

「ティエラ、ありがとうございます。そうですわね」


 わたくしはティエラの言葉に励まされ、頷いて中を優雅に歩いていく。

 魔道具を見ると、その隣には説明が書かれた紙が置かれている。

 ちゃんと見やすいように斜めに置かれていて、美しいたち筆だ。


「えーと、なになに。この魔道具は撥水性(はっすいせい)の高いアクアジェリーフィッシュで作られてる布で……これはいりませんわね」

「それ美味しいのかな?」

「ジェリーフィッシュってクラゲですわよね? どうなんでしょう……」


 クラゲを食べたことがないので、美味しいかどうかわからない。

 でも、食べてみたい気持ちはちょっとある。


「せっかくだし、捕まえてみるかな……」

「マーレ。今はそれよりもマジックバッグですわ」

「お客様はマジックバッグをお求めですか?」


 そう言ってわたくしに話しかけてくるのは、ピシリとスーツを着こなした女性の店員だった。

 とても柔らかい笑顔で、笑いかけてくれる。


「ええ、マジックバッグを持った方がいい。ということを言われたので、いくらくらいするのかの確認に来たのですわ」

「なるほど、ではこちらへどうぞ」


 彼女はそう言って、わたくしたちを先導してくれる。


「こちらに並んでいるものは全てマジックバッグになります」


 そう言って壁際に並んでいた20個以上あるカバン全てをしめす。


「こんなにありますの?」

「ええ、マジックバッグをご利用される方は多いですから。用途や機能別に様々な物があるのです」

「なるほど……」


 わたくしはざっとみると、肩掛けのポーチ型のものや、リュックサック型のもの、それにアタッシュケース型のものなど本当に様々な物があった。


 ざっと見てみるけれど、元々の大きさが大きいほど収納量も増えていくみたいでした。

 それに、すごく小さいけれど、収納量が多いものは桁違いの値段になっている。


「手に取ってみても?」

「もちろん」

「では失礼して」


 わたくしはポーチ型の小さめのマジックバッグを手にとって中に手をいれる。


 なんだか手が伸びたような感じがする。

 空間が拡張されて、それと同時に手も伸びるようになっているのだろうか。


 わたくしはマジックバッグを元の位置に戻すと、店員さんが話しかけてくる。


「お客様の収容するご予定はどれくらいでしょうか?」

「正直……ある程度持ち運びにくくてもいいので、できるだけ大きいのが嬉しいですわ」

「となると、このアタッシュケース型がいいかと思います。この店内の半分ほどの広さがあり、値段も100万レアードとなっております」

「100万……レアード……」


 わたくしの目がその金額の多さに変わってしまう。


 そんな大金どうやって払ったらいいのだろうか。


 少なくとも、今のわたくしにそんな資金はない。

 なので……。


「あの……一番お安い物はどれになるのでしょうか?」

「そうですね、お求めやすいものですと、このリュックサック型のものになります。このサイズの5倍までしか入りませんが、5万レアードでお求めいただけます」

「5万レアード……」


 そんな金額はない。

 どうしたらいいのでしょうか。

 そんな金額があったら家具を作りたい。

 というか、まだ仕事も受けていない状況で、そんなものを買う余裕なんて……。


 そう思っていると、店員さんは難しいと察したのか、話してくれる。


「ええ、ご自身で拡張したい袋を持って来ていただければ、こちらで付与魔法をかけることも出来ます。腕利きの付与魔法使いがいますので」

「魔道具の作り方って付与魔法を使うんですの?」


 彼女の言葉で、わたくしに電流が走った。


「ええ、基本的にはそうなります」

「なるほど……分かりましたわ。ありがとうございます。また今度伺いますわ」

「はい。お待ちしております」


 わたくしたちはそう言って店から出る。

 すると、ティエラが話しかけてきた。


「クレア、何か思いつくことがあったの?」

「ええ、きっとなんとかなる素晴らしい案がありますわ」


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