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没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~  作者: 土偶の友@転生幼女3巻12/18発売中!


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第14話 土小人のかまど亭

「ここで……1万レアードになります」


 ルーシ―さんはとても申し訳なさそうな顔をしていた。


 わたくしはそんな彼女に向けて、大声で叫ぶ。


「買いますわ!」

「え? そんな即決でいいんですか?」

「もちろんです! ここの立地も、そしてこの環境もとってもスローライフ向きですわ!」


 わたくしは感動していた。

 この山の麓にあり、人通りがないというのも、スローライフにはよりいい。

 位置としてはカレドニアの北東にある場所で、人里からそれなりに離れている感じだ。


「そ、そうですか。わかりました。では、手続きをしたいと思いますので、ギルドに戻ってもよろしいでしょうか?」

「もちろんですわ!」

「ありがとうございます。こんな辺鄙(へんぴ)な場所を買って下さって。お手伝いできることがあれば、いつでも相談に乗りますので」

「ええ、よろしくお願いしますわ」


 いま辺鄙な場所とか聞こえた気がしましたが、気のせいでしょう。


 そんなことは置いておいて、わたくしたちは手続きをするためにギルドに戻る。


 ギルドでの手続きはかなり大変で、しかもティエラが結構細かく詳細に読んでくれた。

 契約書を4周しようとした時はマーレが流石に止めに入ったくらいだ。



 そんなことをしていたら、外に出る頃には夜になっていた。


「うわぁ……真っ暗……」

「それでも最後まで付き合ってくれたルーシ―様には感謝ですわね」

「そうだね。クレア、そろそろお腹が減ったんだけど?」

「マーレ……どこかいい匂いの宿はありますか? もちろん、マーレとティエラの泊まれる宿で」

「それこそ、ルーシ―さんに聞いてきたらいいんじゃない?」

「……それもそうですわね」


 ということで、ルーシ―さんに聞いてみると、『土小人のかまど亭』という店を紹介された。


 わたしたちは早速その店に向かう。


 店はわたくしたちの土地と結構近く、美味しいなら通ってもいいくらいの距離だ。

 店の中の込み具合は8割といったくらいで、部屋の中は美味しそうな匂いと、酒の匂いが充満していた。


「いらっしゃいませー」

「……いらっしゃいませ」


 出迎えてくれたのはドワーフの少女2人だった。


 一人は身長130㎝ほどで、活発な笑顔で挨拶をしてくれる。

 赤髪を短髪にしていて、両手にはジョッキの載ったお盆を軽々と持っていた。


 もう一人は静かな印象のドワーフで、身長はさっきの人よりも少し低い。

 肩口で赤髪を切っていて、こちらは両手に食べた後の食器をこれでもかと持っていた。


「3人ですわ。入れますか?」

「もちろんだよ! 適当に座って!」

「ありがとうございますわ」


 言われた通りにわたくしたちは適当な席に座る。

 マーレは床に座るとちょうどよく、ティエラは机の上に顔だけ出るように床に座った。


「それではメニューは……」

「俺はなんでもいい」

「僕はクラーケンの姿焼きとバッファローのあばら肉ステーキ、それから……」


 と、色々なご飯を頼み始める。


「注文いいかしら?」

「はい」


 わたくしが注文をお願いすると、静かな方のドワーフが受けてくれた。


「結構量あるけど、大丈夫?」

「大丈夫ですわ。マーレの胃袋は海ですわよ」

「分かった」

「それと、宿ってまだ取れますか? もちろん、3人とも一緒でですが」

「提携してるところなら大丈夫だと思う」

「ではよろしくお願いしますわ」

「はい」


 そう言って静かに去って行く。


「それで、お話なのですが、問題は明日からですわ」

「そうなの?」

「はい。端的に言ってお金がありませんわ。なので、明日からすでに宿なし、ホームレスお嬢様になるかもしれません」

「え、今日のご飯も……?」

「それは多分大丈夫ですが、明日以降の住処等もやばいです。なので、とりあえず、明日はあの土地に家を建てたい。そのために住むならどのような家がいいのか、それを話し合いませんか?」


 ご飯を食べたいと思うけれど、食べ始めるとマーレがそちらに集中してしまうので、こちらを先にやらなければならない。


「僕は特に要望はないよ。あ、広いと嬉しいかな」

「俺はクレアとともに居られれば文句はない」

「そうなんですのね。なら……基本的な部分だけを作って、一応拡張性だけ残しておく。ということにしたらいいのでしょうか?」

「どうして?」

「シエロだったら結構こだわりそうでしょう? だからその余地は残しておいた方がいいかなと思いまして」

「あー確かに、シエロはこだわりそう」


 マーレはそう言ってそわそわとキッチンの方を見ている。

 それからすぐに、彼は目をキラキラとさせる。


「来たみたいですわね」

「だね。分かりやすい」

「やっぱりご飯が最高だよね!」

「ではキッチンも大きくした方がいいですわね」

「それもそうだね! でも色んな所のご飯を食べるのもいいよねぇ!」


 マーレがそう叫ぶと、淡々と店員さんが料理を持ってくる。


「お待たせしました。こちらが……」


 ということで、我関せずと言った感じで静かなドワーフの少女が来た。


 それからは、美味しい夕食を堪能した。


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