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風に乗って

作者: 小畠愛子

 あたりはすっかり春一面です。ぽかぽか陽気に、色とりどりの花たちが咲いて、揺れています。ですが、道路のすみっこに咲いている、たんぽぽだけは違いました。


「さぁ、行くぞ!」


 誰にも知られず、ひっそりと花は散って、今ではわたげがふわふわとゆれています。わたげたちは、今か今かと待ちかまえています。


「…きたっ!」


 風がたんぽぽのくきを大きくしならせて、わたげたちはいっせいに風に乗りました。飛んでいくわたげたちに、たんぽぽが大きな声を届けました。


「飛んでいけぇ! 風に乗って、ぐんぐん、ぐんぐん、飛んでいけぇ! わたしみたいな道路のはしっこなんかじゃなくて、広くてお日さまの光がいっぱい当たる、大きな野原へ飛んでいけぇ!」


 たんぽぽの声があと押しして、わたげたちはぐんぐん高く飛んでいきました。その姿を、たんぽぽはいつまでも、いつまでも、ずっと見送り続けるのでした。

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― 新着の感想 ―
春のひだまりに春一番が吹いたような素敵なお話ですね。 綿毛たちより応援するたんぽぽに自分を重ねました。 温かだけでなく清々しい童話をありがとうございました。
小さな綿毛たちの大冒険の先にある世界が、世界一幸せな場所であれば良いですね
たんぽぽの綿毛を見つけると、ふうっと息を吹きかけたくなりますよね。
2024/12/30 09:51 退会済み
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