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幼い赤貝の話  作者: つき
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1 ゆっくりとさらに奥へ

かつての古の時代、海の恵みを求める者が、幼き赤貝を見つける。その赤貝はまだ成熟に至らず、その若々しさを保っている。慎重にその貝殻を指先でそっと開くと、中には繊細な小さな空洞が広がっていた。


その空洞に、直径5センチほどの硬質の棒を優しく当てがう。中心部は優美な曲線を描き、かすかに脈打っているかのようだ。幼い赤貝の繊細な空洞に、ゆっくりとその棒を押し入れる。赤貝は一瞬苦しげに身をよじり、貝殻の表面は張り詰め、まるで限界まで膨らませた風船のように今にも裂けそうなほどだ。


未成熟の赤貝であるにもかかわらず、その痛みを和らげるかのように、わずかな潤滑液をじんわりと分泌する。その潤滑液は、張り詰めた貝殻同士の摩擦を和らげるための自然の防衛機能のようである。


傷つけないように細心の注意を払いながら、その棒をゆっくり、ゆっくりとさらに奥へと押し入れていく。

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