アステロイドの戦い(後編)
西暦2998年、突如として地球はガルスグレーサーと
名乗る
異星人に侵略戦争を仕掛けられた、そして圧倒的な科学
力の差により
危機的な状況に陥る、主人公たちは新型の戦艦に乗るこ
とになるが
それは小型の駆逐艦ハヤテ、がっかりする主人公達だが
ハヤテに乗り込むと、そこは全ての物体が10分の1に
なっている
世界で、本当のハヤテは全長1300メートルを超
える巨大戦艦だった
見た目は駆逐艦、中身は巨大戦艦、敵を欺くにはまず味
方から
地球を防衛するために真の実力を隠して活躍するハヤテ
を御覧下さい。
ハヤテ第一司令室では
通信長であるジョン・スミスが勝艦長に
地球艦隊からの連絡を報告している最中だ
「艦長 地球艦隊は全艦隊が月に集結中で
後30分でアステロイド帯に到着します」
勝艦長は腕を組みながら
「そうか・・ではそれまでに戦いを
終わらせねば成らんな」
その言葉を大言ではなく実行できるのが
不敵に構える勝艦長の凄いところだ
小原正二 戦闘補佐が隊長の誠矢にかわり
戦闘部門を引き受けていた
「たった30分でですか?」
「そうだ」
勝艦長の返事はシンプルだった
その時、第一司令室に直通するエレベーターの
ドアが開き戦闘隊長の誠矢が戻ってきた
「遅くなりました艦長」敬礼をしてから
席に戻る誠矢に対して隣の操縦席の響が
「真耶君は大丈夫なのか?」と心配そうに言う
誠矢は笑いながら
「春吉さんが真耶は超能力者になっているかも
知れないよと言うくらいは大丈夫らしいよ」
響は変な顔をして
「何だよそりゃ?」
それよりもだ今は戦況の方が問題だ
「艦長30分で本隊が来るのを
少し遅らせて貰えないんでしょうか?」
誠矢の言葉に
「ああ邪魔だしね」
歯に衣着せぬ言いようだが事実だ
春吉が誠矢に続き戻って来ていたのを
他のメンバーも気が付いたが
彼の言葉で思わず笑いそうになるが
皆我慢している
科学者と言うのは本当に言っては成らない事を
平気で言う生き物である。
艦長は誠矢の言葉は聞かなかった事にした
春吉の発言もだ!
分を弁えて発言しろと艦長の鋭い眼光が
語っている
誠矢に春吉が ハハハ不味かったかな?
というジェスチャーをした
30分で勝利を確実にするには・・
「小惑星帯から出て一気に叩くのが
一番手っ取り早いのではないでしょうか?」
この誠矢の発言に
「小惑星帯だからこそハヤテの実力を
味方から隠して敵を討つことが出来る・・
この作戦の真の狙いがそこなんだよ」
春吉はそう言ったが
誠矢の「敵が怯えて隠れられては・・
そも難しいでしょう・・やっぱりここは
狩りに出るべきですよ!」
勝艦長が「まだそうと決まった訳ではない
敵にも誇りがある・・見て見ろ大城」
崎景子・観測長が報告する
「敵艦接近!6隻の空母と思われます」
誠矢はその報告に驚いた
「何だって!?」
ハヤテ相手に・・正気か?
まだハヤテの力を知らない時なら解るが
一体どんなつもりで近づいて来るのか?
誠矢が怪しんでいると・・勝艦長が
「敵艦の方から近づいて来るのだ
・・出迎えてやれ大城!」
「はい艦長!」
何を企んでるかは知らないが・・余りハヤテを
舐めるなよ!
「小原 主砲準備」
小原は誠矢の指示を復唱する
「ハヤテ主砲準備」
主砲の照準を敵空母に合わせ
後は砲撃するだけである
「主砲発射!」
誠矢がトリガーを引くと同時に
ハヤテの一見細く見える砲身からは
想像も付かない威力の光線が
宇宙空間を青白く引き裂く様に直進して
ガルスグレーサーの空母艦隊旗艦
グローサタンの横にいた空母の船体を
丸い形に艦橋と甲板を丸ごと
削り取るように貫いた
そのまま爆発炎上し宇宙に四散する
勝艦長はこれで敵の空母は後5隻だ
だが何かを仕掛けて来る事を予感した
「敵空母艦隊が小惑星に隠れました!」
「何!?」又・・同じ事を?
ハヤテに小惑星を散弾の弾として利用されたのに
何を考えている!?
誠矢耳に聞き慣れた声が飛び込んでくる
「誠矢・戦闘隊長あの小惑星はデーターに
有りません!」
それはDr.北本の許可を得て現場に復帰した
真耶の声だった。
「データーにない?」
誠矢は冷静に真耶の言葉を聞き返す
「木星基地の長年の観測の功績で
アステロイドベルトの小惑星3Dデーターは
完全なものになっています・あの小惑星は
データーに合致しません」
成る程それじゃあれはデコイ
つまりは(偽物)って事か?
その分析通り空母が隠れたその小惑星が
ハヤテめがけて突進してくる。
ガルスグレーサーサイドも
ハヤテ攻略を早々と進めていた
「幸い奴は一隻だ・・性能の高さに自惚れて
大切なことを忘れている」
ハヤテの常軌を逸した力を目の当たりにし
木星基地の司令室は水を打ったように
静まりかえっていた、そこにターナー司令の
いつも通りの冷静沈着な声が聞こえ
お通夜状態だった司令室の指揮が戻った
「ターナー閣下・・・」
グラダー副司令にとってターナー司令は
誰よりも尊敬する偉大なリーダーだった
木星基地の衛生95に属する第3衛星ガニメデ
太陽系に存在する中でも半径質量ともに
最大級の衛星基地こそがガルスグレーサー
太陽系攻撃隊の前線基地なのである
「あの小さな艦でアレほどの戦闘力を
持つのは驚異的だと認めてやらぬでもない」
ターナー司令は歯を剥き噛むように笑う
その笑顔には背筋が凍る冷たさがある
「だが・・エネルギーには限りがある・・
奴があの威力の主砲を後何回撃てると思う?」
ターナー司令の言葉にグラダーは
「駆逐艦サイズであれば確かに・・
もうそろそろ限界かと思われますが・・」
ターナー司令は勝ち誇ったように更に
自信の予測と計略を説明する
「そうその通りだ、だが奴には二つの狙いがある
一つは我等の目を己に引きつけその間に
この木星基地を別艦隊に強襲させるというもの
つまりは囮と言うわけだ」
ガルスグレーサーの情報網も太陽系防衛艦隊の
動きはつぶさに掴んでいた
この情報は当然、副司令も知るところである
だからこそもう一つが大きな意味を持つ
「同感です・・・併しもう一つと申されますと?」
ターナーはテーブルの上に両肘を突き
口元を隠すように手をあてると語り出した
「奴は我々を引っかき回すだけ引っかき回し
混乱させ本体が木星に到着したら
小惑星帯から全速力で逃げる算段なのだよ」
成るほどである、それならハヤテの
後先考えない高出力のエネルギー兵器の
使用にも説明が付く
「つまりはだ・・奴をこのまま小惑星帯に
封じ込め消耗させてから沈めるのが
最適のハヤテ攻略法だというわけだ」
知将ターナーに対しグラダー副司令は
大いに感心し誇らしく感じた
「流石はターナー司令・・このグラダー
感服いたしました」
そしてハヤテを小惑星に足止めさせる
餌としてグローカー空母艦隊旗艦グラダーと
5隻の空母を生け贄にする作戦が決行された
ガルスグレーサーは人工的に小惑星の
デコイ(偽物)を無数に配置していた
其れをリモコン誘導しハヤテの居る宇宙域に
移動させたのである
激しい戦闘のため小惑星が多数移動している
今の状況は引責とデコイ小惑星の違いを
上手い具合にカムフラージュしてくれた
こうしてハヤテにここまで気づかれずに
デコイ小惑星をハヤテにブツケる作戦が
実行できたのである
「敵デコイ小惑星が向かってきます!」
飛んでくる小惑星の引力に影響され他の関係ない
ただの小惑星までもがハヤテに向かって飛んでくる
如何にハヤテの主砲でも全てを撃つのは
現実的ではない、避けようとはするが
ガルスグレーサーがハヤテに向かうよう
小惑星にミサイルを撃ち更に数が増す
巨大な障害物が無数に迫りハヤテの装甲に
岩石が無数に被弾する
そのまま巨大な小惑星に衝突する
そう思ったその時
「前方に向けて主砲発射!」
ハヤテが3連2門の主砲を撃つと一瞬で
眼前に迫った小惑星が吹き飛び
そのまま小惑星の中に突っ込んだ
この光景を司令室メインモニターで観ていた
グラダー副司令は今度こそハヤテが
小惑星に衝突して粉微塵になったと喜んだが
「よーし!奴めまともに頭から岩石に
突っ込みおった!よーし!」
だがそう喜んだのも束の間、巨大な岩石に
無数のヒビが入り内部が赤色に発光すると
岩石が粉々に吹き飛びその中から無傷で
白銀に輝く船が飛び出してきた
「何だと!?」
そのまま幾つもの岩石を衝突する都度
粉々に粉砕しながら雨霰と岩石が
自由運動で動き回る散弾銃の嵐となった
アステロイドベルト帯を突っ切りながら
元凶になった宇宙空母艦隊に向けて
主砲を発射する、その砲撃を避ける
盾にしようと小惑星を空母の前に移動したが
主砲の光線はそのまま小惑星を貫通して
敵空母の格納庫に命中し、中の艦載機や
火薬庫に引火し誘爆する以前に
空母の下半分が蒸発し爆散した
此は・・本当に怪物だ!
ターナー司令もこのハヤテの信じ難い鬼神の
戦いぶりに戦慄を覚える・・
そして見る間にハヤテは岩石散弾の嵐の中を
飛び回りながら残った空母を狩り続ける
何という頑丈さ・・そして底なしのスタミナ・・
巨大戦艦並の破壊力・・信じられん
ヘルターナー司令は確信した
俺の敵は・・真の敵はこいつに間違いない
この敵こそ我が人生最大の強敵になる!!
宿命の・・強敵!!
このヘルターナが銀河の辺境で初めて
出会った強敵だ!!
そして異常な強さを目の前で発揮する
ハヤテの姿を見て
「ああ此は・・駄目だな・・無策で勝てるような
相手ではない・・」
グラダーはターナーが狂ったかと次の
台詞を聞いて思ったが・・
「俺は一度奴に負けるぞグラダー」
そう言ったターナの目がかってないほど
自信と闘気に満ちているのを見て安堵の溜息をつく
「解りました次の勝利のために・・で
御座いますね?」
ヘルターナーは覇気を全身から漲らせ副官に
「当たり前だ!!」 一言そう応えた。
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「敵空母艦隊全艦撃沈!」
「ハヤテダメージゼロ!」
「戦闘継続可能です!」
ハヤテ各班長に艦の状況を
つぶさに伝えられると
勝艦長は時間を手元の
デジタル時計を確かめた
「10分を切ったか・・」
「艦長・・囲まれました」
崎景子 観測長の報告通り敵の大艦隊が
アステロイドベルトの中にいる
ハヤテを包囲するように外周を取り囲んでいる
「この戦い長引かせる訳にいかん」
ハヤテの真の実力をまだ味方にも
知られるわけにいかないのだ
「大城 超宇宙竜巻ジェットトルネードを
使用する準備を急げ」
ハヤテの決戦兵器をここで!?
だが誠矢も味方が来たら絶対に使用できない
破壊兵器だと解っている、此処で躊躇えば
本隊に犠牲が出るかも知れない
「復唱します!ハヤテ超宇宙竜巻砲
発射準備に入ります!」
「発射シークエンス開始」
ハヤテ艦首に2本の角状の突起がせり出てきた
「電子光波照準器作動!」
そしてハヤテの美しいブルーラインが
エネルギーの血流を思わせる脈動を始めると
ハヤテの前方に強力な力場が発生し
其れが少しづつ渦を巻いて回転しだした
「ジェットトルネードカノン発射!!」
誠矢がトリガーを引くとハヤテの前方あら
超巨大な宇宙竜巻なるものが発生し
大量の小惑星諸共にガルスグレーサー艦隊を
その渦の中に巻き込み粉微塵に破壊した
それは木星の衛星ガニメデにある
ガルスグレーサー前戦基地にも観測されていた
「何だと!竜巻を発射したのかあれは?」
グラダー副司令はハヤテの常識外の戦闘力と
戦術にうなり声をあげた・・
「恐るべき事だ・・もし・・あそこに
我等が居たらと思うと鳥はが立つ」
そう言って副司令は命に別状無く
ピンピンしている
グローカー第8空母隊隊長と
シューカー第15戦艦艦隊隊長を見る
二人とも命拾いしたという表情ではない
悔しさがにじみ出ている
「我が旗艦グローサタンを囮に使い失いました」
グローカーはそう言って悔しげに拳を震わせる
そしてシューカーも
「何隻もの戦艦を・・一発も敵に攻撃も出来ず・・
失うとは・・末代までの恥です」
そこでヘルターナー司令が一言
「悪かったな・・お前達に屈辱的な
命令を下したのはこのターナーだ」
その言葉に3人の男達は涙を拭う
「いえ!我等に無駄死にせず次の機会を
与えて下さった閣下には感謝しか有りません」
「その通り!必ずやお役に立って見せます!」
「我等の忠義をご覧下さい!」
ヘルターナー この男には人を
惹きつける魅力があった。
数年前に亡くなった友人の遺作です
10代の頃に書いたものなので
多少時代が古く感じられるでしょうが
宜しければ読んで見て下さい
亡き友に贈るメモリアルストーリー。
疾風 (神風型宇宙駆逐艦)
艦歴
発注西暦2986年度艦艇補充計画
起工2997年11月11日[1]
進水2998年3月23日[1]
竣工2998年5月11日[1]
性能諸元
排水量基準:1,2700t 公試:1,4000t
全長133メートル
全幅9.16メートル
機関グランディディエライト号艦本式缶4基
艦本式グランディディエライト2基2軸
速力光速の50~80%
航続距離∞
燃料水素:∞
乗員1540名
超高密度装甲オスミウム
兵装
主砲50センチ・アレキサンドライト・カノン3連3門
副砲35センチ・アレキサンドライト・カノン3連2門
45口径12cm2連装砲40門
銀河式53cm連装宇宙魚雷発射管30基
(宇宙魚雷100本)
留式77mm機銃2挺
爆雷180個
王家魔導炉システム
シルバニアによって
ハヤテ内部の物質は全て
10分の1に圧縮・縮小される
此れを称してシルバニア現象と呼ぶ。
王家システム兵装
超宇宙竜巻ジェット・トルネード
超重力グランディディエライト・カノン
超圧縮恒星砲クオークオーンプラズマ(QGP)