アステロイドの戦い(後編)
西暦2998年、突如として地球はガルスグレーサーと
名乗る
異星人に侵略戦争を仕掛けられた、そして圧倒的な科学
力の差により
危機的な状況に陥る、主人公たちは新型の戦艦に乗るこ
とになるが
それは小型の駆逐艦ハヤテ、がっかりする主人公達だが
ハヤテに乗り込むと、そこは全ての物体が10分の1に
なっている
世界で、本当のハヤテは全長1300メートルを超
える巨大戦艦だった
見た目は駆逐艦、中身は巨大戦艦、敵を欺くにはまず味
方から
地球を防衛するために真の実力を隠して活躍するハヤテ
を御覧下さい。
ハヤテは木星のガルスグレーサー星軍を
相手に只一隻で孤軍奮闘の戦いを
繰り広げている
この作戦ではハヤテが囮役になり
敵の注意を引きつけている内に
太陽系防衛艦隊が全艦をもって敵基地を
強襲するのが筋書きだったのだが・・
ハヤテはアステロイドベルトで
敵の攻撃機300機に取り囲まれその上に
真耶が戦闘中に事故で倒れてしまうのだった。
誠矢は勝艦長の方を見る
「そうだな大城・・そろそろ敵に解らせてやる
頃合いだろう」
誠矢はこの作戦でハヤテが囮と聞いた時点で
此しかないと確信していた
「敵にハヤテの力を見せる時が来た!」
ガルスグレーサー星軍 その詳細は未だ
謎に包まれるこの侵略軍が太陽系と呼ばれる
天の川銀河の辺境に位置する地球と
いう惑星に進行し始めたのは8年も前から
ガルスグレーサー本星が何の意図を持って
こんな小さな・・価値の低い星に
固執するか知らないが・・・
兎に角ヘルターナーは飢えている・・
ガルスグレーサーは宇宙最大の捕食者
ならば俺はその中でも最強の捕食者に
なるだけだ
それが・・なんだあの船は・・?
本当に只の駆逐艦か・・?
ハヤテに攻撃機に搭載された対艦ミサイルが
突き刺さる、それが炸裂したのを観て
ターナーは残念そうに溜息を付いた
終わりだな・・あの速度・・恐らく
かなりの軽量化がしてあるはずだ
対鑑ミサイルの直撃を受ければ
只では済まない、恐らくは大破
良くて中破だろう。
ミサイルの爆炎に包まれハヤテの本体が
中々見えない・・小型艦ならではの弊害だ
あの黒煙が晴れたとき、あの小型艦が
半壊した哀れな姿を晒すのだろう
そう思っていると、煙の中から
白銀の船体を美しく輝かせたあの
小さな船が姿を現した
その船体には破壊痕どころか傷一つ無く
光り輝いている
あり得ないだろう!?確かに直撃した
この目で見たのだから間違いない
ターナーは表情には見せず
ちゃんと敵と認識してハヤテを観た。
あの船は何かがおかしい・・
不吉な予感をターナーは抱いた
だがターナー司令のそんな心の動きを
何も知らずにいる副司令のグラダーは
ハヤテがミサイルの直撃を食らっても
沈まないのに苛立ちを隠せずにいた
「己~雑魚のくせにしぶとい奴め・・
だがミサイル攻撃は有効なのだ
このまま攻撃を当てれば必ず沈む!」
如何に俊敏な動きでも多勢に無勢
波状攻撃すれば何発でも命中させる
事が出来る!
1発2発、次々に命中していく対艦ミサイル
それに一喜一憂していたグラダー副司令も
それが6発も命中した辺りで言葉が無くなる
「何故だ?・・・何故奴は沈まないのだ?
対艦ミサイルだぞ!?3発も当たれば
どんな戦艦でも沈む威力なのだぞ・・
どうなっているんだ?」
戦艦でも3発で撃沈される2倍のダメージを
受けて、悠々と宇宙をいくハヤテの姿に
グラダー副司令は背中に冷たい物を感じた
そしてハヤトではエネルギーサージを
全身に受けて気絶した真耶を艦長命令で
補助席に座らせて誠矢が席に戻った所だった。
ハヤテの主砲の使用を解禁した
勝艦長に誠矢の心臓は此までになく
強烈な鼓動をたてる!
ドクン ドクンと 血流が激しく脈打ち
圧倒的な力が漲ってくる
「ハヤテ主砲アレキサンドライト・カノン発射!」
ハヤテの3連3砲門の主砲が火を吹き
斜線上にいた数機が蒸発した
そのままハヤテが撃った光線は何処までも
伸びていきやがて観測不可能になる
だがそんな暇な事をやっている場合ではない
ハヤテが主砲で攻撃し始めたのだ
攻撃機300が次々に撃墜されていく
そのやられ方も尋常ではないやられ方だ
ハヤテのエネルギー砲が光線を放つと
光線の通った周辺に居るだけで
攻撃機が何か見えない衝撃によって
空中分解しながら爆裂四散する
これによってハヤテが撃った主砲の
たった数発だけで50機程の攻撃機が
破壊されている
「ええい!小惑星を盾に使え!
何のためにわざわざ敵艦を小惑星帯に
おびき寄せたと思っておるのだ!」
グローカー第8空母隊隊長は語気を強め
そう命じるが、ハヤテの砲撃に異常を感じていた
「何か変だ、あの駆逐艦の砲撃は」
133メートルの全長にしては
砲門数が多すぎる、そのせいで1門辺りの
砲門の口径は主砲でも50ミリ程度しかない
あれでは大した威力は無いはずだ
狭い面積に欲張って過度な砲門数を設置した
恐らく設計ミスだろう・・一体どんなバカだ
あんな設計をしたバカは?
その拳銃の口径しかないとバカにしていた
ハヤテの主砲が意外と強力だと解った
・・だが・・小惑星を盾にすれば
避けることが出来るだろう
そして小惑星の影から再び波状攻撃すれば
今度こそあの船を沈めることが出来る
小惑星の陰に隠れた攻撃機のパイロットは
ハヤテからの攻撃から逃れられた事で
安堵の溜息を漏らした次の瞬間
その小惑星が突然飴のように溶け
一閃の光線が攻撃機を貫いたのは
グローカーは余りのことに一瞬表情が固まった
更にハヤテの砲撃は四方八方に対して行われ
小惑星の影に隠れている攻撃機達を
小惑星ごと貫き破壊していく。
「何だあの貫通力は!?」
宇宙空母艦隊が身を隠す
大きめの小惑星が
ハヤテの主砲に当たった瞬間
5メートルの灼熱した穴が開き隠れていた
グローカ艦隊の空母の一隻に被弾した
その空母の船体が爆発し装甲に大穴が開く
ハヤテはそのまま主砲の角度を変え
ハヤテの斜線から逃れた気でいる
攻撃機とそれらを運んできた空母が
身を潜める小惑星に対し更に砲撃を加えた
ハヤテの主砲に貫通されていた小惑星は
ただ貫通されていた訳ではない
その内部には途轍もない量の熱エネルギーが
渦巻いている
そしてその小惑星に溜まっていた
膨大な熱エネルギーが有る状態で
ハヤテの主砲で再び撃たれたのだ
光線が貫通する瞬間、小惑星は爆散した
その小惑星の岩石が散弾と化して
グローカー空母艦隊に襲いかかる
散弾となった岩石の衝突により攻撃機隊が
巻き込まれ途方もない被害がもたらされた
空母も大きな岩石に直撃された何隻かは
無惨な姿に変わり果てる
この一瞬で・・・ハヤテは恐怖の印象を
敵兵に植え付けた
そしてハヤテは全方位に向けて
砲撃を発射しだした
この信じられない事態にガルスグレーサーの
誉れ高い兵士達が恐怖の声を上げる
「化け物だ!逃げろ!奴の攻撃から逃げるんだ!」
「あんなものを喰らったら一溜まりもないぞ!」
その調子で攻撃機帯300機は我先にと
編隊を乱して回避行動を取るが
有る者は岩石に衝突し
また味方同士で接触し爆発する
機体もあった、アステロイド帯は今
ハヤテによって阿鼻叫喚の地獄となった。
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ハヤテ艦内では
「どうやら敵はハヤテの主砲の威力を
解ったようですよ春吉さん」
春吉進一郎・総科学長はハヤテの
破壊力に興奮する若い誠矢を
冷静に応えることでクールダウンさせる
「当然の反応だよ」
「ハヤテの主砲50センチ
アレキサンドライトカノンは
シルバニア現象のせいで
10分の1に圧縮されるため
5センチで発射される」
「ハヤテから発射されたエネルギーは
威力はそのまま10分の1に
圧縮された状態の光線として
目標を破壊するのだからね」
誠矢は春吉の冷静な態度を観て
少し冷静に戻れた・・春吉に感謝しつつ
「とーーー言うことは50センチ砲をそのまま
撃つよりも遙かに破壊力も貫通力も
アップする訳ですね春吉さん」
「その通りだホースの水は口を窄めた
方が勢いよく出るから其れと同じ原理さ!」
ハヤテの化け物じみた破壊力を
水道ホースで例えられると
何か納得行かない感じはするが
誠矢は「凄い攻撃方法を考えましたね」
そう言う以外無かった。
誠矢と春吉がそんな話をしていると
補助席で休んでいた真耶が目を覚ました
「真耶大丈夫か?」誠矢に気づき
真耶は大丈夫だと言うがまだ
朦朧としている様子だった
勝艦長は戦局の状況が落ち着いたのを確認して
「誠矢、直ぐに医務室に連れて行ってやれ」
誠矢は艦長に感謝すると真耶に手を貸し
第一司令室を後にした、だがその後ろに
春吉が着いて来る
「私も行こう真耶君のダメージが
気になるからね」
それを心配そうに見送る
ハヤテ・メインメンバー達だった。
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ガルスグレーサーもハヤテが
本来の大きさの1000メートル級の
戦艦だったらこんな油断はしなかっただろう
安易に小惑星帯に放り込めば
強力な火力により反撃される事も考えられた
だが・・ハヤテは神風型宇宙駆逐艦
火力など無いに等しい脆弱な兵装しかない
そう考えるのが常識だった
「何なのだアレは!?」
グラダー副司令は怒りで思わず拳を握り締める
恐る恐るターナーを見るが
司令の表情は変わらない、恐るべき胆力の
持ち主、さすが太陽系攻撃隊司令である
だがそのターナー司令の胸中は
決して穏やかではなかった
やはりあの船は不吉だった・・俺の予感が
ハズレることはまずない
アレを只の見た目通りの船だと侮れば
恐らくとんでもない目にあうぞ!
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ハヤテの医務室は最新の設備が完備された
素晴らしい環境だった、真耶はそこで
精密検査を受けている
特にエネルギーサージによる
脳の異常はないかを徹底的に調べられた
誠矢は真耶の様子を心配そうに見守っている
真耶の脳波と心電図を立体パネルで
観察しながら北本五郎医師と春吉進一郎は恐るべき
事実を誠矢に伝えなければ成らなかった
「本当にそれで納得させられるか?」
北本の言葉に春吉は
「仕方がないよ・・まだ王家の力の
事を彼に知られるのは時期早々だ・・」
「だからってエネルギーサージを
理由にするのは少し乱暴だよ」
「良いから私に話を合わせてくれ
これもすべて王家のためなんだ!」
どうやら春吉は北本医師を説得している
様子である
「・・王族の力などに目覚めなければあの子も
普通の少女として幸せになれただろうに」
悲痛な顔で北本医師は俯く
「王家の船の目覚めにはどうしても
男女二人の王族直系の血が必要なんだ
地球の命運が二人に掛かっているのだ!」
春吉はいつもと違い非情な様子を見せる
心を鬼にしなければこの戦いには勝てない!
医務室で誠矢を前に北本医師と春吉が
真耶の状態について説明する事となる
「先生・・真耶はどうなんですか?」
誠矢は目の前の二人の様子がただ事でない
と感じて緊張し思わず身構える
まず、春吉から話し始めた
「私は科学で解明できない物は
この世にはないと思っていた
まして・・ましてだよ」
春吉は真耶の脳波計を示しながら
「このような脳の異常活動があろうとは・・」
その言葉を補足するように北本医師も語る
「それは医師の私でさえ信じられない事なんだよ」
「私は20年以上この仕事に打ち込んできた
だが・・こんな事が本当にあるとは」
春吉が本題を切り出す
「彼女の症状は病ではなく・・もっと
オカルトチェックな事なんだ」
誠矢は春吉の言いたいことがチンプンカンプンだ
「病気とかではないんですね?
じゃあどう言う?」
「それは・・彼女が恐らく強力な超能力を持つ
エスパーになっているかも知れないんだ!」
!? 何ですって?
二人の真剣な表情に思わず誠矢は笑い出す
「まったく・・何を言い出すんです二人して
いい大人が真面目な顔して・・・
冗談もいい加減にして下さいよ」
自分が担がれている位にしか捉えない誠矢に
春吉は
「まあ俄に信じろと言う方が土台無理だろう
・・今は経過観察していこうというのが
Dr.北本と私が出した答えだ」
つまり後は真耶の様子を見ていこうと
言うことなのだろうと誠矢は理解した
それにしても真耶がエスパーねぇ・・
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数年前に亡くなった友人の遺作です
10代の頃に書いたものなので
多少時代が古く感じられるでしょうが
宜しければ読んで見て下さい
亡き友に贈るメモリアルストーリー。
疾風 (神風型宇宙駆逐艦)
艦歴
発注西暦2986年度艦艇補充計画
起工2997年11月11日[1]
進水2998年3月23日[1]
竣工2998年5月11日[1]
性能諸元
排水量基準:1,2700t 公試:1,4000t
全長133メートル
全幅9.16メートル
機関グランディディエライト号艦本式缶4基
艦本式グランディディエライト2基2軸
速力光速の50~80%
航続距離∞
燃料水素:∞
乗員1540名
超高密度装甲オスミウム
兵装
主砲50センチ・アレキサンドライト・カノン3連3門
副砲35センチ・アレキサンドライト・カノン3連2門
45口径12cm2連装砲40門
銀河式53cm連装宇宙魚雷発射管30基
(宇宙魚雷100本)
留式77mm機銃2挺
爆雷180個
王家魔導炉システム
シルバニアによって
ハヤテ内部の物質は全て
10分の1に圧縮・縮小される
此れを称してシルバニア現象と呼ぶ。
王家システム兵装
超宇宙竜巻ジェット・トルネード
超重力グランディディエライト・カノン
超圧縮恒星砲クオークオーンプラズマ(QGP)