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那須家の再興 今ここに!  作者: 那須笑楽
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43 小田家評定

小田家もいよいよ世に躍り出る準備に向かいそうです。

 




 時は少し遡り8月下旬、常陸小田家にて重臣達による評定が開かれた、評定の場に那須家重臣『那須七騎』芦野資奏が加わっていた。



「これより小田家重臣による戦評定を行う、皆も知っている事ではあるがこちらにおられるお方は那須家重臣、芦野資胤殿である、那須家当主資胤殿の親族衆の方である」



「では某より那須家の軍略を申し上げ致しますので小田家の皆様と共に佐竹めに一泡吹かしましょうぞ、ではご説明致します」



「この地図をご覧下さいまし、佐竹は明年5月にこの道を通り那須烏山城に3500強の兵で、侵攻して来ます、途中那須家では、騎馬隊を組み徹底的に兵を削ります、佐竹は太田城を出立し二日目の夕方に烏山城近くに布陣します、城への攻撃は三日目早朝からと思われます」



「那須家では、太田城から烏山城に着く前に1000名は削る予定です、三日目早朝より攻撃を開始した佐竹を確認し、同じ日早朝に、小田様の兵は太田城へ進軍して頂きます、太田城に着き次第、城攻めを行って頂きます」



「但し、小田様の攻撃は犠牲の伴わない攻撃で結構です、小田家に太田城が攻撃されているという知らせが、太田城から佐竹本軍に伝わらせる事が大切です、犠牲は必要ありませぬ」



「那須家を攻撃しております佐竹は、小田家から太田城を攻撃されているとの知らせを受け、撤退に入ります、撤退を開始した佐竹を那須騎馬隊が佐竹の兵を徹底的に削ります、やっとの思いで太田城に戻られる兵は1000程度でしょう」



「大田城に戻った兵を那須家と、小田様の兵で挟撃を致します、これで詰みとなります」



「ここまでは、前半になります」



「次に、撤退した佐竹を追撃しながら我ら那須は佐竹の領土を取りに行きます、もちろん小田様が支配する領地には近づきません、同じ様に、小田家の皆様も、佐竹が領としている霞ケ浦の東側一帯をお取りください、鉾田、行方、潮来、鹿島、神栖を押さえ、お取り下さい」



 那須家の軍略を聞く、小田家重臣達、佐竹を叩きその上、佐竹領まで手に入れる事をいとも簡単に絵に書く軍略に静まり返った評定、小田家猛将真壁が声を上げる。



「この様な軍略某聞いた事がありませぬ、佐竹は40万石の大国、それを失礼ながら、小田家よりやや小さき那須家からいとも簡単に叩きのめし、領まで得る絵を描かれるとは声も出ません」



「戦場では我が武勇は誰にも引けを取りませぬが、これはその様な類のものではありませぬ」



 一同、皆、静まり返り、顔色を変え驚愕していたそこへ、重臣菅谷が声を上げる。



「御屋形様この軍略は、先の今川義元公が討たれた織田信長殿が行った、桶狭間の戦いを超える軍略と思われます、某その様に感じます」


 


「芦野殿、少しお聞きしたい、先ず佐竹が烏山城に向かう道中でいかように1000名もの兵を削ると申されるのか?」



「はっ、我ら那須家は代々騎馬にて弓を用いて戦います、他のお武家様とは戦い方が違います、近づいては弓を放ち、放ちては離れます、その騎馬隊を複数作ります、那須家に進軍して来る佐竹軍に、全方向から襲います、絶え間なく、城前に着くまで襲います」



 「夜襲も行い、ひと眠りもさせませぬ、ゆえに控えめに1000名と申しております、負傷させればいいのです、戦力を削ればいいのです」



「なるほど、それでは、佐竹の兵が削られていく姿が目に浮かぶのう、那須家では烏山城に着陣した佐竹に対して籠城戦で迎え撃つのではないのですね?」



「はい、那須家の戦法に籠城はありません、野戦にて迎え撃ちます」



「うむー、では佐竹が攻撃を開始した、その日が勝負なのですね」



「そうなります、仮に小田様との連携が取れなくとも充分に佐竹軍を追い返せるであろうと言っておられました、但し、その場合は、佐竹の領は得られぬであろうとの事です」


 


「では、共に行動を起こせば佐竹の領を得られると判断なのですね」



「はい嫡子様その通りです、軍師殿のお話しでは、佐竹は40万石の大国です、一度の勝利では佐竹を攻略するのは無理であろうと、佐竹を弱らせるには佐竹の領を得るのが最善であると」


 


「もしや那須家軍師とは、那須家嫡子、正太郎殿ではありませぬか?」



「着磁様、御明察の通りです、この度、嫡子那須正太郎様が、那須家 軍師に成られました」



 一同、驚き、冷気が籠り、鳥肌が立つ事に、小田家重臣飯塚より。



「誠に失礼な事をお聞きいたしますが、この軍略は、正太郎殿の書かれた絵図で御座いますでしょうか?」



「はい、その通りで御座います、皆様も驚かれているご様子、私ども那須家重臣も、正太郎様より軍略を聞きました時は、全身から汗が噴きだし脳天からつま先へ、雷針が落ちました、今の皆様と同じ顔色となり晴天の霹靂という、言葉の意味を初めて知り申しました」



「もしやと思いましたが、もっともな話であります、正太郎殿であれば、正太郎殿こそであるからこそ出来た軍略です、他の者では考えつかない軍略であります」



「父上、那須正太郎殿の考えた軍略です、佐竹をこちらから攻略し、那須家と同様に小田家も戦国の世に躍り出る時が来たと思います、天が小田家に時が来たと申しております、と彦太郎は理解しました」



 正太郎と彦太郎・・・戦国の世に同じ年に生まれ、奇しくも、佐竹という大国を敵に回して、僅か両家で12万石(那須家5万石小田家7万石)の小さき家が、飛翔の態勢に、今まさに、飛び立とうとしていたのである。





正太郎と彦太郎の活躍期待したいです、しかし史実では間もなく織田信長が戦国の覇者にならんと踊り始めます。

次章「奇貨」になります。

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