今成家の謎?・・・1
「ほぼこれで資晴は新しい幕府に向けて着手出来たのね、もう私達の助言がなくても大丈夫な処まで来たのね、あ~私の人生、歴オタの青春が新しい幕府に繋がるなんて最高だ~!!
もう充実過ぎて世界一周したい気分だよ、お店も順調だし、ねっ!! 洋一さん!! 世界一周でも検討して見ない、人生は一回、最大のご褒美にどうかな?」
「えっ!・・・世界一周・・・ちょっと待ってよ、旅行はいいけどそんな大それた旅行計画なら数年かけて準備しないと、自分の仕事柄農家回りもあるからいきなりは無理だよ!! それに自分が何故那須資晴と繋がったのかと言う最大の難問はまだ解決していないよね?」
「実はそれも解決済みよ! 自称歴オタの玲子様、那須家の軍師玲子様だよ、もっと言うなら460年先の未来から戦国時代を早く終わらせた救世主って感じの玲子様です、その問題は解決済みなんだよ~んだ!!」
「何ですかその高いテンションとおやじっぽい だよ~んって!?」
「あっははは、実はその難問を昨夜の夜中に解けたの、だからチョットテンションが爆上がりなんだよ、身体が熱気に包まれて火照ってるの、ちょっとやそっとじゃ冷めない状態なのよ!!」
「じゃー本当に解けたのならドレスコードして高級レストランで乾杯します? その位はご用意しますよ、知り合いの農家が納めている三ツ星があるって言ってたから、その農家さんからなら予約取れるって、いつでも相談してねって言われているから!!」
「え~本当! 洋一さん素敵! ドレスコードなんて初体験かも・・・」
「じゃー玲子さん、その最大の難問だった疑問が解決した説明をお願い、自分と資晴が繋がった理由を教えて!!」
「じゃー、発表しますか!! 世紀の大発見的な洋一さんと資晴の不思議な世界について!! では最初に洋一さんが最初に那須与一らしき人物と繋がって気絶した時の事を思い出して!!」
洋一が最初に那須家と関わった件とは中学一年の時に部活の顧問に連れられて、同じ一年生4人と一緒に、弓で、世界で一番有名な伝説の偉人、たった1本の矢で歴史を変えた『那須与一』を学ぶ為に、栃木県大田原市の道の駅にある、那須与一 伝承館という人形劇で屋島の戦いを再現鑑賞劇を見に行った時だった、それは、平家が漕ぐ小舟に乗った女性が、義経を中心とした源氏に挑発する場面、小舟の上で棒に刺した扇を砂浜にいる義経達に『お前たちにこの扇を打ち落とせる勇者がいないであろう』という挑発をする有名な場面が登場。
挑発された義経は『見事あの扇を打ち落とせる者はいるか?』と、自軍の兵士に向かって声をかけて何人かの坂東武者が名乗りを上げ義経の元に集まって来るが、ある武者が一人の若者を弓の名士であると言って連れて来た、それが那須与一であった。
義経は集まった坂東武者達一人一人に聞くんだ『お前はあの的を本当に落とせるのか?』と、坂東武者達は俺なら打ち落とせると自信たっぷりに答える、最後に与一に向かってお前はあの的を落とせるのかと聞く義経『大変に難しいことなれど、命とあればこの命に代えて』と答えると若武者、義経は周りにいる武者たちにこの若者に任せると宣言、その理由は、坂東武者の性格は自分を抑えることが出来ず、自分の力を過信する所がある、しかしこの若者は冷静に今起きている場面を誰よりも理解しているという理由であった。
義経は『この若者に射る事が出来なければ誰にも成しえることは出来ないであろう』と宣言し、『おぬしの名はなんという』『はっ、那須資隆が十一男 那須与一と申します』と、答え義経は与一に見事に扇を射ち落とし与一の名を天下に示せと命じます。
命を受けた与一は愛馬 鵜黒に騎乗し、小舟の浮かぶ浜に移動します、砂浜から海の中に愛馬鵜黒の足が海の中に愛馬の膝が見えなくなる深さまで浸かります。
与一は心の中で己の決意を歴史に残る名文句『南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくは、あの扇の真ん中へ射させてたばせたまへ、これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に二度面を向かふべからず、今一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢外させ給な。』と宣言し鏑矢を一射入魂の矢を放ちます。
平家の軍勢と源氏の軍勢が静寂となり波の音までもが消え全ての諸天が見守る中、与一の放った鏑矢は音を立て扇に向かい見事に打ち抜き、扇は海に舞い落ちていった、その人形劇を見た洋一は、全身から血が沸き上がりその場で気を失ってしまう。
気を失って床に伏せている洋一、騒然とする場内、救急車で近くの日赤に運ばれ緊急措置が行われる。 搬送された洋一はそのまま処置室に運ばれ、検査を受けるも原因が不明の状態で約5時間もの長い間、意識を回復しないのであった。
しかし洋一の意識の中では全くの別の景色が見えていた、自分に語り掛ける武士がいた、何故かその武士こそ那須与一だという確信が、そして洋一に語りかけた。
「このままでは那須の家は滅亡する、湯西川の奥地にある平家の隠里を訪ね、鞍馬なる者を探せ、その者たちがお前の助けになるであろうかと、最強の弓を手にし、那須家を蘇らせるのだ、今成家の者よ、あの日の誓いを、ワシとお主と我が子孫は繋がっているのだ、わが子孫を助けよ。」
洋一はこの時に与一から那須家を頼むという不思議な光景を、気を失っている中深い意識の中で与一が語りかけていた最初の場面にこそ解決のヒントが含まれている事を玲子はそのカギを見つけたのであった。
「最初の中学生の時に起きた不思議な現象、じつはこの中にカギとなる言葉が含まれていたの、そのキーワードが『あの日の誓いを』って話しかけているよね、じゃーこのあの日って何の事? ずーっと見過ごしていた言葉なんだけど、この『あの日の誓いを』って言葉が最近気になって何の事なのかとおもって過去の資料を点検した処、これかも知れないって・・・そしてこれだー!! って事で一気に解決したのよ!!」
「・・・『あの日の誓いを』って言葉は今成家の子孫である者への語り掛けた言葉だよね、洋一さんが弓道をしており、今成の子孫であり、偶然に那須与一 伝承館で壇ノ浦の戦いの人形劇を鑑賞した事がきっかけで与一と思われる者から洋一さんの深層心理に語り掛けられた内容があの日の誓いと那須家の滅亡を防げという事だよね!」
「そうですね、あの時の内容はその二つです、ただ誓いをしたから那須家を助けよという意味だと、だから結果的に那須家の滅亡を防げばいいだけだと思っていましたが、確かにあの日の誓いってなんの事でしょうね? 誓いを果たせって言い方ですね? 一体誰が誓ったのでしょうかね?」
「そうだよね、誰が誓ったのか? そこでもう一度過去の資料から関連しそうな事柄を点検したのよ、そうしたら気絶した時に語り掛けた人物は与一だろうという事で問題ないけど、他の関係者と言う言い方だと京都御所にいるあの鞍馬天狗が間接的に関係者って仮定するとすっきりして来るの!!」
「えっ、鞍馬天狗ですか?」
「言い方があれだけど、詳しく言えば律令時代の志能便、聖徳太子が律令を推し進めるために組織した者達、今は京都御所と那須家に仕える鞍馬天狗達の名前だけど、律令時代に那須の国が完成したのは那須国造碑に記載されている年号が689年には那須の国が既に完成されている、その領地が那須家の支配する領国、戦国時代末期まで約900年間も小さい大名の那須家が守り切った地だよね、律令時代から国の領地を守った家は私の知る限り那須家だけよ、広げる事も侵略からも守り通した家が那須家だよね、ここまでは洋一さんも良く知っているでしょう!」
「実に誇らしい事だと思います、今の栃木県の約4割近い面積を持つ国ですから、何しろ広いですよね、それを僅か5万石、那須資晴の時で最大7万石と言われている小大名が守り切った訳ですから実に凄い偉業だと思います」
「じゃー、次ね、その律令国家那須にも志能便は国を支える為に派遣されていたという事は当然と考えていいよね、志能便という言い方を鞍馬天狗に変えるけど、時代はいつしか律令から武家が支配する時代になって戦国時代に突入するけど、戦国時代になると律令を支えていた鞍馬達は那須の地を離れてしまい、鞍馬達の使命は帝を護る一点に絞られる訳、だから戦国時代にはもう鞍馬達はとっくに去っている事になるよる、ここまでは理解出来る?」
「そうですね、湯西川にいた鞍馬達は別として本家から派遣されていた鞍馬は戦国時代にはいないでしょうね、約100年続く戦国時代だから帝を護る事に専念しないと大変な状況でしょうね!」
「それと関連するんだけど那須の国から離れる鞍馬達は置き土産を一つだけ置いて行くの、鞍馬がこの地にいた証拠とも言える置き土産、それは神社よ、鞍馬達の神社と言えば熊野神社だよね、その熊野神社を一つ那須家の居城近くに残して去っているのよ、不思議な事に神社は沢山あるけど那須烏山城周辺には当時の資晴時代にもその一つだけが存在していたの、現在でも熊野神社は周辺で4社程度なの極端に少ないって判明したの、五穀豊穣を願う神社とは少し色合いが違うからでしょうけど資晴の時代はたったの一社だけの熊野神社が鞍馬達の置き土産、那須にいたと言う証拠か又は那須之国を守りたいと言う守護神として置き土産を置いて行ったのかもね!!」
「成程、その説明に納得出来ますね、鞍馬と言えば大天狗であり烏天狗と言えば熊野神社ですよね、自分達の足跡を熊野神社という形で残したんですね、でもそれとあの時の誓いって関係するんですか?」
「もう、勝手に話を進めないで、戦国時代の那須烏山の居城に熊野神社が存在した理由までは分かりやすいでしょう、では今成家と那須家の接点はどこにあったのか? これが解けないと洋一さんが資晴と繋がった謎が解けないのよ!!」
「え~・・・ご先祖様と那須家の接点ですか・・・小田原成敗で那須家も改易になりますよね、その時に北条家の家臣であった今成家も改易組に入りますけど、それも接点では?」
「確かにそれも接点と言えば接点だよね、でもそれは今成家が那須家に直接接触した接点じゃないから関係ないかも、時は戦国だよ、戦国と言えば戦争だよね! その戦争での接点はあったのか? なかったのか? これって大事じゃないかしら、今成家と那須家が戦場で戦う場面って想像したことある?」
「いや、玲子さんそれは無謀です、確かに今成家は北条家の家臣ですが、小さいとは言え大名の那須家と戦っても一瞬で終わってしまいます、家臣の中でやや禄高が高いと言う話ですが今成家の家臣は100人にも満たないでしょう、一瞬で壊滅しちゃいますよ!」
「謙虚な洋一さんらしい見解ですね、確かに城から出ての平地で今成家の侍達が那須家の騎馬隊と対峙したら一瞬でアウトだよね、でも条件が違ったらどう?」
「えっ、条件が違うって、戦う場面の条件ですか・・・そもそも今成家と那須家の軍勢が戦で衝突する場面って無いかと思いますが?」
「そうだよね、妄想的に今成家と那須家が戦う場面を考えても謎は解けないし意味がないよね、だけど・・・・でもね、じゃ~じゃ~じゃ~じゃ~ん! なんと戦った場面があったのよ、戦があったのよ!!!」
「え~~ちょっと! 本当にそんな大それた事があったんですか?」
「だから歴オタの軍師玲子様の偉大さが解るのよ!! えっへん!! 那須家と今成家がぶつかった証拠があったのよ、これって大きな接点になるでしょう!!!」
「ちょっと待ってください! 今成家のご先祖が那須家と戦に????」
「じゃーヒントね!! 今成神社が現在もあるよね、神社が何故そこに出来たの?」
「えっ! ・・・神社を勧進して寄進したからでは?」
「いやそうじゃなくて、何故あそこの場所に今成神社が出来たのかという質問よ!!」
今成洋一と那須資晴と繋がった謎が歴オタ軍師玲子によって解き明かされて行く、両者には460年間という刻の差が、時空を超えた謎に玲子が迫る!!
次章「今成家の謎?・・・2」になります。




