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那須家の再興 今ここに!  作者: 那須笑楽
298/331

298 大評定




小田原城大広間には三家の面々と上杉家他此度大合戦となる戦に参加する大名の当主と主要な重臣達による戦評定が行われていた、この評定では前半戦の戦略ともなる具体的な戦い方の兵の進め方と各家の役割が半兵衛より示され了解をえられ推し進める事に、そして議論が後半部分の那須資晴が天下取りを行うという宣言より勝利した後の日ノ本の政の姿を資晴が評定の間で披露し説明した事で議論が議論を呼び東国の大名達が新しい息吹に目覚める事になった。




── 政 ──




「今の話ですと新しい幕府を作られるとの話ですが、京では無く北条殿が支配する江戸に作られると言う事でありますな、そうなりますと帝の住まう京の都は遷都になるのでありましょうか?」



「京の都は簡単に遷都は出来ませぬ、西国は我ら東国より戦に明け暮れていた悪鬼魍魎の地です、帝が住まう京があったればこそ最後の希望となり民は一塁の望みを願っていたのです、遷都を行えば民は悲しみ希望を失います、西国の大名達は勝手な理由で又もや戦国に戻りましょう、ゆえに当面は遷都は考えてもおりませぬ!!」



「那須殿のお考えですと新しい幕府が出来た場合の我らの家々の事はどのようにお考えか? 特に領地などは保証されますでしょうか?」



「新しい政にはそれに相応しい人材が登用され律令《法律》の法を整え統一された政が必要となります、東国の全て、西国の全ての家々がその統一された律令を守り領内の政を行う事になります、例外はありませぬ、そして今の領地を富ある栄を民と享受して行くのです!」



「相応しい人材の登用とありましたが、我らの家からも排出するという事でありましょうか?」



「勿論です、信じられぬ話と思われましょうが新しい幕府となる江戸の地は後100年もすれば日ノ本一の人が住まう都市になります、200年後には南蛮も含めどの大国よりも大きい都市になります、北条殿のこの小田原城の城郭と町々に住む民の数は約10万と聞いております、この巨大な小田原でさえ10万なのです、100年後には小田原より10倍、200年後には20倍となります、そして最終的には130倍となります・・・・もう私でも想像出来ませぬ、今の皆様と同じ口が空いた程の都市に成長致します、我らはその礎となり新しい幕府、都を作る、いや創るのであります!!」



「・・・・某は何の話を聞いていたのか判らなくなりましたが、全く新しい国造りが始まると言う事だけは理解出来ました、是非に当家にも何某の役割を頂ければと思います!」



「勿論です、今は北条家と那須家、小田家にて江戸の地を開拓し城造りは北条家、町割りは那須と小田が何とか5万人程が住める地を整えましたが、荒れ地を整地し、水路を作り、人が行きかう道を作る作業は根気のいる仕事であります、多くの者が汗を流してこそ良い町が作られます、皆様のお力がどうしても必要となります!」



「那須殿! 我らの地は東国の中で寒冷の地が多く他家の家とは違い年貢が中々5公5民しか出来ませぬ、豊作の年は出来ても未だ稀となります、先程の律令の話で年貢は統一されますでしょうか?」



「今はまだ戦国です、兵数を整え武具も必要となります、家々によっては今南部殿が言われたように窮する家もありましょう、では新しい幕府が出来ましたら今の兵数も武具も必要なくなるとは思われませぬか? ある程度は必要ではあるが今ほどは不要となります、不要となった・・浮いた費用を開墾などに回せばどうなりましょうか? 5年後、10年後には充分な潤いとなりやがては5公5民で充分御釣りが出来る領地なりましょう、新しい幕府は各家の年貢迄は統一致しませぬ、それを行うには無理があるという事になります」



「判り申した、此度の戦で恩賞は得られるのでありましょうか?」



「先程の戦評定でも説明した通り乱取りは許しません、戦が終われば全ての地が新しい将軍による律令が行われるのです、敵地の民は我らと同じ日ノ本の民なのです、子は親を選ぶことが出来ませぬ、民も同じです、敵は民ではありませぬ、絶対に乱取りはお止めください、そして恩賞は・・最大の恩賞は戦の無い世が日ノ本に訪れる事です、益を求めての参戦であれば辞退して下され、この東国は随分長きに渡り戦を行わずに富を得ています、既に恩賞は先取りしているのです、ご理解を賜りたい!!」



「見苦しい事をお聞きいたしました、申し訳御座らん!」



「足利以前の鎌倉殿が幕府を開いた時は坂東武者が日ノ本の政を行いましたが、坂東の権力者たちの腐敗激しく結局は同族の足利氏により滅亡されました、同じ轍を踏まぬには何が必要となりましょうか?」



「鎌倉殿が平氏を滅亡させ作られた幕府の権力者達の多くは平氏に恨みを持つ者が多く、その力を集結させ幕府を作りましたが、いざ権力を握るとそれぞれが力を欲し一族の繁栄に拘り民を見ていなかった事が天から見放されたと言って良いでしょう、最後は冷遇していた同族の足利氏にという経緯は皆様もご存じであろうかと、大切な事は民が安心して暮せる政が出来るか出来ないのか、行うのか行わないのかであります、我ら三家の領民を見れば答えはあります、砂糖の含まれた麦菓子を子供が褒美として親から与えられ、家々では子が沢山おり米の飯を食する事が普通の事になっております、この幸せに感謝し田畑の開墾に励み希望の日々を送り安寧な国造りを行っている我ら武家の者を大切にしてくれております!!」



「戦国の世では民が一番被害を受けているのです、足軽として農民を利用し戦死しても放置する当主達、農民を使い捨てていながら年貢を取り立て自分達は米の飯を喰う政が正しいと言えるのか? このような愚かな天道に照らして恥ずかしい行いから正道な道を歩むのです、そこで新しい幕府には敵であった武家であっても大いに取り入れ役目を果たして頂きます、大きい家であればある程幕府の中で重責を担って頂き責任を果たして頂く、そうで無ければその地の民が浮かばれぬ、戦が終われば敵味方という言葉無用です、それが良い国造りであり鎌倉殿と同じ轍を踏まぬ事に繋がりましょう!!」



資晴が語る説明を聞き、時には質問した自分の愚かさに気付き反省する者、勝利した際に大きい恩賞が得られるのではと期待する者、そして一日でも早く領内の民に麦菓子を頬張り、そしてなにより民が米の飯に困らない政をしたいと希望を燃やす当主など多種多様ではあったが説明を聞く内に敵の住む領民は今も苦しい戦国なのだと理解した、敵となる大家の家おも新しい幕府では重責を担わせ国造りに参加させると言う度量の大きさに感服し何時しか目を輝かせ話に聞き入る一同であった。



「・・・・如何なされましたか? 那須殿!!」



「済まぬ・・・皆の目が輝き・・・某を見つめるものゆえ・・・無骨の者達の顔が童のようにおとぎ話を聞く顔付となっており儂の目も潤んでしまった! 無骨な者達であっても某と同じ夢を求めていると知り感激しておりました!!」



「これはしたり、皆様方那須殿が皆様の顔付で一本取りましたぞ! 聞き入る我らも・・・無骨者の顔付きであっても安心して新しい国造りに参加しようではないか!!」



「参ったのう、しょんべん臭い者達の顔付で那須殿を泣かせるとは一生に一度あるか無いかの顔付を我らはしていた事になりますな! ここにいる者は演技者の一流の役者の集まりよ、あっははははー」



「あっははははー、戦はいつの間にか終わったと勘違いしておりました、あっははははー」



「では那須殿この変でお開きに致しましょう、折角の場ゆえ、小田原名産の品々を用意しております、誼を深めましょうぞ!!」



「常陸からも生きの良いヒラメと名物のアンコウを沢山もって来ております、是非にご賞味下され!」



那須資晴は嬉しくて堪らなかった、ここにいる当主達も戦国と言う過酷な時代の中で生まれ育ち家を守るために時には裏切り裏切られる環境であっても受け継いだ領地を繁栄させる為に孤独な戦いをしていたのだという事を実感した、この日の前半に行われた戦評定では緊張感漂う張り詰めた評定、後半の新しい幕府を作るという話では目を輝かせ未来に向けて希望を抱く当主達であった、領地の違いこそあるが皆俺と同じであり一日も早く戦国の世を終わられ新しい時代が来る事を望んでいると知った資晴は只々嬉しくて仕方なかった。


この日の評定を終えてから10日後に忍びより関白が九州に到着したとの報告を受け小田大海将を除く海軍以外の部隊は小田原から出陣した、那須家の部隊は関ヶ原に、他の部隊は大阪城と伏見城に向けて進軍した、秀吉不在の大阪に10万を超える軍勢が突如進軍を開始した、又この部隊とは別に明智十兵衛の別動隊5000が三河徳川家の浜松城に入る為に進軍を開始した、いよいよ天下分け目の大合戦!! 『関ヶ原合戦』が始まる事に!!




世は風雲急を告げ、真夜中の夜明け前に差し掛かろうとしていた、夜が明けぬ日は無い、日が昇らぬ日も無い、闇が深ければ深いほど一筋の灯りは大きい希望となる。



いよいよなんですね、この変わった作品の完結が見えて来ました、なんとか完結させたいです。

次章「秀吉」になります。

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