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那須家の再興 今ここに!  作者: 那須笑楽
160/331

第二幕 160 刺客

第二幕を迎える事が出来ました、元服を迎え、青年期に突入しました、そして作品は160回目という事になりました、160日間毎日投稿出たという事です、我ながら頑張ったと言えます。

是非皆様、感想、プレビューよろしくお願い致します。

 



 これまでの主な登場人物


 主人公      那須正太郎 14才 後の那須家21代 那須資晴

 今成洋一     正太郎と460年の時を超え意思疎通が出来る令和の青年。

 今成玲子     戦国史の歴オタ、作中の軍師、後に二人は結婚した。

 桜先輩     洋一の師でもあり姉御的な面倒見の良い先輩


 那須資胤     第20代 那須家当主 正太郎の父親

 お藤のお方様  那須資胤の奥方

 那須竹太郎  正太郎の弟12才 後の資忠

 那須皐月 正太郎の妹10才  後の正洞院


 芦野忠義  芦野家嫡男 正太郎の従臣

 千本義隆  千本家嫡男 正太郎の従臣

 福原資広  千本家嫡男 正太郎の従臣

 福原長晴  弓騎馬隊の弓の名手 福原資広の従兄

 山内一豊 正太郎の重臣

 奥方 まつ  一豊の奥方 天然系

 五藤吉兵衛 一豊の配下 一豊の傅役

 林 一吉 同


 明智十兵衛  正太郎の重臣 小山の城代

 奥方煕子(ひろこ) 控えめな奥方

 竹中半兵衛  正太郎の重臣 

 奥方 百合 元正太郎の侍女 現半兵衛の奥方 気が強い


 アインとウイン  身長約2mの万能型アフリカの戦士 4キロ先の人物が見える

 錦小路忠直    元公家 医道全般の頂点に立つ者 田舎暮らしを満喫

 和田 惟政 元幕臣 幕臣に復帰するも正太郎の重臣

 和田惟忠 和田 惟政の甥で忍びの甲賀二十一家 和田衆の頭領

 侍女 梅     正太郎の侍女 鞍馬のくノ一

 侍女 華     正太郎の侍女

 侍女 菊     正太郎の侍女 鞍馬のくノ一

 鞍馬天狗     鞍馬の頭領

 鞍馬弓之坊    天下一の弓士

 鞍馬小太郎    鞍馬天狗の息子

 鞍馬飛風     鞍馬一の足早の疾風の忍び

 鞍馬  戌 犬使いで鷹匠

 鞍馬 申 聴力に優れた万能タイプ

 鞍馬100貫  鞍馬一の買い物上手

 鞍馬大猿  申の父親

 鞍馬子申  申の弟、大猿の次男

 鞍馬 颯  飛風の弟 足早の者

 館の女将 伴  平家の里表の責任者 鞍馬天狗の奥方

 館の副女将 松  女将伴の妹


 佐竹義重     元常陸40万石の当主 現正太郎の重臣

 武田太郎義信   武田信玄の嫡子 お家騒動で処断される所を助ける 現正太郎の重臣

 武田信虎     太郎の祖父、元甲斐の国当主 息子信玄に追放されていた

 飯富虎昌  武田太郎の傅役 元武田家24将の一人 四天王の一人

 三条のお方様   太郎の母親 信玄の奥方 那須に来てより性格が明るく気が強くなった

 嶺松院      武田太郎の奥方 那須に来てより性格が明るく気が強くなった

 長野業盛     西上野の国人領主 箕輪城城主 箕輪衆の惣領

 蘆名盛氏     会津蘆名家前当主 那須家に臣従 現当主盛興は酒毒に侵され政出来ず

 代官の松本    蘆名家が三年連続の飢饉時に活躍した蘆名の代官

 佐野昌綱     佐野家当主 正太郎のお陰で領内が富みその後臣従


 マタギの助    蝦夷開拓の功労者 アイヌ人の酋長の娘と結婚する

 イソンノアシ アイヌ根室の大酋長 助の義父

 ナヨロシルク 正太郎の義理兄 蝦夷の大酋長の一人

 アエトヨ アイヌ人の若者アエハシの兄

 アエハシ 同 弟


 職人他

 村長の平蔵 正太郎村の責任者

 山師の松男 鉱山探しの第一人者

 マタギの良蔵 定期的に平家の里に訪れていた者

 船大工の幸地 船大工であり那須家大集団の頭領

 飯之助      那須家菓子ご意見番 元京の料理人

 幸之助 元医師見習い

 左之助 飾り職人

 藤田一松 メノウ職人

 四郎衛門  酒杜氏職人 澄酒を造った功労者

 市蔵 井戸掘り職人

 伝左衛門 焼物職人

 吉蔵一家 紙漉き職人

 大津兼松     大津浜の村長


 小田家

 小田氏治     小田家の当主

 小田彦太郎    小田家の嫡男 正太郎と同じ年 後の守治

 菅谷政貞     小田家の重臣 菅谷家当主

 菅谷勝貞    菅谷政貞の父親 菅谷一族海賊衆の菅谷城前当主 現海軍士官学校学長

 真壁久幹 小田家の重臣 鬼の真壁

 赤松 凝淵斉(ぎょうえんさい)  小田家重臣

 里見義堯     安房里見家前当主 現海軍士官学校副学長

 篠山資家     忍びの頭領 篠山衆


 北条家

 北条幻庵     北条家軍師 初代早雲の息子

 北条氏康     前当主 北条家三代当主

 北条氏政     現当主 氏康の息子

 国王丸     北条氏政の嫡子 後の氏直

 鶴姫      正太郎の許婚7才

 風魔小太郎    北条家忍びの頭領

 朝比奈泰朝    掛川城城主





 第二幕


 ── 刺客 ──





「動きは掴めたか?」



「はっ、城周辺と所有しております村を月に数回出向くそうです、但し警備が厳しく入れませぬ、しかし、月に一度か二度この城下の町にも繰り出している様です、その時が狙い目かと思われます」



「では、このまま宿に逗留し手分けして動きを掴むのじゃ、それと襲う場を予め数ヵ所決めておけ、間違いなく仕留めるのだ、お主達の命が掛かっておるのだぞ、良いな!」



「はっ、必ずや千代女様のご期待にお応え致します」



 千代女の報告を聞き、信玄は西上野と駿河侵攻が失敗した原因が那須の嫡子資晴が裏で糸を引き、邪魔建てしていたと判断した、信玄は何れ京を目指し、織田信長と対峙する時に後顧の憂いを無くす為に千代女に那須資晴を消し去るよう指示を出したのである、千代女には幼少時に呪縛を施し、どんな命でも聞くよう育てた三名の忍びが居た、今その者を引き連れ烏山城下町の宿に留まりその時が来るのを待ち構えていたのである。




「ふ~やれやれ、やっと御礼の感状を書き終えた、15件もの家に書いたぞ、元服式には参加出来ずにお祝いを頂いた家にも礼を尽くさねばならん、昨日から書き続けたお陰で手首がいかれてしまった、凄く疲れた、すまん梅、肩をもんでくれ」



「仕方ありませんね、では町に行ったら珠華プリンを頂戴致しますぞ」



「お~そうであった、城下に店が完成したそうだな、母上が珠華プリンの『甘味処珠』と蜜のカステラの『甘味処みつ』が開店したと聞いたぞ、儂も行って見たいのう、居酒屋にも『なめろう』が既にあると十兵衛が言っておった、思い出したら急に甘い物が食したくなったのう」



「今日は他にする事がまだおありなのですか?」



「公家殿の所に行く予定であったのだ、病の治療に関しての大事な話を伝えようと思ってな」



「それは時間の要する話なのですか?」



「半時もあれば済む話かと思われる」



「なら早速行きましょう、今からなら城下町を散策も出来ます」



「仕方ないのう、梅は食い意地が張りすぎじゃ、侍女の華と菊も母上の所から連れて来るが良い、見習い修行も終える時間じゃ、あと小太郎にも伝えるが良い」




「公家殿遅くなって済まん、侍女達が甘味処に行きたくて準備で遅くなった、式では助かった」



「何山科殿とは見知った仲です、京の半家達の話も聞けましたし、某は楽しく過ごせました」



「そうであるか、儂は式と挨拶に忙しく山科殿とも話が出来んかった、猶子になったというのに、碌に話をしなかったぞ、何なんであろうか、まあー此度は無心されずに帰ったがこの後が怖いわ、あっははは」



「若様、本当で御座るぞ、銭を貯めといた方が良いで御座るぞ、相手は天下第一の銭集めの山科殿でありますぞ、ケツの毛まで抜かれますぞ!」



「・・・・本当なら親が子に銭を渡すのであろう、子の儂が渡すのか、とんでもない話であるな、那須家に出禁と致すか?」



「それは面白い、天下の山科殿を出禁に致すとは、あっははは、これはなんとも面白い話で御座る流石若様である、それはそうと何の用事でありまたか?」



「おおそうであった、疱瘡(ほうそう)について話に来たのじゃ、病自体は公家殿が専門であり儂の出る幕も無いのだが、その病を防ぐ方法について話に来たのじゃ」



「何ですと、不治の病である疱瘡を防ぐ話ですと、そんな方法があるのですか?」



「以前公家殿が言っていたでは無いか、牛の乳絞りをしている者は疱瘡になりづらいと言う話の事よ、どうやら本当の話なのだ、それを使って事前に流行りを抑えるという話よ、ここに紙に書いて来た、このやり方で不治の病である疱瘡に罹患しないそうだ、このやり方で本当に防げるのか試して頂きたいのじゃ」



「・・・・牛痘と疱瘡は兄弟という事が書かれておりますぞ、牛痘になった者は疱瘡にならないと・・・・ふむ・・・これは例の者からの話なのですな?」



「そうなのだ、何でも那須と蝦夷のアイヌ人達と誼を通じた事で蝦夷に疱瘡が広がりアイヌの者達が大勢無くなるそうなのだ、そんな事になれば余りにも申し訳ない、そこでそこに書かれた事を公家殿であれば本当がどうか証明出来るであろう、証明出来たら後は広めるだけよ、どうだやってくれぬか」



「勿論で御座います、この話が本当であれば帝も喜ばれます、京では疱瘡が流行る度に防ぐ為に祈祷調伏を依頼してます、更には改元をこれまでに14回も行って来ております、日ノ本に取ってこれほど厄介な病はありませぬ、蝦夷に居る者達にうつり流行れば一大事な事です、ここに書かれているを総力をあげお確かめ致しましょう」



「頼む公家殿しか頼れん、防ぐ事が出来れば三家と蝦夷に広めねばならん、銭が必要であれば幾らでも用意致す、幸之助にも手伝わせるが良い」



「判り申した」




「では城下町に行って来る、梅、小太郎行くぞ!」



「若様先程の話が本当であれば里の者達に薬師と医師もおります、その者達にも手伝わせましょう、医道に知識ある者が沢山必要になります、町医者も動員せねばなりませぬ」



「本当であれば良いのだが、洋一殿からの知らせで間違っていた事は無いが、儂が正しく受け取れたか、それと余りにも恐ろしい病であるから儂も驚きの方が大きく動揺しておる、先程公家殿が病の流行りで改元を14回も帝が行ったと言っておった、改元であるぞ、その昔も大きい飢饉と病と災害がある度に改元されたと聞いている、改元しても防げぬのだ、それがあの様に牛痘に罹患すれば防げるとなれば・・・成功して欲しいものじゃ」





「間もなく城下町じゃ、梅、最初は何処に行くのじゃ、好きにして良いぞ!」



「では小腹が空きました、先に蜜のカステラに致しましょう『甘味処みつ』に致しましょう」



「なんだ先にとは両方行く気であるぞ、梅は昔から、あ~であったのか小太郎」



「梅だけでは御座らん、私の父天狗も酒より甘い物が好きなのです、城下の菓子屋に行って麦菓子を何度も私が買いに行っております、麦菓子で一杯やっております」



「本当か? それは良いネタを聞いた、蜜のカステラでも一杯やるのか確かめてみよ、土産に伴殿の分と一緒に持たせる、後で確かめてくれ」



「判り申した(笑)」



「なんだあの大勢の者達は? 並んでいるのか?」



「梅、様子を見てみよ」



「残念です、店に入れませぬ、皆並んでおります、あの様子だと半刻は入れませぬ」



「参ったのう、では先に『甘味処珠』じゃ、この様子だと珠も無理かも知れぬ、その時は、そうじゃな、鰻じゃ、鰻飯に致そう、最近食べておらぬ、それで良いな!」



「勿論です、では珠の店に向かいましょう」






「千代女様、来ました、嫡子が城下町に来ております、時が参りました」



「良し、では頃合いを見計らい仕留めるのじゃ、急いてはならぬ、慎重に狙いやってのけるのだ、仕留めた後は急ぎあの場に来るのじゃ、後をつけられぬように注意を怠るな」



「はっ、千代女様、吉報をお待ち下さい」




 資晴一行が城下町にやって来た事を確認した千代女の刺客三名はそれぞれ距離を取り、あたかも見知らぬ他人の振りを行い、資晴一行との距離を縮めた。




「なんだやはり、珠の店も人だかりしておる、先に鰻と致そう、近くのこの先の鰻屋に入るぞ」



「仕方ありませぬ、これ程とは、品切れにならなければ良いのですが」



「その時は城の賄い方に用意してもらえば良いであろうに」



「若様はダメですね、城下で食するから良いのです、皆が美味しく頂いている顔を見て一緒に食すると更に美味しく頂けるのです」



「判った、儂も腹が減って来た、鰻じゃ、鰻の二枚焼きじゃ、皆もそれで良いか?」



 うんうんと頷く一行、店に入り奥の小上がりの茣蓙(ござ)が轢かれた床に腰を下ろした。




「う~いい香りが漂っているのう、店も繁盛しているのう、皆の顔が美味しそうな顔で食べておる、梅の言った通り、城下で食する方が美味しく頂けるようじゃの」



「若様の事をほとんどの者が気づいておりませぬ、不思議で御座います、こんなに近くにいるというのに」



「若造の髷を結った成り立ての侍姿であれば関心などあるまい、父上の様に威厳でもあれば直ぐにでも露見するであろうが、儂などまだまだじゃ、それより先程から向こうの席にいる者が梅の方を何度も見ておるぞ、若くて綺麗な娘に関心を示しているようだぞ」



「若様冗談は止めて下され、私より華と菊を見ておるのでしょう」



「あっははは、顔が赤くなっておるぞ、あっははは、良し、来たぞ、鰻飯じゃ、皆頂こう」



「おっほ、旨い、これよこれ、この米に汁に滲みていて何とも言えぬ、ホクホクであるな鰻も」



「あ~生き返ります、鰻がこれ程旨い魚であったとは洋一殿に感謝じゃ、ほんに美味じゃ」



「小太郎はいつも食している時は無口になるのう」



「鞍馬の者は食している時に隙が出来るゆえ、話して行けないのです、そういう訳にて無口に戻ります」



「そうであったのか、知らなかった、梅は話しても良いのか?」



「小太郎と菊が無口となりしっかり警戒しておりますので私と華は話しても大丈夫です、それに二人が無口となれば、おしゃべりな若様の相手を誰が致すのです、これも役目であります」



「それでは儂が悪者みたいでは無いか、梅にはかなわん、百合に似て来た、半兵衛も大変であろうな、まだ髪が伸びておらぬか、髷は結べぬのかのう」



「元服式の時は後ろに束ねておりましたから、肩口まで伸びておりましたから間もなくで御座いましょう」



「梅・・・奥の男に注意を致せ・・・若様が言われた通り何度も此方の様子を伺っている、目の動きが怪しい、念の為注意致せ、菊も用心致せ!」



 侍女の梅と、侍女見習いの菊は鞍馬のくノ一であり、嫡子資晴を守る役目として侍女付きをしている、小太郎は鞍馬一党の当主鞍馬天狗の長子であり、何れ当主を引き継ぐ優れた忍びある、どの様な時であれ、最大の役目は同じく資晴を守る事である。その小太郎が男の動きに異変ありと察知したのである。



 食事を終え店を出た後に小太郎は梅と菊に資胤を挟む様に前後を固め不審な男が店から出て来ない事に勘違いであったかとやや安堵していた。

 資晴は小太郎たちが警戒している事は理解出来たが、それ程の心配はする事も無かろうと気が緩んでいた。




「梅、まだ珠華プリンを食する気なのか? 如何する?」



「せめて持ち帰りたいですね、『那須プリン』あまりにも柔らかく持てませぬが『珠華プリン』はやや硬く出来ております、店で食せず、持ち帰り出来ればと思います」



「ではちょっと覗いて見るか」



『甘味処珠』に向かって歩き出す一向、その前方に托鉢僧と工夫姿の男二人が徐々に近づいて来た、その時鰻屋から先程の男が店から出て資晴達が向かった甘味処の方に歩き出した。



 男の気配に気づき、歩く足取りを確認する小太郎・・・・・

(あれは忍び足か・・・・音を立てておらぬ・・・間違いない忍びだ! 前方にも怪しげな者二名・・・)



「若様、動かないで下され、右側印判師の店側に寄って下さい、梅と菊は若の前に、華は若と一緒に!」



 城下町の商店街、道幅は四間程であり、逃げ場と言っても限られている、徐々に前方から近づく托鉢僧と工夫、後方からも怪しい浪人風の男が迫る・・・・その距離・・・10間・・・8間・・突如托鉢僧の錫杖(しゃくじょう)の杖が鞘と刀に分かれた、工夫も手に持っていたこん棒から刀を抜き出した、後から迫る浪人風の男は持っていた太刀を抜き、一気に向かって来る。




「前方の二人は儂が、後方の一人は梅、菊は若様を」



 指示を出し、小太郎は前方から迫る托鉢僧と工夫を相手に飛び掛かる、梅は小太刀を懐から出し片方の手に、もう片方の手には二本巻いてある帯のうち一本をほどき、もう片方の手に持ち、鞭のように迫る相手に絡ませようとしていた。




 襲われる時間は僅か数秒と言った短い一瞬の内に。




 托鉢僧と工夫の忍びは最初から資晴達を警護する小太郎が標的であり、二人で襲いかかれば、こちらに来ると予想し、三名の中で一番手練れの浪人風の忍びが資晴を仕留め決着を図ろうと策を労していた。



 刺客達の考えた策通り、小太郎は二人に向かう形となり二対一での不利な態勢に、梅は忍びではあるが明らかに浪人風の忍びより腕は下であった、なんとか資晴に近づけない様に帯を鎖鎌のように利用し刺客の刀を持つ手首に巻き付けようと狙いを絞っていた。



 前方から来る二人の内最初に工夫に向かって飛苦無(とびくない)を二本連続で投げ見事喉に突き刺さり、二本の内一本には強靭な凧糸で結ばれており、すぐさま手元に苦無を戻し、托鉢僧に再び二本の飛苦無を投げるも錫杖の刀ではじかれ、もう一本の凧糸で結ばれた苦無は錫杖の鞘に絡められて両者の力比べとなってしまった。



 梅に敵が迫る中、資晴も刀を抜き身構え、菊を自分の後ろに隠し梅の加勢に飛び出ようとするが、華より大きい声でダメです、私が出ますと叫ぶも、梅の加勢に行こうとする華にも、小太郎が大声で動くな! 若を守れと一喝!



 ここまでの時間は僅か数秒と言えよう。



 梅と浪人の忍びとの距離は、もはや2間、降りかかる刀に目掛け投げつけた帯、その手首に襲い掛かる梅の帯、必死に狙った帯は見事手首に巻き付き、刀の動きを封じたかに見えたが、手練れの忍びは最初から梅の狙いを読み、刀を自由が利くもう片方に持ち替え梅の胴を目、刀を目にも止まらぬ速さで振り下ろした、梅は凶刃に討ち負かされ地に伏した。





 その光景を見た資晴はこの後の記憶を無くしてしまう。





梅~梅~死んではならん、と叫びたくなりました。

いきなりとんでもない第二幕の幕開けです。

次章「玲子の怒り」になります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんで町中で襲われようとしていて、誰も声も上げて助けを求めない?忍びも増やしていて、影で護衛をしているものもいないの? こういった話はさすがにもう少し練った方がいいと思います、これだと…
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