これ、見てほしいんだけど!
これ、見てほしいんだけど!
「ここに座ってくれないか……」
「何よ……? 洗い物してるんだけど……?」
「後で僕がするから……こっち来て!」
「あの子騒いでたけど……寝たかしら……?」
「寝かしつけたから、大丈夫だよ!」
「ふ〜ん……座ったわよ……何よ?」
「相談があるんだけど……?」
「これって……トンと、紙出すのかな……?」
ペラっ……トン!
「これを見てほしいんだけど……」
ん……?
「何よ……これ……?」
「見れば分かるから……?」
「見て分かんないから……聞いてるんだけど……?」
「第壱百界、真裸山で、心も躰も解き放とう! 何よ……? これ……? 分かんないけど……?」
バンっ!
「分かってるだろう……満足させられないんだよ! スランプ何だよ! 駄目何だよ!」
「……そんな風に思ってたんだね……」
「でも……この日は剛田商店主催の、源静湯けむりリサイタルだよ? わたし前のりでいくから、鱈ちゃんの事お願いしてあったじゃん?」
「真裸山は、ハイキング程度の山らしいから、子連れ参加も大丈夫だって事務局問い合わせたら言ってもらってるから!」
「それなら……でも、怪しくない……? これってさ……?」
「真裸山で心も躰も解き放とって壱心不乱に尺八を吹きたいんだ!」
「これって……山に登って尺八を吹くの……?」
「尺八コ〜スと、法螺貝コ〜スがあるけど……オオボエ奏者だから、尺八コ〜スかなって?」
「そうね……形的にも尺八か?」
「だろ!」
「どれ位の参加規模何?」
「定員玖拾玖名だよ!」
「そこそこの規模ね……で、参加費は幾ら何よ! ボッタクられるんじゃないの……?」
「それがさ……御気持ちで宜しいですって事何だよ! 参加して体験してみて、その御気持ちを御箱にお入れ頂ければ宜しいかと。って言ってたよ! それにも書いてあるだろ!」
「えっ……あっ……書いてあるね? 本当に大丈夫……? 御気持ちの相場がわ分からないじゃないのよ? 骨川和尚みたいな事いってるじゃんね!」
「骨川和尚にさ、今度法事するから相談してたらさ。お悩み事が御座いませんか? て、話してたらね! これどうですかって渡されてね!」
「ああ! 骨川和尚の紹介か? なら、いっか!」
「有り難う!でね……その裏にさ……同意書に署名捺印してほしいんだよ」
「えっ……裏? ああ! ここに名前書いて、判子ポンプね! そこのバッグ取ってぇ!」
「えっ……どれ……?」
「それよ! それっ!」
「壱杯あるから……分からないよ?」
「ケロちゃんの付いてるのあるでしょ?」
「ああ! これね!」
「そうそう! とって!」
「はい!」
「ありがと!」
「でさ! あしたのお迎え頼めるかな? スポンサ〜のさ! チョロ鬚がしつこくてさ! ちょっち、顔出さなきゃいけなくてさ?」
「暫く開いてるから、別にいいけど!」
「サンキュ〜! 助かる! はい! 書けたよ!」
「はい! 有り難う御座います!」
「わたし寝るからね! 洗い物してくれるって言ったよね! おやすみなさ〜い!」
「分かってるって!」
コンコン!
「わたし……寝るからね〜っ!」
コン! コン!
「ああ! お休み〜っ……」
「本当に、寝ちゃうからね〜っ!」
「大丈夫だって! 洗い物しとくから、洗い残し無い様に
しっかり洗っとくから〜っ!」
バタンッ!