1.人の街
なかなか頻度が上がらないですが、よろしくです。
人の街は想像以上に穏やかで心地よいものだった。
眩しいくらいに平和に満ちていて、こんなものを憎んで何の意味があるのかと、少し後悔したような気分だ。
立派な石の門をくぐりぬけると、二人の門番らしき人が近寄ってきた。
「そこの方、身分証はありますか?」
この街は身分証が必要な街ではないと聞いていたが、実際は嘘だったのか...。
「私は遠く大陸を超えてやってきた旅人でして、そのような物は持っておりません。」
これで通らなければまたやり直し、か。
この世界には七つの大陸と十三の島国が存在する。
その中で一番大きい大陸が今いる街の大陸のちっぽけな街だ。
大きな町ほど厳しいセキュリティを突破しないといけないものだから、なるべく緩めのとこに来たはずなんだけど...。
「わかりました。では旅人専用の宿にお入りください。」
彼からの話では、宿屋に入るとまず武器や荷物を置いて、
そのままシャワーを浴びないといけないらしい。
どこかで聞いたような話だ。
正体はばれていないとは思ってはいるが、部屋に軍の仲間が押し寄せてくる可能性もゼロとは否定できない。
私は恐る恐る荷物を置いて、すぐにシャワーを浴びて戻ってきた。
すると、さっきの場所に一人のボロボロな少年が荷物の弁当をムシャムシャと食べていた。
パッと見たところ旅人らしい。
「あの、何です?。急に私のご飯を。」
少年は何も答えずムシャムシャと食べるばかり、そして満腹になったらこっちを向いて
「くだばれ。」
言霊か何かか、言葉に込めた魔術か、それっぽいものを身の知らない私に向けてきた。
「すごいね、君、僕の言うとおりにならない。」
片言の言葉を話す時点でもう確信している。
少年は幼い兵隊だった。