65 ケプラーの屋敷に潜入!
イアーソンさんは考えた上で、私に問いかけてきた。
「ポルクシアちゃん、ここから先は危険な事もしてもらうかもわからないが……覚悟はあるか?無かったら無理はせずこの近くの教会で待ってても良いからよ」
「大丈夫です! 僕、スピカを助ける為ならなんでもやります」
「そうか、ではレグルス、頼んだぜ」
レグルスとイアーソンさんがお互い目で合図をしていた。
「しょーがねえな。オレが悪者役で良いんだな」
「おう、俺は下水道から中に入る。そっちはポルクシアちゃんを上手く利用してくれ」
そう言われたレグルスが私を少し手荒に扱った。
「今だけは我慢してくれよ」
レグルスはそう言うと私の両手を布で縛り、肩に担いだ。
「おっと、少しは暴れるマネくらいは後で頼むぜ。ポルクシアちゃんはさらわれた子供って設定だからな」
「オイオイ、やりすぎるなよ。怖がらせるのが目的じゃないんだから」
どうやらこの二人は私を使ったオトリ作戦でレグルスが屋敷に入り、その間にイアーソンさんが下水道から中に突入するようだ。
「ところでイアーソン、下水の鍵は持っているのか?」
「俺を誰だと思ってんだ、犯罪者の経路確保の為に内緒で地下の下水の合鍵は全部持ってるに決まってるだろうよ。これが俺の検挙率の高さの武器なんだからよ」
知らなかった、前の人生で素行不良のイアーソンの他の警備隊員との桁外れに違った検挙率の根拠は、この下水道の把握にあったのだ。
「それなら安心だな、流石はカミソリのイアーソンだぜ。でも、何故郊外ではあれだけ優秀だったお前が王都では不真面目そのものなんだ?」
「あの状況下でやる気出せる奴の方がおかしいってよ。腐敗と賄賂で捕まえては逃がして繰り返して逮捕しているフリの仕事なんてやる気が出るかよ」
私は本当に何も知らなかったんだな。
王都の警備隊は真面目に仕事をしているから犯罪の逮捕が出来ていると思っていたが、それも全部貴族や犯罪者と組んだ自作自演だったのだ。
私はそれも知らず、犯罪者を捕えてくる警備隊を優秀だと思い、表では目立たず本当の犯罪者を逮捕、処分していたイアーソンを素行不良の役立たずだと見下していたわけだ。
「コレでようやくあのケプラーを倒せそうだ」
「悪いな、ポルクシアちゃん。ここからは芝居させてもらうぜ」
そして、スピカ救出作戦が開始された。
イアーソンはランタンを手に下水道に潜り、シリウスに担がれた私はそのままケプラーの屋敷の入り口に連れていかれた。
「まて、てめぇ見かけない顔だな」
「オウオウ、オレはレオってんだ。ケプラー様の手下になりたいからここに来たんだけどよ、お土産連れてきたから入れてくれないか」
「んー!! やだー、助けてぇー」
私は連れ去られた子供のフリで暴れる芝居をした。
「このガキ、大人しくしろ!」
シリウスが私を殴った。
「わかった、でもせっかくの売り物を傷つけるとケプラー様に怒られるぞ」
「……」
私は殴られて怖がるフリで……うずくまりながら顔を手で隠して辺りの様子を見た。
ケプラーの手下は……大体表に10人前後といったところだ。
「ケプラー様が直々にお会いになって下さるそうだ。入れ!」
「ありがとうごぜえやす。オラ、ガキ……こっちに来い!!」
シリウスは私を手荒に扱った。
私はそれに怖がりながら従うフリで後ろからついて行った。
屋敷の中には大きな扉があった。
どうやらここがケプラーの部屋らしい。
「キサマがオレ様の部下になりたいってレオか!!」
「ヘイ、貧民街のボスであるケプラー様のおこぼれをいただきたいと思いまして、お土産にガキを連れてきました」
「ほう、見ようによっては男の様に見えるが……コイツはかなりの上玉だな! 貴族様に売ればかなりの大金になりそうだ……ん、でもこれだけのガキなら、娼館でこき使った方が後々稼ぐ金の玉子を産む鳥になるかもしれんな」
ケプラーは上機嫌だった。
「それで、オレには何を与えてもらえますでしょうか?」
ケプラーがニヤリと笑ってレグルスを見ていた。




