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5 プレゼントで欲しい物

 泣きながらいじめっ子のリーダーはオレに強烈な一言を言った。


「お前みたいに毎日肉のスープが飲めれば、お前なんかに……負けるわけない」


 この台詞を聞いたオレは我に返った。

 今、目の前にいるのは前の人生のオレだ。

 貴族を憎み、貧乏を憎み、なすすべもなく踏みにじられる負け犬の人生。

 オレはそれが嫌で強くなった。

 その為にはどれだけの人間を泣かせてきたかも数えきれないくらいだ。


 だが、目の前のコイツらは前の人生のオレと同じ。

 このままでは何も出来ず、まともな仕事にも就けず、悪い奴に騙されて犯罪の片棒を担いだ挙句、縛り首という所だ。

 幸い俺は自身の努力で強くなった。

 弱肉強食の社会で生きる為に出来る事をしただけだ。

 だが、所詮は貴族社会という巨大な怪物には勝てずに人生が終わった。


 しかし、今のオレには力がある。

 そしてかつてありとあらゆる悪事に手を出したノウハウもある。

 これを使えば目の前のコイツらを助けてやれるかもしれない。

 それが偽善でも前の人生のオレを目の前でこれ以上見たくないんだ。


「そうか、お前ら、毎日肉のスープを飲みたいんだな」

「当たり前だ! お前らきぞくがおれたちのとーちゃんかーちゃんをいじめてるからおれたちのメシがくえねーんだ!」

「フン、負け犬がァ」

「何だとぉ!!」

「悔しかったら来週ここに来てみろ、オレが怖くないならなァ」

「のぞむところだ! おれはバロってんだ!! お前こそにげるなよ!!」


 よし、アイツらはオレの挑発に乗った。

 来週までにオレはあいつらの為に出来る事を実行しておかないと。


「……おにーたん、ありがと」

「アルヘナ、一人で出歩いちゃダメじゃないかァ」

「ごめんなさい、あたち……そとあいてたからでてきて……まいご」


 どうやらアルヘナは門が開いていたので外に出てしまって、迷子になってたとこをさっきの村のガキどもに目をつけられたらしい。

 そりゃあこんなきれいな服を着た女の子がいたら、妬ましくなるのもわからないではない。


「さあ、帰るよ、プロプスの背中に乗ってッ」

「うん」


 オレはアルヘナを連れて家に戻った。

 とりあえずアルヘナがケガをしたのはオレが乗馬に連れまわしたからだという話にしたので、アイツらやその家族に罰が行く事はないだろう。

 その代わり、オレは義母にアルヘナを連れ出した事の反省文を書かせられた。



「お父様、ごきげんよう」

「何だ?」

「実はわたし、お願いがございます」

「何だ!? カストル、その女みたいなしゃべり方は!」


 しまった、普段の礼儀作法の勉強での話し方で親父に話してしまった!!


「ヘッ、じょうだんだよッ親父!」

「うむ、それで、何だ?」

「実はオレさァ、誕生日のプレゼントで欲しい物があってねェ」

「何だ、言ってみろ」

「実はオレの使える畑が欲しいんだよォ、そんなに広くなくていいからさァ」

「何だそれは、下賤な農民の真似事でもしようというのか?」


 親父は典型的な貴族だ、この返しも当然考えている。


「イヤ、それがバカに出来たもんじゃねェぜ。農作業が肉体の鍛錬に良いって聞いたんだ」

「ほう、軍人に必須の体力の鍛錬になるというわけか、よかろう。離れの使っていない中庭を好きに使うがよい」


 やった! これでオレの計画を実施できる。

 後は家のお抱えの医師を取り込めば計画は実施可能だ。



「メディコ、いるか?」

「これはこれは、カストリア様。何か御用ですか?」

「実はこれを見てほしい」

「これは……ご禁制の草ではないですか!? どこでこれを??」

「そんなの外に生えてたぜェ」


 嘘である、外にこんな物が生えているわけがない。これは義母の寝室からくすねた物だ。

 ご禁制の草、だが貴族には密かに蔓延している。

 前の人生で売りさばいていた側のオレだからわかる事だ。


「これを……どうするんですか?」

「お前の持つルートでこれの種を一定数集めてほしい、出来ないとは言わないよなァ?」


 このメディコ、実は前の人生でオレがご禁制の草を売っていたお得意様だったのだ。

 オレはこれを使った確実に、合法的な金儲け方法を思いついていた。

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