↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/292

25 おにーさま、だいすき

 オレの知っている限り、前の人生でこんな場所に風呂場なんて無かった。

 むしろ、貧民街に風呂なんてどうやって作ったというんだ?


「よう、坊ちゃんたち、ここは初めてかい?」

「あ、ああ。こんなとこに風呂場? いつからあるんだ?」

「もう二年位前かな。最初はみんなよくわからなかったけど、今じゃ無いと困るオレ達の生活の一部よ」


 風呂はヘミニス家にもある。

 それはかなり大きな浴場だ。

 だがそれは、ヘミニス家が伯爵という大金持ちだから出来る事のはずだ。

 普通の貧乏人がみんなで金を溜めたからって、風呂を維持するだけの金はどう考えても不可能だ。


「信じられねェ……」


 どうやら今日の風呂はオレ達で最後のようだ。

 行列はオレ達が最後尾になっている。


「カストル、風呂って……普通は貴族様の家にあるもんだよな?」

「ああ、でもお前はオレの親友だからうちの風呂使えてるだろ、それに執事は清潔で無いとなァ」


 バロは庶民なので家に風呂はない。

 普通の村の住民は川で水浴びするか、濡らした布で体を拭くくらいだ。


「おにーさま、こんなところにおふろがあるんですわね。ワタシにおうのではやくはいりたいですわ」

「まあそうだよなァ、コレは臭うわ」

「ハハハ、結構きつい臭いだよな。このままで屋敷にはもどれないぜ」


 そんな事を言っている間にオレ達の番がやって来た。


「子供は無料だよ」

「良いって、これで頼むぜェ」


 オレは金貨を一枚、入口のおばさんに支払った。


「こんな大金……これはとても受け取れませんっ!!」

「いいって、それならそれはスピカって子に渡してあげてくれよッ」

「スピカちゃんに……わかったわ」


 おばさんは私の渡した金貨を大事そうにしまった。



 風呂場は男と女の二つに分かれていた。


「カストル、一緒に入ろうぜ!」

「すまねェ。オレ、アルヘナの髪洗ってやらないといけないんだァ」

「……そうか、仕方ないな。オレは一人で入らせてもらうぜ」


 バロはオレを男だと思っている。

 だが実際今のオレは女だ。

 とても一緒の風呂に入るわけにはいかない。


「おにーさま、おねがいしますわ」

「ああ、アルヘナ。綺麗にしてやるからなァ」


 オレは布を固く巻いて外れないようにしてアルヘナと一緒の貸し切り状態の風呂に入った。

 そして下水の臭いのついた体と髪を、綺麗にお湯を何度もかけて洗ってやった。


「おにーさま、きもちいいですわ」

「よかったな、アルヘナ」

「ワタシ、しんじてましたわ。ひとさらいにさらわれたとき、おにーさまがきっとたすけてくれるって」


 アルヘナはオレの事をお兄ちゃん、男だと思っている。

 いつかは女だとバレるだろうが、わざわざ今は俺から言う必要はないだろう。


「ワタシ、おにーさまがだいすきですわ。おかあさまはおにーさまのこと、あまりすきではないようですが、もしきょうだいでなければけっこんしたいですわ」


 コイツは結婚って意味を分かってるのか?


「ア……アルヘナァ、も、もしだ。オレが、お……女だったとしたら同じことを言えたのかァ?」

「とうぜんですわ! もしおにーさまがおねーさまだったとしても、ワタシのだいすきなひとにはかわりありません! やはりおねーさまとけっこんしたいとおもいますわ!」


 ……この話はやめておこう、これ以上踏み込むとドツボに落ちそうだ。


 そしてオレとアルヘナは臭いが落ちるまで体を洗った後、大きな湯船に二人で入った。


「えーい!」

「アルヘナ? いったいなんなんだ?」


 オレの後ろからアルヘナが抱きついてきた。


「おにーさま、いいにおいがしますわ。ワタシ、おにーさまだーいすき!」

「あ……ああ。アルヘナ、オレもアルヘナが好きだよォ」

「ほんとうですか、とてもうれしいですわー!!」


 アルヘナがオレに更にギュッとしがみついてきた。

 しかし、本当にこのままでいいのだろうか?


 オレはアルヘナの将来の成長後に、不安を感じるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女達に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

元ゲームクリエイターが転生して救世主になるファンタジーです

『転生クリエイターのマップチェンジャー』圧倒的な魔力でチート能力を使い一瞬で天変地異を巻き起こす元ゲームクリエイターの転生者はハズレスキルの地面作成(マップチェンジ)を使いこなし救世主となる!

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。