第99話:にかいのひみちゅ。の、ひ!
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!
絵本はね、結局、仲良く並んで座って読むことになったよ。
ジェノさんが慌てて来てね。「体が同じくらいの大きさなんだから、抱っこするのは無理ですよ」って。
3歳と6歳が同じくらいの背丈だからね……。
「おひめしゃまは、たくしゃんのおとこから、ひとりをえらぶことができじゅ、みんなといっちょに、ちあわしぇにくらちまちた」
絵本の最後の結末よ。
ハッピーエンドなのか、逆ハーエンドなのか……。
――かなちむひとがいるより、みんな、ちあわしぇになったほうがいいよ?
そうなんだけどね? お姫様がソラちゃんだったら、パパとホーネさんとリュードさんとウルガさんだったら、誰を。
――パパ!
あ、はい。答えは最初から決まってましたね。でも、他の人は悲しむかもよ?
――パパだけでいいもん!
あれあれ? みんな幸せになったほうがいいって言ってませんでした?
「でも、お姫様に赤ちゃんが生まれたら、誰がお父さんか分からないね」
「「「!?」」」
大変です! 6歳のソラちゃんよりも、3歳のソフィアちゃんのほうが大人です!
絵本を読んで、微妙な空気を払拭するため、お城の中を探検することになった。
「ソラ様は私が抱きますから、ルナファリア様はソフィアちゃんをお願いしますね」
もちろん、2人の保護者もしっかりと同行してますよ。
「ここが、パパたちが、おしゃべりちてるとこで~」
会議室ですね。
「ここは~、パパたちが、いちゅもあしょんでるとこ」
謁見の間ですね。
て、パパたちは遊んでるんじゃなくて、お仕事してるんだよ?
――ちてるとこ、みたことないよ?
……そういえばないね。
みんな~。ちゃんとソラちゃんに真面目なところ見せたほうがいいぞ~。
他にも、トイレとお風呂を見て回って、2階へ上がる階段のところまできた。
2階へは、未だ行ったことがない。
なぜかというと。
――かいだん、たかいね。
うん。絶対に途中で疲れちゃうだろね~。
「2階には何があるの?」
と、マグア君が遥か先にある、階段の終着点を見上げながら聞いてきた。
わたしも城に3年住んでるけど、聞いたこともなかったね。
「ジェノしゃん、なにが、あるの?」
「私も知らないですね」
うん? ジェノさんも知らないの?
て、ジェノさんは元々この城の関係者じゃなくて、精霊女王トレンティーさんの部下……ていうか、眷族だから、そこまで詳しくはないのか。
役職はソラちゃんの世話係だしね。
「かかか! 2階は修練場になっていて、各部屋が異空間に繋がったフィールドになっているんですよ。部屋の中にはモンスターが沢山いますからね。子供たちは立ち入り禁止です」
「ほねしゃん!」
「おかえり、お姫さん。小さい子たちも、こんにちは」
「きゃぁぁぁ!」
「うわぁぁぁん!」
マリーちゃんが悲鳴を上げて、ばあちゃに抱かれたままソフィアちゃんが大泣き。
まあ、ホーネさんは骨……骸骨だしね。それが後ろから声がして、振り向いたらそこに居るんだもんね、怖いよね。
わたしとソラちゃんも、最初に見たときは大泣きしたからね……。
男の子2人は偉いね、悲鳴も上げなかったね。
「「……」」
あ、立ったまま気絶してる。