表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/291

第91話:じっしぇん、かいち! の、ひ!

 ばぁちゃの励ましによって、やる気を漲らせたソラちゃんが、森の中に入っていく。

 もちろん、前衛ということで先頭だ。

 隣りには、剣術特待クラスの男子、フェルノ君、12歳。

 基本は、このフェルノ君と一緒にアタッカー2トップ。

 少し後方に、剣術Aクラスの男子、ベルフェッド君、12歳。

 ベルフェッド君は、中衛という立ち位置で、前衛のフォロー、後衛の護衛としての役割を担う。

 後衛はアリアちゃんと、クロースちゃん、13歳。


 凄くバランスがとれているチームだね。

 問題は……。


「うんっちょ!」


 地面から出ている木の根の段差を、手をついてぐっと力を入れて体を持ち上げて、なんとか登りきる。

 フェルノ君は、同じ段差をひょい! と跨いでいくんだけどね。


 フェルノ君の身長は155センチほど。そしてソラちゃんは99センチ。

 この身長差だと、ソラちゃんにしたら、ちょっとした段差じゃなくて、壁ですよね。

 じゃ~、7歳のアリアちゃんはってことだけど、身長130センチ。

 6歳のソラちゃんとの身長差は30センチですよ。


「また、だんしゃ」


 目の前には、高さ50センチの壁がそそり立つ。身長の半分の高さがあれば、それは段差ではなく壁なのだよ。


「フェルノ、先に行け」

「おっけ~」


 ベルフェッド君の指示で、フェルノ君が段差を軽く超えていく。

 そして、後ろからベルフェッド君に抱えられ、そのまま壁を越えたフェルノ君にひょいっと手渡されて、すとん、と降ろされる。


 これは、なんていうか、男の子に抱かれるのは恥ずかしいというか……。


 ――らくち~ん! だったね!


 うん。ソラちゃんが気にしないならそれでいいよ?




 そんなことをしながら、ゆっくりと森の中へ進んでいくと、ピリピリと肌に感じた。

 後方から付いて来てくれていたアヤネちゃんが、みんなにストップをかける。


「みんな! 前方20、ゴブリン3」


 木々の狭い隙間で陣形も何もないけど、一応、前方に行く。


「ちぇかじゅのだ! いんちかいほう!」


 世界樹の枝を剣に変形させて、因子を体中に駆け巡らせる。

 

 ――ソラしゃん、こうたい、しゅる?


 そのままいけそう?


 ――やってみたい!


 おっけ。


 まあ、ゴブリンなら大丈夫でしょ。


 剣を構えて待っていたら、前方の茂みからゴブリンが飛び出してきた。

 ゴブリンの大きさは、身長120センチほど。

 わたしよりも大きなゴブリンが、棍棒を振り上げて飛び掛ってきた。


「てい!」


 ま、アヤネちゃんと模擬戦しているから、ゴブリンのその動きは隙だらけで、ソラちゃんが剣を斜めに振り上げると、ゴブリンは真っ二つになって吹き飛んだ。

 フェルノ君は、ゴブリンの棍棒を剣で受け止めて、腹に蹴りを入れて体勢を崩させると、素早く横に身をかわした。


「ウインドカッター!」

「ストーンランス!」


 アリアちゃんとクロースちゃんの魔法が体勢を崩しているゴブリンに直撃。

 風の刃が胴を切断して、土の槍が頭を貫通した。


 あれ? ゴブリンって弱い?


『ぎゃぎゃ!』


 すぐ横の木の裏から、ゴブリンが飛び出してきた!

 慌てて振り向いたけど、ほとんど距離がない!


「きゃ!」

『ぎゃぺ!?』


 何故かソラちゃんと同時にゴブリンが悲鳴を上げた。

 よく見ると、近くの木から枝が伸びて、ゴブリンの足に巻きついて宙吊りにしてた。


 【世界樹の樹皮のペンダント(ちぇかじゅじゅだんと)】

 効果:危機の自動防衛


 【精霊女王の加護】

 精霊女王の愛する子に危害を加えようとするものは、森の木々が許しません!


 うわ~。何、これ~?


 ――びっくりちたね!


 えっと……それはゴブリンにビックリしたのか、加護にビックリなのか……。


 保護者達の過保護の内容が、凄くチートなんですけど?



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ