第80話:ほねしゃんは、ながいき? の、ひ!
ホーネさんが教壇に立ち、熱弁を振るっている。
みんなが出した結論、ソラちゃんが抜けだすのは、教えてるのが勇者だからじゃね? という真理に辿り着いたからだ。
対策として、ソラちゃんの関係者が教師をすることになった。
まあ、人族との和平交流の一環でもあるわけだ。
熱弁を振るっているのは骸骨だけど……。
「かかか! 500年前、当時の聖王国の教皇、ロンベルクが、人族至高主義を宣言しました。掲げる思想は他種族殲滅」
ここで、ホーネさんがみんなに視線を向けた。
「なぜ、そんな思想が生まれたのか、分かりますか?」
「はい!」
「君は……アロードグスタ君だったかな? 答えてもらいましょう」
「獣人族と竜人族が手を組み、侵略戦争を仕掛けたからです」
へ~。定番な理由なら、戦争を仕掛けたのは魔王とかだけど、獣人族と竜人族なんだな。
――パパは、しぇんしょうなんか、ちないもん!
だね~。そんなことするはずないよ。
「かかか! これが今まで刷り込まれてきた間違った知識、歴史ですね! いきなり始まった人間による他種族虐殺。逃げた先で集まり、100年に及ぶ攻防。それを救ったのが、グランゾと、精霊女王トレンティー。2人は世界樹を中心とした大地を囲むように、大山脈を作り、森を作り、その地に人族以外の種族を集団転移させ、人族が侵入出来ない結界を張り保護した。これが人族でいう魔王国の誕生です」
ホーネさんが、ちょっとキレ気味にそのことを黒板に書いていく。……古代魔族語で。
アリアちゃんも、ノートに写そうと身構えたまま、固まっちゃってる。
「ほねしゃん、よめないよ」
「おっと、これは失礼」
ホーネさんが人族語で書き直していく。
これって、ソラちゃんに飽きさせないための工夫かな? 1人1人に質問していく手法もそうなんだろうね。
事実、ソラちゃんが30分以上も大人しく授業を聞いてるし。
――ながい、じは、かかないけどね!
書いてあげて! せっかく書き直してくれんだし!
「あの、ホーネ先生が言うことも事実なのでしょうか?」
「君は……ネフィーロさんですね。お答えしましょう。事実です! その証拠は、俺が4000年もの間生きている証人だからです! かっかっか!」
「ほねだから、いきてないでちょ!」
「「「……」」」
……。
がしゃん!
ホーネさんがバラバラになっちゃった。