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第76話:きいてみる! の、ひ!

 任せて、と言ったね? あれは嘘だ!

 いやね、なんとかしたいんですよ?

 でも、開業するにはどうしたらいいとか、経営知識とか、何1つ持ってないな~と。

 わたしは転生者ですよ? 男だったっていう記憶はあるけど、何をやっていたとか、前世の記憶がほとんどないんだよね。


 車とかの記憶はあるけどさ、よく高校生の転生者が前世の記憶を元に異世界で技術革命おこして成り上がるってあるじゃん? あれ、わたしは無理だから。

 車という知識はある。でもそれは外側だけで、エンジンの内部は知らない。エンジンはどうやって動いてるの? どうしてエンジンが動いたらタイヤも回るの? サスペンション? なんですかそれ?

 細部の部品まで数えたらキリがないよね? それで異世界で車なんて作れる?


 ま、言いたいことは、知識がありません! てこと。


 ――ソラしゃん、うるちゃい。


 すみません、ごめんなさい。


 ――あたち、ねるんだから、ちずかにちて。


 えっと……授業中ですよ? あの……スヤ~。




「……ちゃん。……ソラちゃん、授業終わりましたわよ」

「むにゅ……」

「次は算術の授業ですわよ。最初だけでも聞きましょう?」


 算術か……お金の計算を出来ないと、花屋の経営なんて出来ないよね?

 これは……授業の重要性が高まりましたね!


「さいちょから、ぬけだしゅから、しょのままねてる……」


 ふぁ!? まさかのハイブリッド! て、重要性がね、お花屋さんしたいんでしょ!


「仕方ありません。奥の手を使いましょうか。ふふふ」


 なんでしょう? アリアちゃんが教室の外へ行ってしまいましたわ。

 そして、しばらくして戻ってきた。


「ソラ様、隣りに座りますね」

「ふぁ~……ジェノしゃん?」


 目をコシコシ。どうしてここに居るの? と、ジェノさんを見上げて。


「ソラ様が頑張っていること、パパ様に報告しますからね~」

「あい! いちゅもがんばってるよ!」


 うっそだぁぁぁ!




 ということでね、真面目に授業を受けてますよ。


「ソラ様、4かける3は、4を3回足すことで12になりますから繰り上がって、次の数字の答えに1を足すと」

「しょっか! よんじゅうに、になった!」

「そうですよ」


 ジェノさんとのマンツーマンになっちゃってますけど!


「掛け算は、1かける1から、9かける9の答えを覚えちゃうと簡単ですよ」

「がんばる……」


 ソラちゃん、計算だったら、わたしもフォローできるからね。


 ――あい!


「あ~……ソラちゃんが真面目に授業してるけど、俺、なんか複雑な気分だ」

「叔父様……」


 勇者が黄昏ちゃってる! ソラちゃん、超無視だもんな~。




 さてさて。

 肝心な開業と経営の知識をどうやって得たらいいのか。

 ていうか、貴族街から出たことないから、王都がどうやって成り立ってるのか、平民って呼ばれている人達の暮らしとか全然わかんないぞ。

 ……平民……居たな、商人の息子!

 クラスは違うけど、その子に聞いてみよう!


 ――きいてみよ!


「ジェノしゃん、ちゅれてって~」

「どこへですか?」

「おはなやしゃん、しゅるのにね~、ちょにんしゃんのとこ~」

「え? ちょにん?」


 分かんないですよね~。


 なんとか説明を理解してもらって、ジェノさんに抱かれ、アヤネちゃんを護衛に引き連れて、やってきました、お隣のクラス。

 

「いた、あのに~たん」

「ほ~……男子……ですか」


 あの、ジェノさん? 別にそういうのじゃないですからね? 殺気を放つのを止めませんか?


 ジェノさんが不機嫌になりつつも、抱かれたままその子の前に移動してもらった。


「えっと……へ、平民の私に、な、な、なにか御用でしょうか?」


 そんなに緊張しなくていいよ~。


「あのね……」


 ソラちゃんが声をかけると、教室に居た子達が一斉に凝視してきた。

 まあ~、何事だって思うよね。クラスは違うし、ソラちゃんは何故かアイドルみたいな感じになっちゃってるし。

 商人としての話を聞きにきただけだよ~。


「な、なんでしょう?」

「えっとね……あのね」

「……」


 ……。


「もぉぉぉ!」


 なんでぇぇぇ! 肝心なところで人見知り発動しちゃったよ!



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