表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/291

第75話:だいしゅきな、ばぁちゃ! の、ひ!

 ソラちゃんが抜け出さない授業のもう1つが、魔法の授業である。

 魔法訓練所には、四隅に設置された魔法障壁発生の魔道具がある。

 これは、パパとスラじいさんが作ったものだ。ソラちゃんが魔法を暴走させると周囲が吹き飛んじゃうからね。


「まりょく、ながしゅよ~」


 ソラちゃんが起動装置に触れて魔力をながすと、4つの発生器から光が昇り、障壁の壁が出来上がった。


「ソラリス様の魔力は凄まじいですな」


 と、魔法特待クラスの教師、宮廷魔導師長のカスターノさんが言う。


「カスターノ様が全力で魔力を込めて、ソラちゃんの出力の10%にも届かない……でしたわね」

「他種族殲滅などと……愚かでしたな……」


 ソラちゃんが特別なだけだぞ~。アリアちゃんとカスターノさん、そんな死んだような瞳で見詰めないで~。


 ――えへへ。てれちゃうね~。


 怖がられてるんだぞぉう!




「ファイアボール!」

「ストーンブリッド!」

「ウォーターショット!」


 アリアちゃんたちが放った魔法が次々に的に当っていく。たまに外れても障壁によって外への被害はない。


「いいぞ! 次々に魔法を撃て! 魔力を使えば使うほど、回復したときに最大値が増えるからな! 同じ魔法を連続で使い続ければ、魔力を練れる量も増えて、その魔法の威力も底上げされるぞ!」

「はい!」


 意外と熱血指導なんだよね。

 

 そして、アリアちゃんたちが魔力を使い果たし、地べたに座り込んで、ついに……。


「あたちのばん!」


 ソラちゃん登場。


「ばしゅん!」


 いきなり前振りもなくぶっ放った!

 当然、魔力の練る量を調整できてな~い!


 直径10センチくらいの3つの水玉が、3つ並んだ的にそれぞれ飛んでいって。

 ちゅどぉぉぉん!

 的が爆発した。


 ――きもちいいね。


 そ~だね~。


 ……いや、どうして水で爆発するのか、説明してほしい。


「……私が教えられるレベルを超えてますな。無詠唱に加え、魔法効果と魔法名が一致しないなんて……」


 ばしゅん! だもんね~。理解できないよね~。

 わたしも何が飛びだすか、分かんないんだよ。


「ソラリス様には、4回の授業のうち、1回は特別授業をしていただきましょう」


 ――とくべちゅだって。なんだろね?


 なんだろね? 剣術と一緒で模擬戦かな?

 ……いやいやいや! 相手が死んでまうで!




 後日。

 特別授業は、学園の応接室で行われるらしい。室内ってことは、魔力コントロールの練習かな?


 ジェノさんにドアを開けてもらい、中に入っていく。

 その中に立っていたのは、修道服を着た、笑顔が素敵な白髪のおばあさん。

 パパ襲撃事件のとき、ソラちゃんが唯1人、すぐに懐いた人物だ。


「ばぁちゃ!」


 ソラちゃんが嬉しさを爆発させて、おばあさんの脚に抱きつく。


「あらあら、ソラちゃん、元気だった?」

「あい! ばぁちゃも、げんきだったの?」

「はい。おかげさまでね。みんなから他種族殲滅思想が消えて、今は穏やかに過ごせてますよ」


 慈愛に満ちた手つきで頭を撫でられる。

 もうね、それだけでソラちゃんの心がポワ~ンって温かくなるの。凄いね。


 2人でソファーに座って、テーブルに用意させていたお茶とケーキを食べる。


「しょれでね、パパはしゅごいの。いっぱいね、どうぐをつくっちゃうんだよ」

「凄いわね。この国にはそこまで魔道具を作れる人は居ないわね」

「でちょ!」


 穏やか~な時間がすぎていく~。


「あたちの、まほうもしゅごいの」

「あら? そうなの? でも、ソラちゃんにはそんな危ない魔法を使ってほしくないわ」

「しょなの?」

「ええ。ソラちゃんは優しい子なの。傷を与える魔法より、みんなを癒やす魔法がいいわ」

「りざれくしょんと、ひーる? あ、おはなをしょだてるまほうも!」

「まあ! お花を育てる魔法なんて素敵ね! その魔法でお花屋さんをしてみるのもいいわ」

「おはなやしゃん……ちてみたい……」


 ソラちゃんに必要なのは、情操教育だったのかな?

 小さい体で花に囲まれたソラちゃん……いいね! 将来の目標が決まったね。王女でお店が出来るのかは謎だけど……。


 ――ソラしゃん、きょうりょくちて?


 喜んで! 任せて、ソラちゃん!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ