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第7話:家族になった日

 トレンティーさんは、やることがあるって帰っていった。

 魔王さん達は名前を考えることに必死になっていて、あれから呼ばれることはなかった。

 少し……いや、かなり寂しい。

 

 1人だとすることがなくて、とりあえず、お昼寝をした。

 小さい体だと、体力の最大値が低いからか、すぐに眠くなる。

 体力だけじゃなくて、この子……感情が絶えず感じてた緊張から開放されつつあるのも、関係してるかもだけど。


 しばらく寝てたら、またあの不快感が襲ってきた。

 パチッと目を開けて、布団の中を覗き込む。

 うん。出来てたよ。世界地図。


 胸がきゅうぅぅぅっとなって、泣き出しそうな感情に語りかけ、泣くのを我慢させる。


 泣いてもどうにもならないんだよ。慣れたくないけど慣れるしかないね。俺は諦めてるけど。


「うわぁぁぁん!」


 説得の言葉を間違えた。ごめんね。


 しばらくして泣き止んで、床を見ると、お盆に乗せた木のコップと、あのリンゴが置かれてた。

 このリンゴ、毎日食べても大丈夫なのだろうか?

 そんなことを考えてると、体が勝手に動いて右手でリンゴを掴んだ。

 ビックリ!

 ちょっと待って! それだけを食べ続けると危険かも!


 ――や! たべりゅの!


 はい。俺が負けました。だって、仕方ないじゃん? それしか食べるのないんだし。

 意志の力で負けたんじゃないんだからね!




 ちょっとしてからトレンティーさんが戻ってきた。

 手には数冊の絵本らしきものを持っている。

 トレンティーさんが、床に正座を崩したような女の子座りをして、手招きして呼んだ。


「膝の上にいらっしゃい。一緒に絵本を読みましょう?」


 これはあれか? 言葉足らずな俺……この子に、本を読んで教えようとしてくれてるのか?

 だったら、俺は表に出てないほうがいいな。俺の意識がこの子の成長の妨げになる。

 感情に行動を任せて、俺はサポートに回ろう。


 ゆーはぶこんとろーる。なんちゃって。


「むかしむかし」


 トレンティーさんが、指で文字をなぞって読み上げる。

 こうやって文字と言葉を教えていくのか。勉強になる。


「あるところにパパとママと、小さなおんなのこ」

「パパ……なに?」


 一行も読まずに質問が飛び出した! 読み終わるまで待つのがマナーだぞ! トレンティーさん、うちの感情がすみません!


「パパって言うのはね、強くて、優しくて、あなたを守ってくれるような……」

「パパ……どこ?」


 急にトレンティーさんの上から立ち上がって、部屋の外に飛び出していった!

 これは……制御できない!


 長い廊下をペタペタと足音を立てて進む。

 目指してるのは……円卓のある部屋か。

 後ろからトレンティーさんが付いてきているから安全だけど。


 部屋の前に辿り着き、不思議そうな顔をしているトレンティーさんに扉を開けてもらって中に入っていく。

 きょろきょろと中を見回して……。


「どうしたんじゃ? まだ名前は決まってない……」


 猛然と魔王さんに向かってダッシュ!

 ま……まさか。いやいや、落ち着け、違うから、な? 暴走しないでぇぇぇ!


 魔王さんは、両手をあげて直前でピョンとジャンプしたこの子を受け止めて抱きかかえた。


「パパ……」

「な! そうか……。両親を目の前で殺されて、辛かったのぉ……今まで寂しかったのぉ」


 竜人の人が魔王の肩を叩く。


「この子の中には魔王様の因子があります。つまり、娘も同然! ……親になってあげてはどうですかな?」

「そうじゃな! 俺がパパだよ」

「パパ!」


 あったけぇぇぇ! ふわふわした暖かい感情で埋め尽くされ……の中に、黒いもやもやが?


「おくちくちゃい!」


 子供って素直ぉぉぉ!

 感動の場面が台無しだ!


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] イケメンの口臭はいい匂い、っていうのはフィクションでしたね…めちゃめちゃ笑いました
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