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第64話:まほうは、たのちんで! の、ひ!

「聖女様!」


 と、右腕を回復したブーレスが駆け寄ってくる。


「ありがとうございました!」

「どいたちまじゅべ」


 大事なとこ、言えてな~い。


「しかし、このようなこと、一度もなかったのに、どうして暴走したんでしょう……」

「たのちんでなかったから!」


 ――ね~。


 いや、ごめん。分かんない。


 ――もぉぉぉ!


「そうか……俺はソラリス王女様とアリス王女様に対して、嫉妬を抱いて魔法を使おうとしたから……」

「でちょ!」


 ――ね~。


 ね~……。ていうか、よく分かったね?


 ――ちらないよ? ねてたち!


 そうでしたね! 見てもなかったよね!


 ――あ、しょだ。


 うん?


「ちっとって、なに?」

「「「……」」」


 6歳児が覚える言葉じゃないことは確かだ。




 その後、怪我を治した子達からもお礼を言われ、落ち着いたところで試験は再開された。

 アリアちゃんが、的に向かって右手を突きだす。


「ファイアボール!」


 短い詠唱を唱えて、火の玉を作り出した。


「詠唱短縮! さすが王族ですな!」


 へ~。さすがだなアリアちゃん。


 ――しゃしゅが、おねえちゃん。でも、おうじょくって、かじょくってことでちょ?


 うん? そうだね。優秀な血統なんだろね。


 ――ゆうちゃは、へっぽこだけどね!


 それは……ソラちゃんを相手にしちゃったからで、本当は凄く優秀なんじゃないかな?


 ――えぇ~。


 嫌われすぎだろ、勇者。


「いけ!」


 火の玉が撃ち出され、的に向かって飛んでいく。


「ここから! 変化! エクスプロージョン!」


 的に当った火の玉が、爆発した。


「なんと! 延焼系を爆発系に変化させるとは!」


 試験官の人の解説が分かりやすいな。実況もしてくれてるのかな?


「どお? ソラちゃん! わたくしも強くなりましたわよ!」


 確かに、詠唱短縮と効果変化なんて、凄い上達ぶりだ。


「むふふ。まだまだ」


 天狗になってますね?


「あたちのばん!」

「あ~……ソラリス王女様は、さきほど奇跡の回復を見せていただいたので、それを試験の評価にしようと……」

「やぁぁぁ! やるの! ぼんってしゅるの!」


 ちょ! 地面を転がるの止めて! 足をばたばたさせちゃダメ! スカートが捲れてオムツ見えちゃってるから! やぁぁめぇぇぇてぇぇぇ!




 駄々こねて、魔法を撃ってもいいことになったよ。


 ていうか、そんなに駄々こねてまでやりたがるって、普通の魔法だよね?


 ――むふふ~。


 答えてください。お願いしますから。


「いくよ」


 ――ねりねりちて、できたおおきなたま、だちて!


 なにするの? そのまま投げるの?


「えい!」


 顕現した大きな火の玉を、的の真上に投げて、そのまま真上に浮いたまま固定させた。


「ぼぼぼん!」


 大きな火の玉から小分けされた無数の小さな火の玉が、雨のように降り注ぐ。

 

 あ~。広範囲殲滅魔法ですね……。

 幼児の発想が怖すぎる。


 ちなみに、静かだと思ったら、試験官の人は立ったまま気絶してた。

 まあ、無詠唱に加え、ぼぼぼん、なんて意味不明な言葉で凄い魔法が飛び出しちゃったんだから気絶しちゃうよね。


 しかし……また見事に魔法練習場が吹き飛んだね。怒られちゃうんじゃないの?


 ――しょのときは、ソラしゃんこうたいちてね!


 えぇぇぇ! やぁぁだぁぁよぉぉぉ!



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