第6話:魔法を知った日
嵐の大惨事の後、魔王さん達は円卓を囲んでうんうん唸ってる。
俺の名前を考えてくれてるのだ。
そして、俺はと言うと、トレンティーさんの膝の上に抱かれてる。
「ねえ、どうしてこの子からオシッコの匂いがこんなにするの?」
トレンティーさんが、俺の頭を撫でながら聞く。
「おもらしを何回もしたからだと思うのじゃが……」
撫でてた手が止まった!
「かかか! 洗うにしても拭くにしても、女の子だしな。どう接していいか分からず……」
見た目はどうあれ、意外と紳士なんだよな、ここの人達。
「まあ、それはそうでしょうけど、このままではオシッコで皮膚病になってしまうわ。ちょっと見せてね?」
と、布の裾を捲り上げられる。
さ、さすがにハジュカチ!
「俺の因子を与えたんじゃ。そう簡単に病気にはならんじゃろ」
「でも、油断しちゃダメよ。赤くなりかけてるもの。今から薬草湯で拭いてあげますからね」
ふわっと抱き上げられる。さすがというか、ここの男共たちとは優しさが違う。
「どこ……いくの?」
「ん? ここで拭いちゃうと裸を見られて恥ずかしいでしょ?」
あ、そういうことか。俺も感情も特に恥ずかしいなんてのはないけど、頷いておいた。
で、俺の部屋に来た。
入った瞬間、トレンティーさんは質素な部屋を見て溜息をついた。
「ん~。こんな部屋じゃいけないわ。あの人達に人間の常識がないのは仕方ないけどね」
「いけにゃいの?」
「そうよ。女の子だもの。もっとこう……森の木々に囲まれてて、木の枝を重ねた壁に大きな葉の屋根で、ベッドには落ち葉を引き詰めて、部屋の前には焚き火が揺らめいてるの」
どこのサバイバルゲームの世界ですかそれは?
て、感情がぽわ~と暖かくなってきた! そんな環境に憧れちゃいけません! 野生児になっちゃう!
「あらやだ。妄想しちゃってたわ。ちょっと待っててね」
優しくベッドに俺を座らせて、床に手をかざすと、床から腰くらいまでの木が生えてきて、その木が光って木の桶に変わった。
「しゅご~い!」
魔法だ! パチパチと拍手する。
「ふふ。まだまだこれからよ」
桶の上に水が現れて、そのまま桶の中に落ちると、湯気が立ち昇った。
そこから更に木の葉が何枚も空中に出現した。
さすが森の精霊!
ぱちぱちぱち!
「う~ん、いろいろな薬草があるけど、今日は世界樹の葉を使いましょう」
はい? 世界樹って、あの世界樹ですか? オシッコで濡れた体を拭くだけなのに、そんなの使っちゃっていいの?
まあ、よかったらしい。世界樹のエキスが染み込んだ湯を使って、タオルで丁寧に、細部まで綺麗にされたよ。
すっきりさわやか!
で、気になることを聞いてみよう。
「おれも……」
ばぁぁぁん!
トレンティーさんが平手で壁を殴った!
「おれじゃなくて、わたし……でしょ?」
「あ……あい!」
ごめん! 泣くな、泣くな感情!
「あたち……も、まほお、ちゅかえる?」
「う~ん。グランゾの因子があるんだったら、魔力さえあれば世界を破壊するだけの魔法が使えるはずよ」
……あたち、難しいお話わかんない。