第49話:じこちょうかい! の、ひ!
「お初にお目にかかります。私はエルナーデ国、国王スデリッチ・エルナーデと申します」
金髪で切れ長の目が鋭い、顎鬚が似合うイケメンさんだ。歳は30手前くらいか?
――ソラしゃん、あのひと、しゅきなの?
は? いや、イケメンだなとは思うけど、好きとかじゃないよ。
――パパのほうが、おおきくてかっこいいもんね!
大きさがかっこいいの基準なの?
だとしたら、人間でかっこいい奴なんて誰も居なくなるぞ?
「で、こちらは私の娘でございます」
国王に背中を押され、幼い王女が一歩前に進み出て、スカートの裾を僅かに上げて、膝を折って挨拶する。
「わたくしは、スデリッチの長女、アレアでございます。6歳の身なれど、エルナーデ王国の第一王女でございます」
――6しゃい!
6歳?!
――あたちと1つしかちがわないのに、せがたかい!
1つしか違わないのに、しっかりとした挨拶だ!
……ソラちゃん、外見じゃないとこにも注目しようね?
――えへへ。
まあ、いいや。相手が名乗ったから、今度はこっちが自己紹介する番だよ。
――がんばる!
「俺達のことは既に知っているじゃろ? さっそく、会談に入ろうかの」
「よしなに」
はぁぁぁ? ちょっと待って!
「うわぁぁぁん!」
「うお! どうしたんじゃ!? なぜ泣くのじゃ?!」
「ソラちゃん、こっちにいらっしゃい」
トレンティーさんに抱き上げられて、その胸に顔を埋めて。
「びぇぇぇぇん!」
更に泣く。
「リュード、やっちゃって」
トレンティーさん? 何をですか?
「この! 大馬鹿野郎が!」
「ぐほ!」
リュードさんの膝蹴りが、パパの左頬に食い込んで、パパが吹っ飛んだ。
聖女の加護は仲間内では効果がないらしい。
「お嬢は自己紹介を楽しみにしてただろうが!」
「そうじゃった! ごめんな、ソラリス!」
と、まあ、こんなことがありながら、こちらも自己紹介することになった。
なったんだけど、国王と王女の顔が真っ青になってるんだが……。
竜人のリュードさんの飛び膝蹴りの威力を見ちゃったら仕方ないか。
「改めて……グランゾじゃ!」
「リュードだ!」
「ホーネです!」
「ウルガ」
『スラじいだ、プルルン』
「トレンティーよ」
「ジェノで~す!」
みんな短か! 名前しか言ってないし! もうちょっとこう……あるでしょ! 役職とか、種族とか!
これはあれだ! ソラちゃん、最後にしっかりと自己紹介するんだよ!
――あ、あい! アレアしゃんのまね、しゅる!
おお! 負けるな!
スカートの裾をガシッと掴み、ブワっと上げて。
いやん! オムツ丸見え!
「しょ……しょらりす! 5しゃいのパパでしゅ!」
パパが5歳になっちゃった。