第4話:初めて絶望した日
衝撃の事実が発覚した。
命を救ってもらった代償に、成長が止まってしまうらしい。
成長が止まる……魔王の因子で魔族になってしまうってことか?
そして、やはりというか、今の俺の両親は死んだらしい。
それ自体は記憶がほとんど消えている俺には大した問題でもないが、3歳児では1人で生きていけない。
これからどれだけ成長できて、1人で生きていく力を持てるかが課題だな……。
ぐうぅぅぅ。
「おなか……」
ああ! 俺は普通にしゃべってるつもりでも、うまく言葉が出てこないのがもどかしい!
これじゃまるで幼児じゃないか! ……あ、3歳児だったわ。
とにかく、可愛く振舞ってこの人達に保護してもらおう。
あざとく、可愛く、保護を求める。OK……OKだ。
男のプライド? そんなもので生き残れないだろ? 今、俺は女の子だし。
「おお。可愛い音が鳴ったの。お腹がすいたのかの?」
なんか妙に優しい魔王の言葉に、首をコクコクと縦に振っておいた。
感情もそうしろと言っている。
「確か、この子を襲っていたウルフを倒して持ってきていたな? よし、この子にそれを食べさせて、両親の復讐を果たさせよう」
やめて! トラウマになっちゃう!
それにそんなことは本人が居ないところで言って!
そんな魔王みたいなことしないで! あ、この人魔王だったわ。
「おにく……や! あまいの……が、いい」
緊急回避! 判定は?!
「かかか! 幼子にまだ肉は早かろう。果物があったはずです。それを小さく切って与えましょう」
骸骨の人、ナイス!
「おお、そうじゃの。ではウルフは冷凍魔法で凍らせて、この子が大きくなったら食べさそうかの」
「早く大きくなるんだぞ?」
「「「ははは」」」
いや~! 早く成長止まってぇぇぇ!
果物は普通に美味しかった。
リンゴの見た目をした果物の名前は、マジックアップルというらしい。
食べると魔力の最大値がアップするらしい。
マジックアップ……ル。ははは。
ここやべ~。
さて、あの質素な部屋に戻されたんだが、トイレに行きたくなってきた。
座っていたベッドから飛び降りて、部屋の外に出る。
この部屋、扉がないから出入りは自由なのである。監禁されている訳じゃないらしい。
広い廊下を裸足でペタペタ歩く。
――うしさん、いない……。
うん。居ないね~。トイレの場所を聞きたかったんだけど。
て、俺は今、誰と会話した? まあ、気のせいか。
ちょうど前から歩いてきた二足歩行の鳥人に聞いてみよう。
「オチッコ……どこ?」
「そこの角、右に行ってすぐ。1人で大丈夫?」
「だい……じょぶ」
ペコっとお辞儀して、教えてもらった場所へ向かった。
はい! 1人で大丈夫じゃなかったです!
身長が90センチくらいの幼児では、ドアノブに背伸びしてもジャンプしても手が届きません!
じょぼぼ……。
「うわぁぁぁん!」
廊下を濡らして、絶望に泣いた。