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第29話:しょうていがいだよ! の、ひ!

 お昼ご飯を食べた後、少し休憩してから馬車の旅は再開された。

 またジェノさんの膝の上に座ろうとしたんだけど。


「ソラ様は、パパ様のほうへ……」


 お断りされたよ。


 ――また、いたい! て、ちたくないちね!


 うん。そうだね。お互いにね。


「パパ! だっこ!」

「よしよし、おいで」


 やっぱり、パパのほうが安定感があるね。


 ――あたま、なでてくれるちね!


 そうだね~。

 あ、でも、ジェノさん寂しそうだから、手を振ってあげようか?


 ――あい!


「ジェノしゃ~ん」

「――! ああ、幸せすぎます!」


 座席に身を投げ出し、悶絶。

 

「放っておいて、出発しようかの」

「あ……あい」


 予想通りだった。楽しいなこの人。




「おやつ、おやつ!」


 ジェノさんが切ったリンゴをフォークで刺して、口元に差し出してくる。


「はい、あ~ん」

「あ~ん!」


 パク! むしゃむしゃ。しゃりしゃり。


「ああ! なんて素敵な笑顔!」

「なぁ、今更ながらに思ったんじゃがな?」

「なんでしょう? 私のソラ様に対する態度ですか? 可愛い子にたいしては誰だってそうなるでしょう? べ、べつに、あ、愛してる、と、とか、す、すすす、すきなんて……」


 後半よ!


「いや、そんなことじゃなくて、ソラリスの魔力が桁違いなのは、そのマジックアップルを毎日食べさせすぎたからなんじゃないかなってな」


 本当に今更だな! わたしは1年以上前から気付いてたぞ! お腹壊したし!


「では、食べさすのを止めますか?」

「いや! たべるの! うわぁぁぁん!」

「ああ! きのせいじゃった!」

「アップルは関係ありませんね! きっと、ソラ様が聖女だからですね!」


 おいおい。泣き落としに屈伏していいのか?

 まあ、今までそれで困ったことは……水が濁らない池が出来て……花畑も出来たね~。うん! 殺風景だったお城の周りが綺麗になったから問題なし!

 最近は制御も出来るようになったしね!




 しばらく進んでいると、馬車が停車した。


 ――どちたの?


 いや、なんだろうね? オムツの交換ってわけじゃないだろうし。

 

 ――おもらち、ちて、しゃっきかえたもんね!


 それ、自信満々に言っちゃだめだぞ~。


「ソラ様。ここで今日は野宿となります」


 もうそんなに時間がたってたんだね。楽しいと時間が進むのが早いね。


「よ~し。まずはパパと一緒に火を焚こうか?」

「あい!」


 馬車から降りると、辺りはすでに暗くなり始めていた。

 近くには小川が流れているのか、水の流れる音が聞こえてくる。

 野宿するにはちょうどいいのかな?


「ウルガはテントを建ててくれ。ジェノは食事の用意じゃ」

「任せろ!」

「はい!」


 ウルガさんはずっと馬車の運転をしてくれていたんだけど、疲れてないのかな?

 まあ、人外だから問題ないか。


 そして! 食事を済ませ、焚き火を囲み、しばらく談笑したあと、ついに寝る時間になった!

 テントは2つ張られ、男女別々になってたんだけど、ジェノさんが寝息を立て始めたのを確認した後、こっそりとテントを抜け出した。

 そう、作戦実行のときは来た!


 そろりそろりと、パパたちのテントに近づいて、入り口の幕を開けて。


「パパ、いっちょにね」


 ぐごごご! ごがぁぁ! がががが!


 ……いびきがすげぇぇ!

 

 ――ソラしゃん……。


 戻ろうか?


 ――あ、あい……。


 いや、いびきは想定外だったよ。それも2人分だよ? 寝れるはずないじゃん。


 はい。作戦失敗!

 魔術書に防音魔法あったかな? 探しておこう。

 


先日、素敵な感想をいただきました。ありがとうございます!


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