表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/291

第20話:あたちの、かち! の、ひ!

 氷が全部溶けて、水になり、刺さっていた大きな窪地が池になった。

 透明度が高くて、ここに川が繋がれば、立派な湖になりそう。

 

 てことで、氷がなくなって魔法の練習が解禁されたよ!

 パパと、ホーネさんと、トレンティーさんの防御結界で守られながらだけど。

 あ、守られてるのは、わたしじゃないよ? 周り全てだよ。


「ソラ様、あの的に向かって、火の魔法を使ってください」


 と、ジェノさんが丸太で作られた的を指差した。


「あい! ひのけ、し! んよ! おろかかなるものをやきつく、せ! ふぁいや、しょ! と!」


 突き出した右手から火の玉が撃ち出されて、的に命中。


 シュゴォォォ!


 と、火が天高く噴き上がる。

 

「なあ? 俺の記憶が確かなら、ファイヤショットって、当った対象を火に包むだけだったと思うんじゃが」

「かかか! 結界で抑えられてこの威力! 結界の維持だけで魔力が半分持っていかれた!」

「ソラちゃん。魔法ってね、感情の強弱で威力が変わるの。もうちょっと感情を抑えてみて」

「あい!」


 元気に返事したけど、無理じゃないかな~?

 だって、いま魔法を使ってるのは、感情そのもののソラちゃんだよ?

 魔法を使える嬉しさ全力全開! の、感情100%ですよ? 


「ソラ様、今度は水の魔法でお願いします」

「あい! みずのけ、し! んよ、わ、ざ! わいをおしなが、せ! うぉーたーぶりっど!」


 撃ち出された水の弾が、的との距離が近くなるほど巨大になっていって、的に当る直前には高い水の壁になった。


 ザッパァァァン!


「かかかぁぁ! 結界が砕けた!」

「津波じゃぁぁぁ!」


 いや……押し流せって詠唱だけどね。うん。大惨事になった。




「これはあれですね。ソラ様はサ行の発音のとき、お腹に力を入れているので、そのときに感情が高ぶってしまうのかも?」


 ジェノさんの冷静な分析だけど、多分、関係ないとおもいますよ?


「でも、感情の影響なんて、多少の誤差のようなものよ?」

「初級魔法で、上級魔法の威力にはならんじゃろ?」


 みんなが集まって、話し合いが行われている。

 これやばいな。


 ――どちて、やばいの?


 魔法が大きすぎて、禁止になるかも?


 ――いや!


「こんど、じょうじゅにやるから!」


 パパの足にしがみついて、いやいやと頭を振る。


「う~ん。ほんとに大丈夫か?」

「だいじょぶ!」


 ――ソラしゃん、やって!


 わたしがするの? まあ、わたしならあんな威力にならないと思うけど。


「わかったわ、ソラちゃん。でも、また凄いことしちゃったら、心が成長するまでは禁止するからね?」

「あ……あい」


 心が成長……いつになることやら。


 とにかく、禁止されちゃったら可哀想だしね! とりあえず、この場は切り抜けて、あとで対策を考えよう!


「ひのけ、し! んよ、おろかかなるものをやきつく、せ! ふぁいや、しょ! と!」


 サ行だけ腹に力を入れるって、難しいな!

 まあ、飛んでいった火の玉は的に当って、小さな火で包んだ。

 これで禁止にはならないかな。


 ――ふふ。


 ちょ! その笑いは何? これが普通なんだよ?


 ――あたちの、かち。


 勝負じゃないからぁぁぁ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ