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第199話:じちんまんまんな、こたえ! の、ひ!

 本日の授業もあと1教科で終わる……。


 ――いっぱい、べんきょうちたね!


 ほとんどジェノさんの膝の上で、お絵描きか寝てただけだったけど?


 ――きおくにないでしゅね~。


 寝てたからでしょ?! 記憶にないのが当たり前だよね?


 ――もうおわりでいいでちょ? おうち、かえろ?


 登校するときは、アリアちゃん達とおしゃべり出来るから、なんだかんだと言って楽しくしてるんだけど、授業が始まると皆はそっちに集中しちゃうから、ソラちゃんは直ぐに飽きちゃうんだよね。

 それに、3歳児のソラちゃんには授業内容なんてさっぱりだしね。


「ああ~、みんな席につけ~。これからちょっと小テストをするぞ~」

「ゆうぅぅぅちゃぁぁぁ!」


 教室に入ってくるなり、そんなことを言った勇者に飛び掛かっていく。


「うおぉぉぉ?! 落ち着け、ソラちゃん!」


 逃げ惑うリンバーグさん。

 このSクラスって、アリアちゃんを筆頭に、領地の後継者の子息や優秀な頭脳な令嬢を集めたクラスだったよね?

 学年でトップなクラスが、ソラちゃんのせいで何気に他のクラスよりも授業が遅れちゃってない?

 学級崩壊の危機ですよ!


「ソラ様? テストでいい点が取れたら、グランゾ様……パパにいっぱい褒めてもらえますよ?」


 そのジェノさんの言葉を聞いて、リンバーグさんを追い回していた動きを止めて、トコトコとジェノさんの前に行って、両手を上げて抱き上げてのポーズを取る。


「「「その仕草が可愛い……」」」


 はい。ソラちゃんの魅力にクラスのみんなが毒されてます。


「ゆうちゃ! はやく、てしゅと!」


 パパに褒められたいから、やる気満々だね。


 ――あたりまえでちょ!


 だよね!


「ああ~、じゃ~配るぞ~」

「やりきだちぇ! ゆうちゃ!」

「……」


 最初に勇者のやる気をへし折っちゃったのは、ソラちゃんだけどね!


 で、答案用紙には、世界地図が書いてあった。

 国名は書かれてないけど、国境らしきものは線で引かれている。


「それぞれの国名を書いてもらうぞ」


 なるほどね。この国を守る貴族なら、周辺諸国にも詳しくないといけないってことか。

 まあ、ソラちゃんはこの国には関係ないけども。

 

 ――ソラしゃん! てちゅだって!


 うん? まあ、仕方ないか。

 まずは、中央の広大な円形はパパの国でしょ。国名は何なんだろ? まあ、いっか。で、その直ぐ南……下のほうは、今いるこの国、エルナーデ王国だね。

 で、その更に下には、この前戦争を吹っかけてきたグルンド――。


「できた!」


 ちょ! まだ説明の途中だよ!? この世界には大小合わせて10以上の国があるんだけど!?


「ソラちゃん、早~い!」

「「「ちょっと見せて!」」」


 リンバーグさんを筆頭に、クラスの5名が集まってきて、ソラちゃんの答案用紙を覗き込む。

 

「「「……」」」


 そして、言葉を失った。

 だって、ソラちゃんが書いたのは、答案用紙の全体を使って。


 パパのくに。


 こう書かれてたんだから。


 どうしてこうなった? わたし、手伝ってってお願いされたから、説明してたよね?


 ……まずは、中央の広大な円形はパパの国でしょ……中央の広大なパパの国でしょ……広大なパパの国でしょ……全部、パパの国?


 パパ、世界征服しちゃった!


 

 


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