第191話:みんなと、おにんぎょうあしょび! の、ひ!
仕事が忙しくて書く時間ない~><
投稿が遅れがちですけど、読んでもらえて嬉しいです!
自室で身だしなみを整える。
この国の国王、アリアちゃんのお父さんに呼ばれたから、こっちも魔王国の王女として最低限の身だしなみは必要だろう。
装いは、多少の泥遊びで汚しても怒られない深緑のワンピース。髪型は右側に纏めたサイドテールにして、水色のリボンでアクセントをつけて、そして……姿見の鏡の前で微笑む。
「あたち、きれい」
「はい! ソラ様は世界一可愛いですよ!」
「かわいいじゃないの! きれいなの!」
「ええ! そうですね~頬を膨らませたソラ様はかわいいですね~」
ソラちゃんを抱きしめてほっぺに頬擦りするジェノさん。
――ソラしゃん、いってやって!
うん……。ごめんね、ちょっと無理そう。
お互いの綺麗と可愛いの主張に、わたしはどうやって口出しすればいいんだろう?
わたし、元々が男だったっていう認識がまだ抜けてないから、そういったことは本当に意味わかんないんだよね。
と、そんなことで悩んでいると、部屋にトレンティーさんが入ってきた。
「ソラちゃん、準備出来た? ……まぁ! 可愛いわね!」
多数決で可愛いに決まったようですね。
――ぷぅぅぅ!
……仕方ないじゃん。
結局、綺麗か可愛いかの問題は、パパの「可愛いの~」って一言で、ソラちゃんがデレまくって解決した。
まあ、そんなことがあり、今は王城の中のアリアちゃんの部屋に居ますよ。
国王に呼ばれたのに、どうしてアリアちゃんの部屋かって? それはね……。
「うわぁぁぁん! おねえちゃんとあしょぶの!」
普段から通っているアリアちゃんの部屋への通路と違う道を手を引かれていこうとしたら、ソラちゃんが大泣きしちゃった。
ここに来る前に、綺麗なドレスを着て大人な淑女に拘っていたのに、台無しだ。
ソラちゃんの中の優先度は、アリアちゃん>>>お菓子をくれる騎士さん>あまり知らないおじちゃん(国王さん)。
なわけで。
国王さんに呼ばれてきたのに、そんなこと無視してアリアちゃんと床に座ってお人形遊びをしていますよ。
「おねえちゃん、ただま~!」
ソラちゃんの持ったうさぎさんのヌイグルミが、ドアを開ける仕草で帰ってきましたよ。
「あら、お帰りなさい。外から帰ったらお手々を洗いましょうね」
「あい! じゃばじゃば~じゃぶじゃぶ~どば~ん!」
洗い過ぎじゃないですかね?
「今日はご馳走のニンジンですよ」
「……」
――ソラしゃん……。
いやいや、本当のことじゃないから! 遊びだからね? ほら、うさぎさんはニンジンが大好物だから!
「アリア、部屋に入っていいかい?」
と、ソラちゃんが悲壮感に溺れていると、部屋の外から声がかかった。
「お父様? どうぞ、お入りになって」
アリアちゃんの応答を聞いて、ドアの近くで立っていた侍女のラチカさんがドアを開けた。
「すまんな、ソラ殿が来ないので、ここで話をさせてもらうぞ」
「……ええ、かまいませんわよ」
憐みの眼差しを向けてあげないで!
「ソラ殿、頼みたいことが」
「や! おにんぎょうであしょぶの!」
国王さんが来てくれたんだから聞いてあげよ?
「なるほど……。お前たち、人形を1体ずつ持て」
「「「はい!」」」
おや? 国王さんに付いてきていた大臣さん達? 貴族さん達? が、人形遊びを始めちゃいましたよ?
「トコトコ……。あれ? エルナーデ王国の王都に行きたいのに、ジャングルで迷っちゃった」
クマが森の中で迷子になったらしい。
「おかしいな~? グルンド王国からの使節団が来るはずなのに、まだ来ないぞ?」
国王さんの持つ猫のヌイグルミが首を傾げる。
「僕たち、騎士団が探しに行きますよ!」
と、宰相さんのリスのヌイグルミが、クマのヌイグルミに向かってトコトコと歩いて行く。
だがしかし、その途中で大臣さん達が持つヌイグルミ達が行く手を阻んだ!
「うわ~! モンスターの襲撃だ~! 数が多くて、囲まれちゃった! 伝書鳩で救援要請を~!」
大の大人たちが人形遊びって……しかも、国王と、4,50歳くらいに国のお偉いさん達がだよ?
――おにんぎょうあしょび、へたくしょだね!
それは許してあげて! みんな、凄く恥ずかしそうに耳まで真っ赤なんだから!
まあ、それはいいとして、騎士団て、パパと門の前で会った人たちだよね? え? モンスターに包囲されちゃってるの?
――たいへんなことになってるね!
「ということで、負傷者も多数居るらしく、ソラ殿に兵士と共に助けに行ってもらいたいのです」
人形劇をしなくても、その一言で良かったんじゃない? あ、ソラちゃんが人形遊びじゃないと聞いてくれなかったからか……。
さて、ソラちゃん、どうする?
「おかちくれたら、いってあげりゅ!」
はい、決定。
――がんばって、かきなちゃい!
がんばってるんだよ?