表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/291

第185話:ちあわしぇ、おしゅしょわけ! の、ひ!

 孤児院から冒険者ギルドに戻ってきた。

 依頼達成の報告をして報酬を受け取るぞ!


「おね~たん! いらいたっしぇいちた~!」


 ジェノさんに抱かれたまま近づいていって、右手に握った依頼票をパタパタと振る。

 乱暴に握られて振られたから、依頼票はシワシワのクシャクシャだ!


「お疲れ様です!」


 それでもお姉さんは、ニコニコ顔で依頼票を受け取ってくれた。

 でもね、お疲れさまって言ってくれたけど、ソラちゃんは基本、ジェノさんに抱かれたままだったんだけどね。

 肉体労働は、フェルノ君とベエルフェッド君が担当してくれたわけで。

 今回はパーティーでの活動だったから、報酬の割合は2人が多く貰えると思うのだが……。


「じゃ~、報酬の飴玉ね。今回は3人だから3個よ」

「やった~! ありがとごじゃましゅ!」


 お姉さんが、背後に置かれたガラスの容器から飴玉を3個取り出して、ソラちゃんに渡した。

 透明なガラスの容器には、飴玉が大量に詰まっていて、ソラちゃんの報酬用に用意された物らしい。

 ていうか、この薪の配達依頼は正式な依頼であり、報酬は銅貨10枚だったんだけど、それが飴玉3個になっちゃったよ。


「……」

「「……」」


 ソラちゃんとフェルノ君とベエルフェッド君の2人と見詰め合う。

 ソラちゃんは胸の前で飴玉を握りしめ、2人にメンチをき……懇願の眼差しを向ける。


「あ~、俺たちはいらないよ」

「そうだな。ソラちゃんが全部受け取ってくれ」

「しょ~お? ちかたないでしゅね~」


 2人は1番働いて、報酬なしになっちゃった!

 

「でへへ~」


 ネコさんポシェットに飴玉を嬉しそうに入れる。

 その様子を見て、2人は微笑んでいる。

 ソラちゃんの笑顔が最高の報酬だ! そういうことにしておこう!




 2人と別れ、歩いて帰っている。

 もちろん、王都の大通りは人通りが多く、ジェノさんに抱かれたままだけど。


「ソラ様、いっぱい遊びましたね」

「うん、あしょんだ~!」


 ソラちゃんの笑顔に、ジェノさんはデレデレである。

 

「おいち~!」


 飴玉を頬張り、幸せいっぱいだね。

 

 ――うん! ちあわしぇ~!


 と、住宅街を歩いていると、おぎゃ~! と赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

 家の中からバタバタと音が聞こえて、歓声の後で何故か悲鳴が聞こえた。

 出産を終えた母親の容態が危ないらしい。

 栄養失調に加え、医療の発達がそれほど進んでいないこの世界では、出産後の母親の死亡率は結構高い……。


 ――みんな、ちあわしぇ~! おしゅしょわけ~!


「ちあわしぇに、なれ~! 『はぴねしゅ!』」


 幸せ気分のピンクの光が王都全体を照らして。


「ああ! 奇跡だ! メリナ! よかった!」


 住宅街の中から、そんな声が聞こえてきたよ。


 幸せをお裾分けって、凄いね。


 ――あめだま、おいちいもんね!


 そうだね~。


 飴玉1つで、みんなを幸せに。


 ソラちゃんの笑顔が、わたしの幸せだよ。


「私はソラ様と密着できることが幸せですよ! 帰ったらお風呂でハアハアしましょうね!」


 あんたは自重しろぉぉぉ!




「なあ、フェル。今日は楽しかったな」

「うん。報酬はなかったけど、ソラちゃんの笑顔が最高の報酬だな」

「明日も、ソラちゃんを誘って……て、なんだ、このピンクの光は?」

「「……口の中あま~~~い!」」

「あっはっは!」

「なんだ、この幸せな気分は?! あはは!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ