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第181話:しゅくじょをめざちゅ! の、ひ!

息抜き回……かも?



 今日は、午前から特殊授業の日だった。

 前半は礼儀作法。後半はダンスレッスン。

 この学園に通うのは、ほとんどが貴族の子息令嬢ということで、こんな授業も組み込まれてるんだけど。


 まずは前半。礼儀作法の授業。

 この授業では、クラスに関係なく、男子と女子に分かれて行われる。

 男子が女子の作法を学んでも意味がないからね。もしも女子の作法を学びたいって男子が居たら、その子は男の娘かな?


「いいですか? ドレスでの歩き方は、背筋を伸ばし、両手はへその下で組んで腕を振らないように、歩行は細い線の上を歩くように、軸足のつま先と前に出した足の踵が一直線になるように」


 ほ~……。あれか? 分厚い本を頭の上に乗せて、落ちないように歩く。

 1人づつ、教室の端から端へと歩いて行く。

 スカートが靡くことなく、姿勢を維持して流れるように前に進んでいく。


「次はソラ様。お願いします」

「あい!」


 右手を大きく上げて元気に返事! って、この時点で淑女とは程遠いような気がする。


「えっちょ……」


 姿勢を整え、一歩を踏み出すタイミングを……。

 周りは静寂が支配して、誰かのゴクリという固唾をのむ音が聞こえて……。

 いやいや、どうして本人じゃなくて、見ている皆のほうが緊張してんの?


「いく!」


 準備ができて、その一歩を踏み出す!


 よちよち……ぽてぽて。


 普段と変わらない歩き方だね。線の上を歩くどころか、腕でバランスを取れないから今にも転びそう。

 3歳児の身長で凄く細いやせ型で、いつもすぐ転びそうになってジェノさんに抱きかかえられちゃってるからね……。


 ――うるちゃいち! 3しゃいじゃなくてもうしゅぐ7しゃいだち! ころばないち!


 ああ、えっと、集中しないと、ほら……。


「あ!」


 集中力が切れて、足がもつれちゃった!


 ぽてん! と、顔からまともに転んで。


「う……うわぁ――」

「「「ソラ様!」」」


 周りに居た人たちが駆け寄ってきて、ぎゅってされて頭を撫でられて、泣く暇もなくて、最後には照れ笑いになっちゃってたよ。

 これは……みんなソラちゃんが転ぶことを予測して待ち構えていたのかな?


 まあ、この歩き方は城内やら格式ばった場での歩き方だけど、ソラちゃんの場合、この国の城内でもいつもアリアちゃんの部屋に走って突撃してるから、あまり関係ないね。


 で、後半のダンス……。

 男役の女生徒と練習したんだけど、ソラちゃんの身長が足りなくて、体を持ち上げられて、たか~いたか~い! されて、その場でくるくる~されて、ソラちゃんがキャッキャと喜んで……。

 うん。幼女だから仕方ないね。


 結論。3歳児には、まだこの授業は早い……。




 昼食後、午後の魔法実践授業で午前の鬱憤を晴らすかの如く、的とグラウンドを粉砕するソラちゃん。


 ……ようじょはこゎぃ……。



 




――ソラしゃん。


うん? なに?


――いちゅもあたちに、しゅくじょきょういくって、うるちゃいけど、ソラしゃんもことばじゅかいが、おとこのひとみたい。


……そんなことはありませんわよ? ソラちゃんが元気いっぱいでおいでなさるから、そう聞こえるのではありませんこと?


――ソラしゃん……きもちわりゅい。


……幼女は理不尽だ!

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