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第176話:めじゃめは、びんたでちょ? の、ひ!

 午前の授業を終えたお昼休み。

 食堂でジェノさんからお昼ご飯を食べさせてもらっているんだけど、ソラちゃんは半分眠っている。

 

 ――ソラしゃん……ちゅかれたね。


 うん……授業を逃げ出さず、居眠りもしないで全部やり遂げたからね。

 真面目に授業を受けることが依頼内容だけど、真面目に授業を受けることがこんなにも疲れちゃうなんて思わなかったよ。

 わたしでさえ疲れちゃうんだから、そりゃ~ソラちゃんが普段から耐えられずはずないよね。


 ――でちょ……。


 いや、だからって、抜け出すのはどうかと思うよ?


「ソラ様……眠気が限界のようですね。午後からの授業はお休みしますか?」

「だめ……ほ~しゅ~、おかち……」


 幼女はお菓子にまっしぐら!

 いやいや、お菓子に対する執念が可笑し過ぎるでしょ……なんちゃって!


「おもちろくないち!」

「ひゃ! ソラ様! いきなり叫んでどうしたんですか?!」

「にゃんでもにゃい……」


 ――ソラしゃんのしぇいで、めしゃめちゃった!


 ……寒いギャグで眠気がとびましたか? これで午後の授業は頑張れるね……。




 午後の授業の結果は……。

 ジェノさんの膝の上でぐっすり爆睡! そしてスッキリ爽快!

 

 で、ジェノさんの言葉がこちら……。


「世界の歴史? 人間共の歴史なんて興味もないですね! 私でさえ眠気が襲ってくるくらいの価値のない授業でしたね」


 パパの国……魔王国って、今まで人族とは関わってこなかったからね。洗脳されてた人族が、一方的に絡んできてただけだし。

 今更、人族の歴史なんて興味ないよね。


「まったく! 私とソラ様の愛の歴史に、人族の歴史の知識なんて無用なんですよ」


 うわぁ……。そういえば、ジェノさんって、そっち系の人だったよ……。

 ソラちゃんの居眠りを愛を持って許容し、授業内容に不満を滾らせたジェノさんと共に、リンバーグさんを睨みつけて。


「ゆうちゃぁぁぁ! いらいかんりょ~の、しゃいんちて!」

「いや……真面目に……まあ、居てくれただけでもいいか」


 と、教科書や資料を片付けていたリンバーグさんが、差し出された依頼票にサインしてくれた。

 結局は、みんなソラちゃんに甘々なんだよね。




 学園が終わり、アリアちゃん達と校門で別れて冒険者ギルドに直行したよ。

 今日はアヤネちゃんも一緒だ。そのまま討伐依頼を受けるらしい。


「アヤネちゃんと、いっちょにいきたいな~」

「ソラちゃんはまだランクが低いから、街の外の依頼は受けれないよ」

「ぷ~!」


 ほっぺがパンパンに膨らんでますよ。

 

「ソラ様のほっぺの柔らかさは高ランクですよ! 可愛さは世界一ですね!」

「でちょ!」

「ソラちゃん、それって冒険者ランクには全然関係ないからね?」

「しょか~」


 拗ねたり、喜んだり、落ち込んだり、感情さんは大忙しですね。


 ――ソラしゃんは、おちちゅぐちゅちゅぎ!


 なんて言ってるん? 落ち着きすぎ……かな?

 わたしはほら、理性だから冷静でいないと、ソラちゃんの暴走を止めれないでしょ?


 ――とめれたの?


 ……連敗中ですけど!


「あれ? 昼間にしては、ギルドが騒がしいね?」


 アヤネちゃんのキツネ耳がピコピコ動いて、ギルドの中の音を聞いている。

 

「怪我人が居るみたい!」


 駆け出したアヤネちゃんに続いてジェノさんも急いでギルドの中に入ると、床に寝かせられた数人の冒険者さんが目に入った。

 ほとんどが10歳にも満たない子供たちで、その中にはマグア君も居た。

 みんな手足が潰れたり、切断されたりしていて、特にマグア君は腹から血が噴き出し、顔が血の気を失い真っ青で、呼吸も弱々しい。


 ――ソラしゃん!


 うん! 助けるよ!


 ジェノさんに降ろしてもらい、ちぇかじゅのだを杖の形に変える。


 ――こころを!


 1つに!


「『りざれくしょん!』」


 ソラちゃんから溢れた光が子供たちを包み、潰れた手足を元に戻し、切断された手足を復元していって、回復することができた。

 けど、マグア君だけは光が弾かれちゃった。


「どちて!」


 これって……りざれくしょんは、完全回復だけど、致命傷だと回復できないってこと?


 ――どちたらいいの……?


 致命傷を回復するには、完全回復よりも上位の魔法が必要……。それって、蘇生だよね? 

 でも、そこまでいくと神じゃないと使えないんじゃないかな……。

 いや、あるじゃん! 神の力!


 ソラちゃん! 因子開放!


「いんちかいほ~!」


 パパの因子を体中に駆け巡らせて! さらに、ブレイブ!


 勇者の力を開放!


 ソラちゃんの聖女、わたしの勇者の力、世界樹の枝、そして、パパの……神の因子!

 条件は揃っているはず! お願い! 来て!


 ――ソラしゃん! あたらちいこえ、きこえた!


 うん! いくよ~!


「『りばいぶ!』」


 マグア君から光が立ち昇り、傷が塞がっていって、顔には赤みが戻り、そして光は翼を生やしたソラちゃんの形へと変わり、大きく右手を振りかぶり。


 ぱち~~~~ん!


 マグア君の頬を張り飛ばした音がギルド内に響いた。


(めじゃめなちゃい!)


「おはようございます!」


 マグア君が跳び起きた。


「「「お……おお~」」」

「「「凄いけど……」」」


 イメージしてたのと違うよ、これ!?

 もっと最後、神聖なさ、こう……あるじゃん! なぜにビンタなの?!


「アヤネちゃん! 致命傷ってどうやったらできるの?」

「ジェノさん!? 急にどうしたの?」

「私もソラ様のビンタで目覚めたいの!」

「あれはソラちゃんじゃなくて魔法だよ! 気をしっかり持ってジェノさん!」

「ソラ様にビンタを頼もう……いや、ダメね。ソラ様は優しいから暴力なんて振るわないわ!」

「……ソラちゃん、助けて」

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