表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/291

第169話:あしょびあいてにも、ならないね? の、ひ!

 世界樹の枝の力を借りた祝福が暴走。

 原因はパパの過剰魔力!

 まさかね、地形変動まで起きちゃうなんてね。ここの領地は、幻想的な大自然が広がる魅力的な地になったよ。

 問題はやっぱり、どこまで影響があるかだよね。世界地図を書き換えないといけないくらい、地形変動が起こってたら大変だよね?


 ――かじぇのしぇいれいしゃんに、みてきてもらう?


 だね~。確認はしておかないとね。


 ――あい!


 ソラちゃんが、口の前で両手で円を作り、大きく息を吸い込んで。


「す~……かじぇのしぇぇぇぇれぇぇぇ――」


 ――えうう! くるち!


 息が続かず、酸欠で眩暈を起こして座り込んじゃった!


「ソラリス! 大丈夫かの!? 魔力切れかの?!」


 いえ、ソラちゃんの魔力は、8を横にした記号っぽいので大丈夫なんですが、咆哮と肺活量のバランスがですね……。

 ていうか、どうしてそんな呼び方をしちゃったのかな?

 大自然の中で叫びたくなっちゃうあれですか?


 パパの大きな手で背中を撫でてもらっていると、呼吸が落ち着いてきた。

 で、すっと立ち上がり、右足で何度も地を踏み叩く。

 何故かお怒りモードですよ?


「しゅぐきてくれにゃいと、だめでちょ!」

『はい! 来ました!』


 つむじ風が起こったと思ったら困り顔の風の精霊が現れた。

 何度か言ってると思うけど、幼女は理不尽である。


「ソラリスや、そんなに怒っちゃいかんよ? いつもはどうやって呼んでるんじゃ?」

「ふちゅ~によんでりゅ!」


 ……。





「パパ! にじ~! きれいね」

「ほんとじゃな~」


 大滝から流れる水が飛沫をあげて、太陽の光で虹が浮かんでる。

 地面に座ったパパの膝の上にソラちゃんも座り、2人でほのぼのと自然を謳歌する。


『ただいま帰りました~! て、私が世界中を駆け巡っている間に、なぜに和んでいるんですか?』

「いや……待っている間、暇だったんでな」

「でーとちてた!」


 パパと2人で居る時は、全てデートになるらしいですよ?


『……。まあ、いいですけどね。えっとですね、祝福で地形変動があったのは、この中心点から見える範囲のみで、ほかの地域だと、地形変動は見られなかったですけど、全ての大地が肥沃な地へと変わってました』

「なるほどの。妖精たちのやるべきことを、ソラリスがたった1度の祝福で解決してしまったと?」

『はい。これからは自然に草木が生え、森が育つでしょう。畑なども、人間たちが自ら耕し育てれば、十分な収穫量が確保できるでしょうね』


 いきなり畑が出来て、すでに野菜が実っている状態ではないってことかな?


「ふむ……。それでも、これから秋になり、冬になることを考えれば、まだまだソラリスの祝福は必要か。ちと、これからのことをトレンティーと相談してくるが、ソラリスはどうする?」

「もちょっとあしょぶ!」


 ジェノさんが居ないから遊び放題だ!


「そうか。風の精霊よ、お守りをよろしくの」

『お任せください!』


 ――……じゆうに、あしょべない!


 いや、何をするつもりだったの? 風の精霊さんの立場も考えてあげて? お守りを任されて喜んでるんだから。




 パパが街に帰っていったあと、ソラちゃんは地面に寝そべってゴロゴロと転げ回った。

 ワンピースは汚れ、髪には草がいっぱい絡みついてる。

 ジェノさんだったら寝ころんだ時点で注意してくるだろうけど、風の精霊さんはその様子を見てただニコニコと微笑んでいるだけ。

 お守りといっても、止めるでもなく、注意してくるわけでもなく……。

 あれだね、お守りって、見守るってことかな? パパの意図とはかなり違うと思うけど。


 出来立ての自然の中で、まだモンスターも湧いていないから安全かなって思っていると、上空から天使が4人舞い降りて来た!

 グルンド王国の兵士から攻撃され、逃げ帰った天使たちだ!


 ――ぐりちきがいる!


 だね。天使のグリルチキンもその中に居たよ。


「くっはっは! 久しぶりだな聖女よ! これだけ盛大な祝福をしては、魔力も残っていないだろ!」


 遊び回るくらい有り余ってますが? むしろ、大人しくなるまで減らすにはどうしたらいいんでしょう?


「我ら最強の天使4人が相手になってやる!」


 幼女相手に4人って、プライドはないのかな? 1回負けてるから、プライドは捨てたのかな?

 で、ソラちゃんはそんな4人の天使の前で腕組みをして、怒ったように言い放つ!


「しゃいきょうは、ひとりでちょ!」

「「「「なっ!」」」」


 驚愕な表情を浮かべて固まっちゃったよ。

 最も強いから最強であって、それを4人で名乗っちゃダメでしょ。ていうか、ソラちゃん、そこによく気付いたね。


「最強は……」

「「「俺に決まっている!」」」


 4人で、殴る蹴るの乱闘が始まっちゃいましたけど。

 ソラちゃんと風の精霊さんは、それを座って観戦。

 しばらく経って、3人が地に倒れ、辛うじて足が震えながら立っていたグリルチキン。

 最後まで立っているあんたが最強なのか。顔は殴られて腫れ上がって原型が分かんなくなってるけど。


「……俺が……最強……だ。聖女よ……勝負し……ろ」

「ちぇかじゅのだ!」


 枝の先で膝をぺちん! と叩いたら、グリルチキンは崩れ落ち、気を失ったよ。

 そして、天使4人は風の精霊さんの風に乗せられ、遥か彼方へとポイってされたよ。


 幼女の言葉に踊らされる天使4人……何しに来たの?


 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ソラちゃんの魔力量凄い! 天使さんたちは四天王とか名乗っておけばいいものを…… 最強は最も強い奴の称号だもんね? でも敵対視してる相手を前に同士討ちって天使さんたちって頭悪い? そして同…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ