第168話:じじぇんしぇちゅめいは、だいじ! の、ひ!
感想と評価、ブックマークありがとうございます!
評価が1100ポイントいきました!
凄くうれしいです!
結局、対談は国王同士で行う必要があるだろうってことで、ムリシさんも帰ることになった。
問題は、その国王も洗脳されているだろうってことだけど。
まあ、そこはね。
「『えんちゃんと! ぴゅりふけちょちょ!』」
この場に集まっている妖精たちに、浄化魔法を付与する。
「じゃ~、あなたたち、優先は王族、それと教会の女神像よ。女神像は粉々に壊してもいいわ」
(((は~い!)))
トレンティーさんの指示で、7000もの妖精たちが一斉に飛び立っていく。
グルンド王国では、これから妖精たちの体当たりが吹き荒れるだろうね。
――パパと、トレンテーしゃんのかんがえたしゃくしぇん、しゅごいね。
うん。これもソラちゃんの聖女の力があってこそだけどね。
最後のグルンド王国の兵士さんを見送った後、ベエルグラッドさんと兵士さん達と一緒に街まで戻ってきたよ。
パパに抱かれて馬車を降りてびっくり。
街の人たちの盛大な出迎えがあったよ。
「こんな泥だらけになって戦って……」
あ、それ、ソラちゃんの泥遊びの結果です。
――みんな、おしぇんたくだね!
「たった50人で敵兵を撃退したんだね……」
「領主様も泥だらけじゃないか。前線で戦ったくれたんだね!」
この人たちは高台から一歩も動いてませんでしたけど。戦ってすらいないよ。
――あたちは、いっぱいあしょんだ!
ストレスは発散できましたか?
「英雄様たちのご帰還だぁぁぁ!」
わ~! と、歓声が上がる中、ベエルグラッドさん達は苦笑いを浮かべて若干俯いてた。
皆さん胸を張っていいんですよ? 結果よりも、街を守ろうと行動したっていう過程が大事なんだし。
「かていが、だいじ!」
「そう……ですな。領民の皆は私の大事な家族と一緒だ! 我々はそれを守ったぞ!」
「「「うおぉぉぉ!」」」
一際大きくなる大歓声。
て、あれ? 家族……家庭? なんか、別のニュアンスで伝わっちゃった。ちょっとソラちゃん、言葉足らずだったね。
領主と民……そんな垣根を越えて、みんなから敬愛される領主の誕生だ。
ベエルフェッド君、君の知らない所で、いっぱい家族が増えたよ。
街に戻って宿で一泊した翌日。
パパと2人で昨日いた場所に来た。
本来の目的は、この地を祝福するためだったもんね。
ちなみに、トレンティーさんとジェノさんは、街の周囲の森にエルフの里を作るって張り切ってた。
グルンド王国に対する監視目的の里だろうけどね。
とことこと見晴らしのいい高台まで歩いて行って、見下ろしてみれば、広大な荒野と大穴。それと冷えて固まった溶岩。
氷が溶けた穴は綺麗な湖になってるけど、それを加えても祝福の難易度は高いよね。
――おっきいあな、じゃまだね。
誰が大穴を開けたんだったかな? たしか~、背が99センチしかなくて~、白銀の綺麗な髪で~、ほっぺがぷにぷにで~、大きな瞳で可愛い顔の~。
――え~? だれだろ~? むふふ。
照れちゃって~、可愛いな~。
……いや待て、和みに来たんじゃないんだった。
「で、ソラリスや。祝福できそうかの?」
「えっちょね~」
――ソラしゃん、どうしゅるの? しゅごくひろいよ?
うん。考えがあるんだ~。そのために、勇者の力を使えるように1日待ったんだしね。
わたしが向こうの世界に行ったとき、世界樹の助けを借りてソラリス……ナディアと一緒に浄化をした。
その浄化は、世界樹の力を借りて全世界に届いた。
そう、世界樹だよ。持ってるじゃん、それ。本体じゃないけどね。
――ちぇかじゅのだ!
そう、それ! 枝だけど、わたしの勇者の力と、ソラちゃんの聖女の力、それにパパの因子をかけ合わせたら、この広さでも行けるはずだよね。
「パパ! みてててて~!」
てが多いな! あまり興奮しないでね。多分、魔力操作と量の調整が難しいから。
――あい!
よし、ソラちゃん、いくよ~!
「ちぇかじゅのだ!」
世界樹の枝を出して、地面に突き刺す。
そして、わたしの勇者の力を開放! ブレイブ!
「いんちかいほ~!」
聖女の力で白銀の髪が自ら光輝き、勇者の力が金色の光となって身を包み、魔神の因子が黒い稲妻となって体から迸る。
その3つの力を1つに纏めて!
――ちぇかじゅのだ!
受け取って、広げて!
「『はーべしゅとぶれーちんぐ!』」
世界樹の枝に光が移り、そこから祝福の光が広がっていく。
いいぞ~! 足元から荒野だった大地が、草木が茂る草原へと変わっていってるね。
とりあえず、この地だけの範囲にしたいから、魔力の量と操作を調整して、ゆっくりと広げて……。
――まりょく、このくりゃい?
そうそう。ちょっとずつね……。
「なるほどの! 世界樹の枝を祝福の媒体にして強化しておるんじゃな! しかしゆっくりじゃな? どれ、俺も魔力を流してやろう!」
あ。
――あ。
パパが魔力の塊を世界樹の枝に流し込む。
当然、繊細な魔力のコントロールが壊れて……。
ゆっくり広がっていた祝福の光は大波となって広がり、バキバキ! と、大地が地形変動を起こして、湖だった大地が盛り上がり、高さ100メートルの水の枯れない大滝となって流れ落ち、莫大な水が大河を作り、草原と森が凄い速さで広がっていく。地平線の彼方まで……。
ナディアの場合は、世界樹と聖女の力だけで全世界の洗脳を解除した。
今回は? 勇者、聖女、魔神の因子……。はっきり言って、ソラちゃん自身が神だよね?
世界樹の枝プラス神……おまけで魔神の魔力。
この祝福、どこまで広がった?!