第158話:こおりは、ちゅめたいよ? の、ひ!
学園が終わった後、ベエルフェッド君を自宅に招いた。
アリアちゃんの助言と、独断では決められないってことで、パパ達の意見を聞こうということになったんだ。
アリアちゃんの説明では、ベエルフェッド君の領地は、遠く離れている領地で、しかも祝福の予定があったとはいえ、順番的には年明けになるほど後だったわけだ。
その順番を飛ばして祝福を行ってしまえば、他の領地持ちの貴族から文句が出ることになるかもしれないってことだった。
で、応接室のテーブルを挟んで、パパとベエルフェッド君が対面して座ってる。
もちろん、わたしとソラちゃんはパパの膝の上という定位置だ。
ベエルフェッド君はというと、パパの前で縮こまっている。そりゃ~ね、パパは3メートルの巨体だもん。
こんな距離だと、壁と対面しているようなものだからね。恐怖心も出ちゃうよね。
凄くガクブル状態だね。
――パパ、こわくないのにね!
ね~。まあ、それを分かってもらう手を考えなきゃだけど。
「パパ! おやちゅたべながら、はなしょ!」
「おお! そうじゃな! あれじゃ、アリアちゃんの父上から頂いたお菓子があったじゃろう? ジェノや、すまんが持ってきてもらえるじゃろうか?」
「はい。少しお待ちくださいね。アリアちゃんから頂いた、とても美味しいお茶も持ってきますね」
ジェノさんがパタパタと部屋を出て行って、しばらくしてお茶セットを持ってきてテーブルに置かれた。
「どうぞ、遠慮なく召し上がってくだされ」
「あ……はい……」
ベエルフェッド君の持つカップがカタカタ震えている。
この国の国王から貰ったお菓子と、お姫様から貰ったお茶を出されて、ベエルフェッド君の緊張が更に高まってしまう結果になったのは言うまでもない。
翌日。
わたしとソラちゃんは、ドラゴンの姿になったリュードさんの背中に乗って空を飛び、ベエルフェッド君の領地に遊びに来た。馬車だと2週間かかるところをたったの2時間くらいで到着しちゃったよ。
学園? サボリですよ? パパ達公認の盛大なサボリ。
――パパがこうちなさいって、いったんだもんね~!
ね~。
そう、パパがね。「サボって遊びに行ったらどうじゃ? そこで魔力を暴走させて、祝福しちゃった~って、誤魔化せるじゃろ」って、言ったんだよね。
当然、ここにはソラちゃんしか来てないよ。
1人で遊びに来たら、思わず祝福が暴走しちゃったっていう言い訳が出来る。
うん。ちょっと無理がありそう……。
――パパがいいっていったの! だいじょぶ!
そうだね。文句を言ってきたら、パパに黙らせてもらおう。
それにしても……。
街から離れた大地に降りたんだけど、本当に酷いね。
大地は干上がってひび割れがあるし、川があったところは水が一滴も流れてないし。
多少の森があったところの木々なんかは、葉が全部落ちちゃって立ったまま枯れちゃってるし。
――ソラしゃん、あちゅいね。
うん。雲1つないからね。これは雨も降らないはずだよ。
これは祝福をしても、1回では効果が薄そうだね。まずは雨を降らせて様子を見るかな?
――どうやって、あめふるの?
わたしも詳しくは知らないけど、暖かい空気に冷たい空気がぶつかったら雲が出来て、更に冷やすと雲が雨になるんじゃない?
――ひやしゅ……。
ソラちゃんが空を見詰め、両手を高く上げた。
何をするのかな?
「こおり、かきーん!」
は?
天高くに、氷の粒が出来て、みるみるうちに大きな塊になって……。
ひゅぅぅぅん。――どごぉぉぉぉん!
落ちてきた。大地に刺さった。
そそり立つ、直径500メートルくらいの大きな氷の塊。
お城……氷……湖……デジャヴ。
――ありぇ?
ソラちゃん、空は……冷えましたか?
――ソラしゃん! じぇろ、いっぱい!
うん? ソラちゃんの答案用紙の点数かな?
――ちつれいちちゃう! なまえのとこ、はなまるでじゅってんだもん!
勇者リンバーグさん、優しいな……。
――ここみて!
……1000ポイント達成!? 累計PVも20万突破!
――みなしゃん、ありがとござましゅ!
これからも、ソラちゃんのドタバタ話をよろしくお願いいたします!
――もぉぉぉ! どたばた、ちてないち!
……。