第149話:おとこは、ダメダメね! の、ひ!
トレンテーしゃんが、てをふると、きときのあいだに、にじいろにかがやくゲートができた。
「グランゾの城まで繋げたわ。行きましょう」
トレンテーしゃんが、しゃいしょにゲートにはいっていって、しょのあとに、アデルとナディアが……って、精神をしっかり保て!
精神が見た目通りの3歳児になっちゃってるぞ!
『ちちゅれいちちゃう! ろくしゃいじでちょ!』
見た目は3歳児でしょ~。……て、禁断症状が出てきたな。
早く元の世界に帰って、ソラちゃんに会いたいな……。
「ソラちゃん、歩きにくいのですか? 私が抱っこしてあげますね」
と、ソラちゃんとの会話を妄想していたら、勘違いしたナディアに抱きかかえられたよ。
ナディアは、身長160センチほどの、この世界ではちゃんと成長した超絶美少女のソラちゃんである。
少女のソラちゃんが、幼女のソラちゃんを抱っこする……。
う~ん……なんていうか、こそばゆい感じがする……。
ここは、この気持ちを誤魔化そう……。
「ナディアしゃんのむね、トレンテーしゃんよりも、おおきいね」
「「……え?」」
わたしの言葉にアデルとナディアは動きを止めて、ゲートからは向こうに行ったはずのトレンテーしゃんの顔がにゅっと出てきて。
「は・や・く、いらっしゃい?」
「「「――!? ごめんなさい!」」」
ゲートから、顔だけ出してきたトレンテーしゃんのこめかみに青筋が浮いてて、ちょっと怖かったでしゅ!
いまのわたしは、精霊に近い精神生命体だけど、ちょっと漏らしちゃったかもでしゅ!
向こうの世界に帰ったら、ソラちゃんにトレンテーしゃんの胸のことは言わないように言い聞かせないと!
ゲートから出ると、目の前は魔王城だった。
ナディアに抱かれたまま、辺りを見回す。
何もない……。氷が溶けて出来た湖も、ソラちゃんが作った花畑も、お漏らしで干された白いベッドシーツも……。
何よりも、あったかぽかぽかの太陽が……って、それは今が夜だからか。
でも、夜には綺麗な星が見えてたんだけどな……。
「にゃにもない……しゃびちいね。おしょらも、くろいくも……」
「黒い雲? それは天候結界ね」
皆で、空を見上げる。黒く厚い雲が、動くことなく魔王国を覆っている。
この天候結界がないと、人族が転移魔法で攻め込んできちゃう。この暑い雲が、転移阻害の役目を果たしてるんだ。
「おや? 何か強い力を感じて出てきたんじゃが、トレンティーや。その人たちは誰かの?」
3メートルはある大きな巨体が、お城の大きな扉を開けて立っている……。
溢れる感情が抑えきれなかった。
「パ……パ……パパ!」
ナディアしゃんの腕を振りほどき、因子開放でパパの胸に飛び込んでいく。
「おっとっと! 可愛い子じゃの。俺がパパって、どういうことじゃ?」
パパは抱き止めてくれて、頭を優しく撫でてくれる。
この世界でも、パパは優しいままだ!
「パパね、むこうのしぇかいで、たちゅけてくれて、パパになってくれたの!」
「う……うん? この子は、そっちの2人の子じゃないのかの?」
「まだそういう関係じゃありません!」
「まだそういうことしたことないです!」
「「「……」」」
アデルよ、もっとこう……行為の有無じゃなくて、他にも反論の選択があったじゃん?
どうすんの、この空気?
「あ~……今日は泊まっていくじゃろ? 2人は同じ部屋にして、防音魔法もかけてやるからの」
「「別々の部屋でお願いします……」」
パパも、ダメダメだったよ。
あたちは、パパといっちょにねるけどね!