第144話:ソラしゃんが、こんらんちちゃった! の、ひ!
ヤキモチの結果、パパに肩車されてるよ。
でもね、パパは体も大きくて、頭も大きいの。うん、前が見えないよね~。
しかもソラちゃん、落ちないようにパパの髪の毛をしっかり掴んじゃってる。
髪の毛抜けちゃって禿げないかな? ちょっと心配。
「ソラおねえちゃん! 右からくるよ!」
「ばしゅん!」
見えないソラちゃんに代わって、マリーちゃんが目標を教えてくれる。
で、パパの頭の脇から手を出して、適当に魔法を撃つ。
どぉぉぉん!
「あ、外れた~!」
「でも、ばくはつでふきとんだよ?」
範囲魔法だったのかな?
「左のほうからくるよ!」
「ぼん!」
ずがぁぁぁん!
「すっごい遠くに飛んで行って爆発した~!」
――あたんないね?
うん、いや~無理でしょ? 見えてないし。
「ははは。マリーちゃんもソフィアちゃんも、目標指示があいまいじゃな~」
「「え~」」
仕方ないですよ。2人とも幼児だもん。
――ソラしゃん、いいことかんがえちゃった! ゆみでこうげきちよ!
ゆ、弓?
ちょっと、シュミレートしてみた。
世界樹の枝を弓に変えるでしょ~。
両手で構えるでしょ~。
両足はパパの首をがっしりと挟んでて半身で構えられないから、正面で構えている状態。
正面には何がある?
パパの後頭部~。
そのままだと……パパの頭に矢がグサッ!
ソラちゃん、パパから降りて剣で戦おう?
なんとか説得に成功して、聖騎士と剣を交える。
一気に間合いを詰めて、横薙ぎ!
でも、大きな盾に防がれる。
――む~! たたかいにくいね?
うん。そういえば、盾を持った相手とは初めて戦うね。
リンバーグさんとの模擬戦は、剣のみだったしね。
盾防御の崩し方とか、全然教えてもらってないよ。
元々が身長差で不利なのに、盾で身を守られたら簡単に攻撃を防がれちゃう。
――ほねしゃんは、どうやってたたかってりゅのかな?
チラッと見てみると、盾に対して蹴りを繰り出し、相手が怯んだ隙に剣による連撃を叩き込んでいた。
――にゃるほど!
「きっく!」
ぴょこんと、足を出す。
……。しかし何も起きなかった!
――あち、みじかい! とどかにゃいよ!
うん。短いし、細いし、白くて綺麗ですべすべだし。
「……」
聖騎士は動きを止めて見詰めている!
なんだこの野郎。魅惑的な幼女の素足を見て見惚れてんじゃね~ぞ!
「む~! ぼん!」
差し出した手の平から火の玉が飛んでいく。
だけど、その火の玉は聖騎士に当たる直前に掻き消えてしまった。
「にゃんで?!」
2つ分かったことがある。ソラちゃんって、興奮していると幼児言葉が重症化する……。
――……。
ごめんなさい。ソラちゃんの沈黙が1番ダメージがデカいです。
――もうひとちゅは?
あ、はい。もう1つは、聖騎士の装備に魔法付与が施されているってことです。
――ほどこしゃれって、にゃに? むじゅかちいの、わかんにゃい。
……。
――もぉぉぉ!
怒んないでよ~。えとね、魔法が効かないように、鎧に魔法をかけてるってこと。
――まほ~がきかないまほ~をかけたら、まほ~がきかないまほ~もきえちゃうんじゃにゃいの?
う……うん? あれ……わたし自身意味わかんなくなってきた。
……わたしの説明で合ってたよね?