第14話:味方はパパだけ! の日
わたしが聖女? 何言ってんの?
だって、まだまだ子供だし? 幼女だし?
難しいことは分かんない!
そのときが来るまでは遊びまくるんだもん!
……はい。今の状況を言葉にしてみました。
何してるのかって?
あいかわらず、みちゅかったりゃ、おへやにもじょさりぇちゃう、ひちょりかくりぇんぼ。ですよ。
廊下を柱の陰に隠れながら進む。
たぶん、スカートが見えちゃってますけどね。
「とかげしゃん、ありゅいてりゅ」
うん? あ~、リザードマンかな?
ちょっと先を、金属の鎧を着たリザードマンが歩いてた。
二足歩行のトカゲ……間違ってはないのかな?
「しゅっぽ、じゅりじゅり」
うん。長くて大きな尻尾を床を引きずりながら歩いてるね。
「むふふ」
なんですか? その変な笑いは?
変な笑いを出して、尻尾に突撃。どして?
急に走り出して追いついたと思ったら、ガシッと、尻尾に腹這いでしがみついた。
リザードマンは気付かないで歩いていく。
ずりずりと、わたしを尻尾に乗せたまま。
幼女の行動って、意味が分かんなくて怖い。
いや……これも探検ごっこ、なのかな?
少し歩いたら、リザードマンが急に半回転。
来た道が視界に入る。
「あら? どこに行ったのか探してたのよ。連れて来てくれて、ありがとうね」
あらやだ、トレンティーさんの声が後方から聞こえる。
「ソラちゃん?」
「あ……あい」
「今日はニンジン3個でいいかしら?」
「うわぁぁぁん!」
謀ったな! トカゲ!
て、ことでね。
夕食の時間。目の前にはブロッコリーとニンジンが入ったミルクスープがある。
まあ、それ自体は普通の料理なんだけど、問題はその場所と状況。
夕食は今まで自分の部屋で食べてたんだけど、あるときから円卓の部屋で、専用の小さいテーブルと小さい椅子に座って食べるようになった。
みんなに見守られるようにして。
苦手なブロッコリーもニンジンも、お残しは許されないのである。
そこで、感情のソラちゃんは考えた!
皿から掬ったスプーンに入ってるニンジンを、掬ったすぐにスプーンをちょっと傾けてテーブルの上に落とす。
あ、落ちちゃった。もう食べれないよね? 作戦である。
が、しかし、世の中そんなに甘くない。
ジェノさんが、スープの中にニンジンを2個追加する。
……1個ふえてりゅ。
黒い感情が心を染めていく。それは、絶望。
意を決して、目をつぶってパクリ!
「うぅぅ~」
口元を両手で押さえ、足をパタパタと振る。
「「「か、かわいい」」」
「かかか! この仕草が見たくて、ここで食事することを決めて正解だったな」
「はい! だからつい、苦手なものばかり入れちゃうんですよね~」
あんたらは鬼か!
「……俺は、好きなものを食べて満面の笑みになっているソラリスが見たいんじゃがな」
「「「――っ!」」」
パパァァァ!