第134話:ソラしゃんが、わるいの! の、ひ!
戦闘シーンを書き続けるのは苦手です……。
骸骨騎士がモンスターの集団を薙ぎ払い、その姿を見た冒険者さん達が逃げ惑う。
モンスターと冒険者さん達の戦線崩壊。
いや、骸骨騎士さん達は味方だけど、見慣れてないと怖いよね?
まあ、でも、逃げ惑いながらも、冒険者さん達は目の前のモンスターを倒してくれていってるから、問題ないよね?
「かっかっか! あちらはもう大丈夫でしょう。姫さんは集団の奥、ボスのオーガロードを目指してください」
「あい!」
両足に黒い稲妻を纏い走り出す。
飛び出してきたゴブリンを切り伏せ、進路の邪魔になるモンスターはソラちゃんが魔法で吹き飛ばす。
そうして、集団の中ほどまで来ると、大型のモンスターが多くなってきた。
オーガとトロル。
さすがに身長差があって、真上から振り下ろされる棍棒や斧は、足を止めて回避しないといけなかった。
99センチのわたしたちに対して、オーガで3メートル、トロルは4メートルもある。
こいつらが2匹いるだけで、まるで壁があるように思えてくる。
――ソラしゃん! はやくいこ!
いやいや、ただ突っ込んでいくだけじゃダメだよ。リーチ差もあるし、一撃じゃ倒せないよ。
「きらんちゅど~ん!」
キラン! と、あれは流れ星! ちゅどぉぉぉん! 降ってきたよ!
……正式名称でいうと、最強魔法メテオかな? 規模は小さかったけどね。
――いちげきで、たおしぇたよ?
そうですね~。倒せちゃったね~。
やばいよ!? わたしが弱気になると、ソラちゃんが逆に強気になっちゃう!
わたしは理性、ソラちゃんは感情。理性を強くして感情を抑えないと、とんでもないことになる!
「ぼ~ん! どか~ん! ずどっど~ん!」
なだらかな草原が、渓谷になりつつあります。
感情ソラちゃんを抑える? 誰だそんなこと言ったの? 無理でしょ?
聖女さ~ん! 帰っておいで~!
――たのちいね!
聖女さんは楽しんでます。
淑女教育って大事、うん! アリアちゃんを見てるとそう思えちゃうよね~。
やっぱり環境かな~?
親ばかパパとトレンティーさん、甘やかしジェノさんに、四天王の皆……。アヤネちゃんは、保護者っていうか、お友達……。淑女教育? 誰がするの?
はい! 今のソラちゃん完成です!
――ソラしゃん、ソラしゃん!
うん? なに?
――くろいもやもやの、おおきいひとがいるよ!
そこには、地表から染み出る黒い靄に包まれたオーガが立っていた。
それだけじゃなくて、地表に広がった黒い靄から、次々にモンスターが生み出されている。
モンスターの数が減らない理由はこれか?
この黒い靄ってなんだろ?
「かかか! 瘴気ですな。人間の負の感情の塊のようなもの。あるいは闇の悪意……ですかね」
瘴気! ほとんど消えちゃった記憶の中で、それだけぼんやりと覚えてる。
本で読んだ記憶か、別の何かか……。
「かかか! 来ますよ!」
オーガロードが、あっという間に距離を詰めて手に持った大剣を振り下ろしてくる。
ホーネさんが盾で受け止めたけど、勢いを殺せず吹き飛ばされたけど、5メートルほど地を滑り踏み止まる。
「ぼぼん!」
ソラちゃんの爆炎魔法が炸裂したけど、瘴気の壁に阻まれて魔法自体が消滅した。
「かかか! 4メートルを超える巨体にこのスピード。魔法に対する防御力。瘴気によって大幅に強化されてますね」
――まほ~きかなかった! あのくろいの、じゅるい!
う~ん。確かにズルいね。際限なく湧き出るモンスターに、強化の効果まであるし。
それに、瘴気に触れたらやばい気がして、うかつに接近戦は出来ない気がするんだよね。
瘴気……聖女……浄化……。
あ、なんかぼんやりと魔法が浮かんで……。
――きた!
うん! 心を1つにして行くよ!
「ぴゅりふけーしょん!」
『ぴゅりふけちょちょ!』
1つに出来てなぁぁぁい! あれか? 難しい言葉と長すぎるからかな?
――ソラしゃん! あわしぇないと、だめでちょ!
え? あ、ごめんね。
……確かに、聖女はソラちゃんだよ? でもね、理不尽すぎません?