第126話:パパのところにいくの! の、ひ!
ゴブリンの攻撃で、ヒドイメアーウさんが後ろに吹き飛んでった。
ボブゴブリンとか、ゴブリンエースとかの上位種だったらからとかなら納得するけど、ただのゴブリンですよ?
――にゃんか、しゃくしぇんかな?
それはないと思うよ~? まあ、とにかく、寄ってきたゴブリンを倒そうか。
「いんちかいほ!」
目の前で、棍棒を高く掲げて高笑いしていたゴブリンに向けて踏み込み、上段から一閃のもとに切り裂く。
振り下ろした勢いをそのまま利用してジャンプして、切り裂いたゴブリンを飛び越えて、後方に居たゴブリンの目の前に着地。その場でくるんと体を回転させて、横なぎで首を切断。
「かきーん!」
少し離れたところのゴブリンに右手を突き出し、氷の矢を発射。
胴体にまともに当たったゴブリンは氷の塊になって、粉々に砕け散った。
「あれ? たたかいやちゅいよ?」
そうだね~。ゴブリンって、背の高さが120センチくらいしかないからね。今まで模擬戦してきた勇者って、180センチ超えてたからね。
同じ体格くらいなら、私たちのほうが圧倒的有利だよね。
――ゆうちゃにも、くしぇんちたことない!
うん、そうだね……。でもね、今は苦戦とかって話じゃなくて、体格差による有利不利を話してるんだよ?
――ゆうちゃなんて、しゅぐやっちゅけるもん!
やっちゃダメだよ~。
勇者を引き合いに出したのは失敗だった! 誰か幼児の扱い方を教えてください。
「パパのとこいこ!」
はい? ちょっと待って! パパにここでみんなを守ってって言われたでしょ!
――しょか~……。あ!
あ! って、何ですか?
「ぼこぼこぼこ~!」
地面に両手を着いたと思ったら、地面が盛り上がってきて、人型の塊になったよ。
頭の部分には、ネコミミと思われる突起が付いてて、猫しゃんポシェットもちゃんとある。
高さもわたしたちと同じくらいで、まあ、見ようによってはわたしたちの姿に見えなくもない。
「これで、ごまかしぇる!」
なるほど? この土魔法で作った土像は身代わりですね。これでバレずにモンスターの集団に突っ込んでいけるね!
……て、無理無理無理~! ていうか、みんなが見ている前で作ったら意味ないじゃん!
「みんな、ち~~~~。ね?」
口元で人差し指を当てて、お・ね・が・い!
「あらあら、行くのね。ソラちゃんだったら大丈夫だと思うけど、モンスターに見つからないように近づいて、みんなを回復してあげてね」
「あい!」
うん。確かに、傷ついている人たちもいるだろうから、ソラちゃんの回復は必要だろうけど。
で、どうやって見つからないように行くの?
――えっとね~。
「きりかぶ!」
世界樹のワンピースに、頭と両腕を収納して膝を曲げて屈みこめば、あら不思議、擬態、隠密、認識阻害100%の切り株の出来上がり。ただし、ネコミミ帽子は隠れてないぞ!
「とことこ、つましゃきあるき~」
とことこ……ガツ! べしゃ!
小石でつまづいて転んだ!
「う……うわぁぁぁん!」
「あらあら、ソラちゃん!」
パパ達のところに辿り着けるんだろうか?
シリアス展開は苦手です。
――いうことは、しょれだけでしゅか?
ごめんなさい! あ、800ポイントいきました! ありがとうございます!
――ごまかちた!