第120話:おねむのじかん! の、ひ!
謁見の間の中央に椅子が2つ並べられ、アリアちゃんと一緒に座っている。
アリアちゃんは左側で、ソラちゃんはアリアちゃんの右手を掴んだままぷら~んぷら~んと振っていて、ときどき見詰め合いながら、ふふふ、と、微笑みあう。
これは……あれか? このままの関係で年月を重ね、成長していったら、同性愛に発展……。
――ソラしゃん、アリアおねえちゃんのおへやでたべるおかち、おいち~から、たのちみね!
あ、うん。そうだね。
色気より食い気ってね。まあ、わたしたちは、これ以上成長しないって分かってるけども。
しかしだよ? ソラちゃんの精神年齢がなかなか成長しないっていうのも不思議だよね?
パパの因子が発動しちゃって、肉体的成長は止まって、同時に精神の成長も止まった?
全てはパパの因子が原因でっていうことは、寿命もってことになるけど、この時点で最低でも400歳以上……。
400年後、『あたち、しょらりしゅ! ちんちょう99しぇんちの406しゃいでしゅ! ジェノしゃんくらい、おおきくなったら、パパのおよめしゃんになるの!』
400年経っても結婚できてないじゃん!
――ソラしゃん、むじゅかちい、はなちは、あたちがちゅかれちゃうから、やめよ?
あ、はい。ごめんね?
謁見の間に入ってきた国王スデリッチさんは、壇上の玉座に座らず、目の前まで歩いてきて、その場で目線を合わせるように片膝を付いてしゃがんできた。
今よりも身長が小さかった頃、少しでも目線を合わせるために、ヤンキー座りしていたパパと四天王の皆とは大違いである。
「この国、この地、全ての民を救う手助けをいただくこと、誠に感謝いたします。国民を代表し、お礼を申し上げる」
うお! マジか。凄い感謝されたぞ。
ソラちゃん、何か言葉を返さないと!
――かえしゅの?
うん!
「むじゅかちい、はなちは、わかんないの!」
あかんがな!
なんかね、場が悲壮感に包まれてね……。国王の立場っていうか、この場を整えてくれたのに、まあ、そんな感じなものを潰しちゃってごめんね?
で、そんな気まずい雰囲気を払拭させるべく会議室に場所を移し、これからの予定を話し合っている。
領主さんたちが、テーブルの上に広げられた高級そうな地図を指し示し。
「ここの私の領地を最初に!」
「なにを言う! 王都より近いほうが先であろう!」
「まずは国境に接している私のところが最優先で!」
と、言い合いが始まってなかなか話が進まない。
「おはな~! かきかき。ねこしゃ~ん! とことこ」
いいのか? 退屈したソラちゃんが地図に落書きを始めちゃったぞ! 大切な地図が落書きでうまっちゃうぞ~!
て、ソラちゃぁぁぁん! だめぇぇぇ! この地図おいくらですか?! 弁償ですか?!
――おとななにょに、こどもみたいなけんかちて、たいくちゅなんだもん!
大人なのに子供って……。いや待てよ? どうしてソラちゃんの精神年齢が成長しないのかって、わたしたちは同時に2つの人格が存在しちゃっている状態。
10まで成長する精神があるとして、わたしがすでに7使って、ソラちゃんが残りの3使っているから、ソラちゃんの精神は成長しないで、そのままず~~~っと幼児?
……謎はすべて解けた! だったら、ここは大人なわたしに任せなさい! ソラちゃん、主導権を交代して!
――あい。ソラしゃんがおこられたあと、こうたいちてね。
……。まあ、いいか。見た目は幼女! 頭脳は大人なわたしの実力を見せてあげる!
「いちゅまでもいいあいちてたらだめでちょ! あたちがたちゅけたりょうちゅしゃんは、りょみんのひとたちといっちょにどろんこになってたの! ほんとにどにかちよとちてたら、ここにいないでいっちょにどろんこにならにゃいと――」
お、おや? ジェノさんに抱きあげられましたよ?
「ソラちゃん、いつもこの時間はお昼寝の時間ですものね」
アリアちゃん? 違うんですよ? いや、授業中の大半はいつも寝てますがね?
「「「ああ、眠たくて不機嫌になってたのですな。幼児とは可愛いものですな」」」
幼児言葉だから通じなかったのか!
「ジェノ様、客間にベッドがありますわ」
「はい。お借りしますね」
――ソラしゃん、おやちゅみなちゃい。
……おやすみ、ソラちゃん。
スヤァ……。