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第102話:きりかぶ~! の、ひ!

 アリアちゃん達と合流した翌日。

 今日は朝から城内の部屋にあるダンジョンに遊びに行くってことで、自室でその準備をしている。


「はい、今日はこれを着ていきましょうね」

「あい!」


 ジェノさんに汚れてもいいワンピースを着せてもらって、ソラちゃんも気合い十分だ。

 姿見の鏡に映った顔は、気合の籠った顔で、眉をきりっと上げて、ふわふわもちもちのほっぺを少し膨らませるように、口を引き結ぶ。


 改めて、自分の顔をまじまじと見るけど、凄く可愛い。


 ――もぉぉぉ! かわいいじゃないでちょ! ソラしゃんもきあいいれて!


 うん……。いや、別に顔に気合いを入れる必要あるのかな?


「長い髪の毛だと剣を振るときに邪魔になるので、後ろで纏めてハーフアップに結いますね」


 ジェノさんが櫛で髪を梳かすたびに、白銀の髪が朝日に反射してキラキラと輝く。

 後ろで紐で束ねて、後頭部の中ほどで花飾りの付いた髪留めでパチンと固定。


「おねえちゃんかわいい!」

「髪もキラキラと綺麗だし、顔も可愛いよね~!」

「えへへ。でちょ~!」


 ソフィアちゃんとマリーちゃんに褒められて、デレデレになった。


 気合いはどこかに旅立ったようだ。


「ソラちゃん、世界樹の武器と防具も持った?」


 トレンティーさんの問いかけに、ソラちゃんがそれを持って答える。


「ちゃかじゅのだ! ちぇかじゅじゅだんと!」


 相変わらず、名前が4文字以上だと適当になるね。


「へ~。せかいじゅのえだと、せかいじゅのじゅひのぺんだんとか~」


 ソフィアちゃん! 貴方はいったい何者ですか!?

 よくソラちゃんの適当な読みが解読できましたね!


 ――てきとうじゃないもん!


 はい。長い名前も間違えないで、スラスラと言えるようになりましょうね?


 ――むぅぅぅ!


「あ、ソラちゃん。ペンダントのほうは、防具モードにしておきましょうか」

「どやるの?」


 ペンダントを手に持ってクルクル回して見たけど、どう見ても防具じゃなくてアクセサリーだよね?

 世界樹の枝は、魔力を流してイメージしたら、望む武器に変化してくれるけど。


「ワードを唱えたらいいのよ。ワードは、トレンティーさん大好き! よ。さあ! 言ってみて!」


 欲望丸出しですね!? そんなにソラちゃんの口から聞きたいですか?


「あ! トレンティー様ズルイ! 私もジェノさん大好きって言ってもらいたいです!」

「もう登録しちゃってるから変更できないわよ!」

「そんな~! 変更してください!」

「ダメ~!」


 なんか、過保護な保護者が言い合いを始めちゃったけど……。


 ――だめだめね!


「おねえちゃん」

「あい?」

「ソフィアちゃんだいすきって、いって~」

「しょふぃあちゃん、だいしゅき!」

「えへへ~」

「むふふ~」


 言い合いを続けている大人を横に置いて、こっちの幼女たちは甘い空間を作っていますよ。




「とれんてーしゃん、だいしゅき!」


 カ! とペンダントが輝いて、防具がソラちゃんの体に現れましたよ。

 一応、ワンピースになってて、色は黄土色? ひざ下までの長さのスカートで、頭と腕を通す穴が開いている切り株……かな?

 切り株から、ちょこんと脚と腕と顔が飛び出ているみたいな?

 そこに加えて、右手には枝を持って、頭にはネコミミ帽子を被って……。

 鏡に映った姿は。


 ――かわいいね!


 うん。わたしもそう思う。

 防具って言うから、もっとゴツゴツしているイメージだったよ。


「物理と魔法耐性も神話級に高いし、屈めば切り株に擬態して隠密モードになれるのよ」


 と、言われて、腕を中に引っ込めて、膝を曲げて屈んでみる。

 うん。腕と脚が隠れて切り株になったね。但し、可愛い顔とネコミミは出たままだけど。


「きりかぶねこしゃん」


 ……。


「「「かわいいぃぃぃ!!」」」


 うん。わたしたち、これから魔王城のダンジョンに戦いに行きます。

 戦いに! 行きます!



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