第100話:おはなやしゃんの、れんちゅう! の、ひ!
お城に帰ってきて2日目。
みんなと朝から花畑に来た。
「ここは~ちゅーりっぷ! こっちは~こしゅもしゅ!」
一面に咲いている花を指差しながら、花を名前を教えてあげる。
みんなには見えない妖精さんが、耳元に飛んできて小声で教えてくれてるんだけどね。
「すごい! おねえちゃん、おはなのなまえにくわしいね!」
ソフィアちゃんが羨望の眼差しを向けてくる。
ソフィアちゃんも花の妖精の祝福を貰ったから、花に興味を持ったみたいだね。
「えへへ~。ようしぇいしゃんが、おちえてくれるの」
あら。正直に言っちゃったね~。
――うしょは、いけないでちょ!
あ、はい。そうですね。
「ソフィアちゃんは妖精さんに祝福してもらえていいな~。私も祝福してもらって妖精さんとお話ししてみたいよ」
マリーちゃんが寂しそうにソフィアちゃんを見ながら言う。
女の子の中で、1人だけ妖精の祝福がないから、仲間外れになっちゃってるって思ってるのかな?
でもね~。見えるんだよね。マリーちゃんの周りに妖精が飛び回ってるのが。
人間を嫌ってた妖精が近くで飛び回るって、好かれているってことだよね?
「まりーちゃん、だいじょぶ。まわりにいっぱいとんでる!」
「え? 本当に?」
「ほんとだよ」
――どうしゅる?
ん? 何が?
――みえるように、おねがいちてみる?
あ~そうだね。してみようか。
「ようしぇいしゃん! みえるようにでてきて!」
(((は~い!)))
可愛い声が周囲から響いて、周りの花畑から数えきれないほどの光の玉が一斉に浮き出てきて、10センチくらいの小さな女の子の形になって飛び回った。
「凄い! 妖精さんたち可愛い!」
「すごいいっぱい!」
「あたちも、びっくり!」
ソラちゃんが、見えるようになって、じゃなくて、出てきてって言ったから、多分だけど、ソラちゃんの声が聞こえた妖精が全員出てきたね。
――ちっぱいちちゃった!
いいんじゃない? それだけソラちゃんが愛されてるってことだから。
(お名前は~?)
「あ、マリーです! 5歳です!」
(ソラちゃんのお友達~。祝福をあげる~)
例のごとく、マリーちゃんの体が輝いたよ。
貰った祝福はソフィアちゃんと一緒。植物の成長促進だ。
お花屋さんの従業員ゲットだぜ! まだ5歳だけど……。
「しょだ! おはなやしゃんの、れんちゅう、ちよ!」
「あ、やってみたい!」
「私も~!」
やっぱり女の子は花が好きなんだね。
「ソラ様、この花を商品として売ってみてくださいね。お金は銀貨1枚と銅貨10枚を用意したので、マリーちゃんは銀貨を持ってお買い物ですよ」
ジェノさんが花を摘んで、ソラちゃんの正面に置いた。お釣りとして銅貨が10枚。
マリーちゃんがお客さんとして、銀貨を1枚持ってお買い物だ。おままごとだね~。
で、マリーちゃんがお店のドアを開けるフリをして……。
「どか~ん! お花を売ってください!」
ドアの開け方! ドアが壊れちゃいますよ!
「いらちゃまちた!」
ソラちゃんが来たの!? それとも乱暴な客が来た! てことかな?
「このお花をください」
「えっと……。キラキラ1まいでしゅ!」
キラキラって金貨のことだよね! え? 高くない? マリーちゃんの銀貨だと足りないじゃん。
「はい、銀貨1枚」
「あい、おちゅり、キラキラ3まいでしゅ!」
大損だよソラちゃん!
いや、落ち着けわたし。もともと銅貨しか渡されてないじゃん。ソラちゃんの認識だと、お金イコール全てキラキラってことかな?
「ソラ様は、まずはお金を学ばないとですね……」
同感です! 一緒に頑張りましょう、ジェノさん!