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桜の下の彼女  作者: 多手ててと


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12/12

#.エピローグ

本日は最終話とこのエピローグの2話を更新しています。最終話をまだご覧になっていない方はそちらもお読みください。

五島葵は幼いころ何度も来た公園で腕を伸ばした。もう喜寿を超えたのだから体が重いのは当たり前だ。啓太郎が隣にいないのは寂しいが、あと3日もすれば退院してくるので、この桜が散るまでには間に合うだろう。


『こんなになにもかもが満ち足りているのに、どうしてこんなに悲しいんだろう』


この公園に来ると、いつも結婚式の翌日に夫が話したことが、葵の脳裏に甦る。


客観的に見て、私たちはとても恵まれた人生を送ってきた。息子たちは二人とも独立して遠くに行ってしまったが、月に一度は連絡をくれる。孫たちも時折思い出したようにメールをくれる。


確かに悲しいこともあった。嬉しかったはずなのに、もううまく思い出せないことも数えきれない。それでも歓びに満ちた楽しい人生だったと思う。


その時、葵の膝にのった桜の花びらに気が付いた。これをお土産にして、もう一度啓太郎のお見舞いに行こう。今日の面会時間はまだ十分にあるし、一日に二度お見舞いしても問題はないだろう。


啓太郎は喜んでくれるだろうか?


そして3日後に夫が退院したら、この公園の桜はもっと散り始めるに違いない。この年齢の体でできる限り、桜吹雪の中で思いっきりはしゃいで夫に見せてみよう。葵がまだ幼なかった頃のように。きっとあの人も一緒にはしゃいでくれるに違いない。


葵はベンチから立ち上がって、もう一度病院へと向かうために公園を出た。一枚の桜の花びらと一緒に。



ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 部屋の荷物がどうこうというあたりからおや?となり、あれよあれよという間に状況がひっくり返っていきました。 すてきなお話をありがとうございます。 エレベーターで会った同郷君がなんらかのタイミ…
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